女子学院中学校 入試対策
2025年度「女子学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
女子学院の満点は100点、理科の得点も大きく合否にかかわってくる。標準~やや難度の高いレベルの問題が中心に並んでいる。問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。また、知識についてはかなり細かい事柄まで問われることがある。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行おう。分野毎の学習方法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は昆虫についての基本知識問題と寄生バチに関する問題が出題された。寄生バチに関する問題は本校らしい実験考察問題で、記述問題も複数含まれていた。近年では、植物、食物連鎖、昆虫、メダカ、人のからだの働き等に関する出題が見られ、植物に関する出題が多い傾向にある。この分野の学習において、まずは各単元の知識を確実に覚えることは絶対条件となる。実験・観察問題が入試出題の中心となるが、確実な知識がなければ分析・考察もできない。ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類、食物連鎖などの基本知識を早い段階で確実に覚えて欲しい。その上で、実験や観察を通して考えさせるタイプの問題演習に時の間をかけたい。観察に使う顕微鏡など、実験器具の使い方についても覚えておきたい。
地学分野 本年度は地震と津波について、および、木星と木星の回りを公転する衛星に関して出題された。木星と衛星に関する問題は図の読み取りと考察問題で、ややレベルの高い内容であった。ここ数年では、月について、惑星の動き、太陽の動きと日食、星の動き、気象、気象衛星などについての出題が見られ、天体に関する出題が多い傾向にある。この分野の学習方法としてもまずは正確な知識を身につけること。何を問われても大丈夫なように徹底的に知識を吸収する覚悟が必要。特に星・月・太陽などの動きについての理解に力を入れること。それ以外では、風・雲・四季の天気の特徴、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている事項は確実に理解し覚えて頂きたい。その上で、問題演習にも時間をかけて欲しい。
物理分野 本年度は輪軸と滑車についての出題で、原理や解法の真の理解が試される内容であった。ここ数年では、浮力、振り子の運動、てこのつりあい、ばね、電気回路、電磁石とモーターなどについて出題された。力のつりあいと電気に関する出題が多い。この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題演習に時間をかけたい。問題集や他校の過去問なども利用し、多少難度の高い問題にもチャレンジして欲しい。電気については、豆電球の明るさ・電磁石・方位磁針の振れ・電熱線の発熱・LED回路・手回し発電機など幅広く問題演習を行いたい。
化学分野 今年度は炭酸水素ナトリウムに関する出題で、やや難度の高い計算問題も含まれていた。ここ数年では、気体の性質と中和反応、水溶液の性質、燃焼などが出題されている。化学変化に関する出題が多く、難度の高い計算問題が出題された年度もある。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。この分野においても、問題演習のレベルは高めに設定して欲しい。
各単元の知識定着は夏休み終了までに終わらせたい。秋以降は過去問演習や総合的な問題演習に取り組んで欲しい。問題演習の際には、時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用しよう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2025年度「女子学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は25、100点満点で試験時間は40分、例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題と出題形式は多様であり、正確で幅広い知識とその知識を運用する力が要求される。また、40分という時間に対して問題数が多いので、できる問題からてきぱきと答えることが求められる。過去問等を利用した時間を意識した上での問題演習が必要である。
【大問1】地学分野 地震と津波・木星と衛星
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
1 地震
