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豊島岡女子学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「豊島岡女子学園中学校の理科」
攻略のための学習方法

本年は考察力を要する設問も目についたが、基本的には問題集に載っているような頻出の問題を手早く解かせるのが豊島岡女子の入試の特徴であり、本年度においても一部を除く知識問題や計算問題でその傾向は維持されている。したがって、まず合格に最低限必要な学習として、問題集の発展レベルまでスムーズに解答できるように、演習の反復を通じて習熟を深めておくことが挙げられる。

近年の入試問題は概ねその学習で対応可能であったが、考察や知識の応用が求められる問題も少なからず導入されたことで、もう少し対策に幅を持たせる必要性が生じてくる。具体的には、様々な学校の過去問に取り組み、思考力を要する問題を初見で解く練習の重要性が高くなる。とは言え、他の難関校と比べると、要求される考察力や応用力の水準自体はそこまで高くない。本番までに問題集の仕上げの徹底と過去問演習を終えておくことを基本路線に、11月頃から他の難関校の過去問演習を並行して行っていくという心持ちで臨めればよい。

出題の難化による影響がより大きいのは試験時間である。多くの問題で必要とされるスキル自体は標準的なものであるが、社会と合わせて50分という制約の中では、単に答えが出せるだけでなく、極力短時間で、しかもミス無く正答にたどり着くことが必要になる。本稿において定型的な問題への「習熟」を強調するのはこのような理由による。たとえば、中和反応や地震の発生時刻を求めるような問題で考え込んではならない。これらは、事前の演習が徹底されていれば、「ああ、これね」といった具合に即座に計算できるような設問である。そのレベルまで持っていくために、普段の演習にせよ過去問演習にせよ、解ける問題は最短手順で解く意識を持つことである。

知識問題については例年基本的なことしか訊かれなかったが、本年度はやや難しいものも見られた。化学分野における弱酸遊離やアルコールの酸化といった現象、生物分野における臓器の位置は全く未知の事柄と言うには当たらないが、あまり意識した学習がなされないポイントである。特に臓器の位置と機能は昨年も扱われており、連年の出題に意表を突かれた向きもあろう。このように、盲点となりがちな知識が問われる傾向に鑑みると、基礎的な学習のみで大丈夫とは言い難くなってくる。少なくとも、「これは知らなかった」という問題に遭遇した際には、こまめに知識を収集し、本番までに見返すようにしておこう。

 

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

【生物分野】

上述の通り、臓器の位置と機能が連年の出題テーマとなった。機能についてはほとんどが基礎的事項であるが、臓器の位置、特に前面から見ると他の臓器の陰に入ってしまうような器官の位置は意外と正確に把握できていない受験生が多い。同様に、出題頻度は高くないがたまに訊かれるのが人の赤ちゃんの誕生に関する知識である。いずれも言葉だけでなく、図解などを通じて視覚的に把握しておこう。また、生物分野にも定番の計算問題が存在する。植物については蒸散や光合成と呼吸、動物については呼吸による二酸化炭素排出量の計算などが該当する。こうした問題も手早く処理できるように練習しておくこと。

 

【地学分野】

知識的に難しいことが訊かれるケースは多くない。一等星の名称や見える季節、岩石の名称や特徴が特に注意して覚えておくべきもので、他の知識は概ね各種の演習問題をこなす中で身についてくる。意識して対策しなければならないのが、やはり定番の計算である。本年度出題された地震の伝わる速さに関する問題のほか、高度変化に伴う気温の変化、湿度、天体の移動周期に関する計算には習熟しておきたい。また、日食・月食を筆頭として天体の動きに関する問題は苦手とする受験生が多い。頭でイメージするだけではなく、図示して考えられるようにしておこう。

 

【物理分野】

力学分野からの出題、特につり合いに関する問題が多い。つり合いのモーメント計算やばねの伸びの比例計算自体は難しくないので、豊島岡女子の受験者であれば当然できるだろうが、この分野で難しいのがつり合いの状態において力がかかっている場所とその向きおよび配分の分析である。特に力のかかる場所が装置全体に分散してつり合いが生じている際には、力の向きを矢印で示し、それぞれの向きにおける力の総和が等しくなっていることを確認する必要がある。問題集に取り組む際、設問ごとに解き方を理解するのではなく、装置に矢印を書き込んで正答を導く練習をしておくと良い。

 

【化学分野】

過不足のある化学反応に関する問題はほぼ毎年出題されている。手順が多くて複雑に見えるが、慣れてしまえば機械的に処理できるようになる。「過不足なく反応する量を特定する」→「先に使い切られる反応物を明らかにする」→「使い切られた物質の量との比例関係から、生成物の発生量を求める」という流れが基本である。各ステップをそれぞれ言語化して独力で進められるように練習しよう。また、知識問題では物質の性質が良く問われる。個々の物質が備える性質はもちろん、他の物質との代表的な反応についてもしっかりと押さえておくこと。

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2020年度「豊島岡女子学園中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

理科と社会の2科目合計で50分。本年度は物理分野が難しく、苦手な受験生はここで時間を削られて、試験全体に十分な時間がかけられなくなった可能性がある。やや難しかった知識問題も含め、すぐ分からない問題は飛ばして確実に解ける問題に集中するという割り切りが重要である。

 

【大問1】弾性とつり合い

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

つり合いが瞬間的に把握しにくい設定が与えられたほか、図表や問題文の解釈も含めて高度な理解力が要求される。特に(1)(3)はきちんと理解しようと思うと時間を要する。初っ端の大問ではあるが、最後に取り組むのがお薦め。

 

(1) 最初から厄介な設問が登場する。ばね1とばね2がそれぞれ元に戻ろうとする力によっておもりが支えられていることは分かるはずだが、おもりの力はどのように分配されるのか?ここでは、(ばね1が伸びる長さ)=(ばね2が縮む長さ)であることに注目したい。2本のばねは同じものであるから、グラフより、ばね1に対しては伸ばす方向に、ばね2に対しては縮める方向に同じ力、すなわち40÷2=20[g]ずつかかっているはずである。あとは、10gで1cmの伸び(縮み)の比例関係を用いて計算すればよい。

 

(3) 最初はおもりの重さをすべて床が支えるが、ゴムひも1が床から10cmの高さまで引き上げられた時点から、ゴムひも1によって、部分的におもりの重さが支えられるようになる。そして、床から完全に離れると、ゴムひも1がおもり全体を支えるようになるため、(2)で求めた通り、14cmまで伸びた状態で引き上げられていく(これだけで、答えは「か」のグラフに限定される)。次に、ゴムひも2が垂直に10cm持ち上げられた時点から、さらに上へと引き上げようとすると、ゴムひも1とゴムひも2が同じ力で引き合うことになり、ゴムゴムひも2が引き伸ばされるほか、ゴムひも1にも力が加わって14cmからさらに引き伸ばされることになる。

 

(4) 実験結果の利用を考えるなら、おもりを200g吊るした際のゴムひもの長さが22cmになっていることから、12cm分の伸びに対応する120gの力がゴムひも側の端にかかっていると考える。棒全体にかかる下向きの力はおもり200gと棒の重さ40gの合計240gであるから、ゴムひもが支える120gを除く残りの120gはばねはかり側で支えなければならない。

一方、太さが均一な棒の中央におもりが吊るされていることから、棒の両端を支えるばねはかりとゴムひもには、それぞれ(おもりの重さ+棒の重さ)÷2の力がかかっていると考えても構わない(入試では知っていることが当然視される知識である)。よって、おもりが200gの場合、両端にかかる力は(200+40)÷2=120[g]である。このとき、ゴムひもは12cm伸びて全長が10+12=22[cm]となるはずであり、これは表の結果と一致する。

 

(5) 棒に吊るしたおもりの重さとゴムひもの長さの関係を示す表を参照する必要があると気付けたかどうかがポイント。(4)の解答が必ずしも表の結果を必要としないことから、ここでこそ表が使われるはずだと考えられて欲しい。改めて表を見ると、600gまではおもりが100g追加されるごとにゴムひもが5cmずつ伸びるという比例関係が維持されているが、600gから700gの間で伸びが6cmに変化している。すなわち、比例関係が崩れていることが分かる。このとき、ゴムひもにかかっている力は、棒の重さも加味すると、おもり600gの段階で(600+40)÷2=320[g]、700gの段階で(700+40)÷2=370[g]である。よって、ゴムひもに直接100gのおもりを吊るしていくと、3個までは伸びがおもりの個数に比例するが、4個目以降からは比例関係に崩れが生じると予想される。

 

【大問2】水溶液の性質と化学反応

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

【1】から【5】の実験結果は水溶液に関する基礎的な知識を問うものであるが、水溶液が6種類なのに対し、選択肢が9つあることから、候補を段階的に絞り込んでいく作業が必要になる。難しくはないが、無駄に時間を使わないように手早く判断できるかどうかが鍵になる。

 

(1) この手の問題は実験結果ごとに候補を挙げていくよりも、記号ごとに検討していくのが早い。

Aは「電気が流れない【1】」、「固体が溶けている【2】」、「中性【3】【4】」である。これに該当するのは砂糖水のみである。

同様に、Cは「電気が流れる【1】」、「液体または気体が溶けている【2】」、「アルカリ性【3】【4】」であるからアンモニア水、Eは「電気が流れる【1】」、「固体が溶けている【2】」、「中性【3】【4】」であるから食塩水だと即座に判断できる。

しかしながら、BDについては、いずれも「電気が流れる【1】」、「液体または気体が溶けている【2】」、「酸性【3】【4】」という性質を共有しているうえ、該当する水溶液が酢・炭酸水・塩酸の3種類も存在する。

Fについても、「電気が流れる【1】」、「固体が溶けている【2】」、「アルカリ性【3】【4】」であるから水酸化ナトリウム水溶液または石灰水の可能性が残り、絞りきれない。

ここで【5】を見てみると、DFを混ぜて食塩ができると書かれているため、Dが塩酸、Fが水酸化ナトリウム水溶液だと判断できる。残ったBを判断するためには【6】を参考にする必要があるが、「炭酸◯◯」と反応させると気体が発生すると書かれている点に注目する。これに該当するのは炭酸水ではなく酢の方なのだが、これは知識が無ければ判断が難しい。「炭酸◯◯」という物質は、ナトリウムやカルシウムなどに炭酸が結びついてできた塩(えん)である。一方、酢は酢酸の水溶液であるが、酢酸は「カルボン酸」に分類される物質である。炭酸もカルボン酸も塩酸などの強い酸と比べると圧倒的に弱い酸であるが、両者を比べるとカルボン酸の方が強い酸である。さて、酸とアルカリの中和によって生じる塩には、塩を構成する酸よりも強い酸と混ぜられると、より弱い酸の方が遊離するという性質がある(アルカリでも同じ)。この場合は中和前の炭酸が復活することになるが、二酸化炭素は水に溶けにくい物質なので、炭酸が遊離するとすぐに、溶けきれない二酸化炭素が発生する。これが、「炭酸◯◯」に酢を加えると気体=二酸化炭素が発生する理由である。なお、中学受験で出題されるカルボン酸はほとんど酢であるが、クエン酸(正確に言うと、ヒドロキシ酸)もたまに登場するので覚えておくと良い。

 

(2) 過不足のある中和反応に関する定型的な問題。まず、表の数値を見ると反応後に生成される塩化アンモニウムの重さがちょうど反応前の塩化水素とアンモニアの重さの合計に一致することから、塩化水素75gとアンモニア35gが過不足なく反応する関係にある、すなわち75:35=15:7の比率で中和すると判断できる。あとは、問題で与えられている塩酸とアンモニア水に含まれる塩化水素とアンモニアの質量を計算し(塩化水素→80×0.1=8]g]、アンモニア→60×0.05=3[g])、その比率からどちらが先になくなるかを判断する(8:3=56/3:7≒18.6:7より、アンモニアのほうが先になくなる)。この場合、アンモニア3gが全て消費された時点で化学反応が停止するため、アンモニア35gで110g生成された塩化アンモニウムは、アンモニア3gに対して110×3/35≒9.4[g]と考えられる。この程度の計算問題は軽々とこなせるようにしておこう。

 

【大問3】ヒトの体内のつくり

  • 難度:やや難
  • 時間配分:5分

前年に続き臓器に関する出題であったが、役割のみならず空間上の位置把握も必要となり、難度が高い。判断が容易でないうえに、物理・化学に時間がかかる構成になっていることを考えると、短時間で答えを出す必要もある。臓器の特定を誤ると(4)で全滅する可能性もあるので、厄介である。

 

(1)(3) 厄介なのは臓器が断面図で示されており、通常の図解で目にするような前面からの臓器のイメージの知識が通用しないことである。ここでは、臓器の大きさと体内空間での位置のみが判断材料となるが、個数も重要な情報となり得ることに注意しよう。の臓器は2つずつ存在しており、該当する臓器は選択肢中に「じん臓」と「肺」のみである。ここでは臓器の大きさから、が肺、がじん臓であると判断できる。また、ここから図1がXの、図2がYの断面であることも特定できるはずである。さらに、断面の位置が分かることで、の心臓、の肝臓、の胃、のすい臓が判断しやすくなる。残ったのはであるが、食道が胃に繋がる器官であることを考えると、に胃があるのに対してが食道であるのはおかしい。よって、食道は①の方であり、②は大静脈だと考えられる。

 

(4) いずれも基礎的な知識の記述なので、臓器の特定が正しくできてさえいれば難しくないが、注意するとしたら肝臓である。肝臓は様々な働きを持っていることもあり、他の臓器と比べて明確な役割がイメージしにくい。ただ、その中でも出題頻度が高いのは、本問に記載されている胆汁の生産である。胆汁が乳化作用によって脂肪を細かい粒にし、消化酵素による分解を助ける点(胆汁は消化液に分類されるが、本来的な意味での消化は行わない)、胆のうで貯蔵・分泌が行われるが、生産自体は肝臓で行われる点はしっかり押さえておこう。

 

【大問4】プレートと地震

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

(1)〜(4)までは基礎〜標準レベルの問題なので、正解はもちろん、短時間での処理も求められる。鍵になるのは(5)。これが正しく理解できれば(6)も簡単に解けるが、理解できなければ(6)も正解できないので、大きく差がつく問題となり得る。

 

(5) 火山島を含む8つの島の位置が水平的な関係においてしか描かれていないことで、解釈を難しくしている。本問では、「1の火山島の真下にホットスポットがある」、「ホットスポットはプレートよりも下にあるため動かない一方、火山島はプレートと共に動く」、「2〜8の島はかつてホットスポットの上にあった火山島である」といったことを理解する必要がある。つまり、ホットスポットの上に形成された島が水平移動する一方、ホットスポットはその場に留まり続けるという、垂直方向を含めた空間的関係の認識ができていなければならない。具体的に言えば、たとえば島◯2は以前●1の位置にあったが、北西に動くプレートに乗って、◯2の位置まで移動したということである。さて、問題文によると、島◯6が4000万年前、島◯8が5000万年前に作られたということであるから、まず島◯8が現在の島●1下のホットスポットによりプレート上に形成され、そこから島◯6が生まれるまでの1000万年間、プレートと共に北へ移動したと考えられる。島◯6が形成された4000万年前以降はプレートの移動方向が北西へと変化し、島◯8や島◯6が現在の位置まで移動して行ったことになる。これらの考察から、4500万年前の時点では、プレートの移動方向はまだ北であったと判断できる。

 

(6) 距離と時間に関する情報が2組(島●1〜島◯6と島◯6〜島◯8)与えられている。豊島岡女子を受験するレベルで速さの計算自体を苦にする小学生はほぼいないだろうが、どちらの情報に注目すべきかの判断が問題になる。問われているのは「現在」の移動速度であるから、島●1〜島◯6までの距離(2000km)と時間(4000万年)を用いて速さを計算する。

 

攻略のポイント

近年目立った易化傾向への反省からか、今年は難度に揺り戻しが見られ、解き応えのある問題が多かった。例年は応用〜発展レベルではあるものの、問題集で目にするような設問の出題がほとんどであったのに対し、本年度は一捻り加えられた問題が幅広い分野で見られたため、定番の問題を手早く処理できる習熟の深さに加え、知識や情報を足掛かりとした考察力が鍛えられていたかどうかが勝負の鍵になる。他方、計算問題そのものは多かったものの、考え方さえ分かれば極端に複雑な思考処理を要する問題は見られなかった。中和反応で生成される塩の質量や、地震の発生時刻の計算は、このレベルの受験においては基本問題に等しい。本年度のように、物理分野や生物分野での失点可能性が高い設問構成では、こうした計算で確実に得点できないと、合格は覚束ない。また、化学分野の知識問題も内容的にはほぼ基本レベルなのだが、入試時間の制約を考えると、如何に短時間で答えが見つけられるかも重要である。

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