(1)震源・マグニチュード・断層といった地震に関する語句を空欄に入れる問題。
(2)津波は海底の地形変化によって発生する。浴槽の底が海底にあたる。
(3)内陸を震源とする地震では、津波が発生しないことが多い。
2 木星と衛星
(1)4つの図を見比べると、Dが最も内側を公転するイオ、Aが最も外側を公転するカリストとわかる。D(イオ)は地球と木星の間を2回横切っている。また、A(カリスト)は9月12日と13日の間に1回横切っている。AとBはそれぞれ1回横切っている。またBは1回だけ横切り、Cは1回も横切っていないことがわかる。
(2)Aは地球と木星の間を横切るまでは次第に大きくなり、横切った後は小さくなっていく。Cは期間中地球に近づいており、次第に大きく見える。
(3)BとCでは、Bの方が木星に近い位置を公転しているのでエウロパ、Cがガニメデとなる。
(4)記述問題。図②を見ると木星の左側に衛星Dの影があることから、図の左側に太陽があることがわかる。図④で衛星Bは木星の右側にあるので、太陽光が木星によってさえぎられ、衛星Bに当たっていなかったと考えらえる。
前半は地震と津波に関して、後半は木星と木星の回りを公転する衛星に関する出題。木星と衛星に関する出題では、図を読み取って考察する力が求められる。なお、本校では天体についての出題頻度が高い。今回同様、単なる丸暗記では通用しない出題も想定される。天体の動きや見え方を理屈で理解することが重要であることを再確認して欲しい。
【大問2】生物分野 昆虫・寄生バチ
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
1 昆虫
昆虫はからだが頭・胸・腹の3つに分かれ、胸にあしが6本ついている。ダンゴムシ・ムカデ・クモは昆虫ではない。
2 寄生バチ
(1)寄生についての文を選択する問題。「一方は利益を得て、他方は不利益を受ける」に該当するのは、ナンバンギセルとススキの関係。
(2)イヌガラシ同様にモンシロチョウの幼虫の食草であるキャベツはふさわしくない。
(3)アオムシサムライに近く、アオムシサムライから同じ距離さらに通気性の良い素材からも同じ距離の位置におけばよい。
(4)実験結果から言えることを選択する問題。やや迷う選択肢もあるので、注意して選択すること。
(5)あなたが質問したいことについて記述する問題。たとえば、健全株と機械傷株での実験結果はどうなのか?など。
(6)記述問題。コナガサムライに寄生されるコナガの数が減ると考えられる。
昆虫についての基本知識問題と寄生バチに関する実験についての考察問題。(5)は何を書けばよいか迷うかも知れないが、「あなたが質問したいこと」なので、このような問題では空欄にはしないことをお子様とも確認して欲しい。
【大問3】化学分野 炭酸水素ナトリウム
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
1 赤いリトマス紙を青に変化させるのはアルカリ性の水溶液。アンモニアと水酸化ナトリウムが該当。
2 1Lが1.87gなので、4.4gでは、4.4÷1.87より四捨五入して、2.4L。
3 炭酸水素ナトリウム16.8gを加熱すると4.4gの二酸化炭素が発生し、10.6gの炭酸ナトリウムが残る。11gの二酸化炭素が発生したことより、炭酸水素ナトリウムの重さは11÷4.4×16.8より42g。生じた炭酸ナトリウムは11÷4.4×10.6より26.5g。また、粉末70gの中に含まれていた炭酸ナトリウムは、70-42より28g。したがって、残った炭酸ナトリウムは26.5+28より、54.5g。
4 実験結果を表すグラフを選択する問題。
5 塩酸を加えた時に二酸化炭素を発生する物質を選択する問題。炭酸カルシウムを含む石灰石・貝がらの2つが当てはまる。
6 「立方体の固体」より、食塩。
7 0.27:0.34を簡単な整数比にすると、4:5に近い。同じ体積の二酸化炭素を発生させるときの炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの体積比も4:5となる。1.2gの炭酸水素ナトリウムから発生する二酸化炭素は0.34Lなので、4gの炭酸水素ナトリウムから発生する二酸化炭素は、4÷1.2×0.34より約1.1L。
8 16.8gの炭酸水素ナトリウムに十分な塩酸を加えた時は、16.8÷1.2×0.34より約4.8Lの二酸化炭素が発生する。16.8gの炭酸水素ナトリウムを加熱すると2.4Lの二酸化炭素が発生し、10.6gの炭酸ナトリウムが残る。10.6gの炭酸ナトリウムに十分な量の塩酸を加えた時、10.6÷1.2×0.27より約2.4Lの二酸化炭素が発生する。したがって、2.4+2.4より、この場合も4.8Lの二酸化炭素が発生する。
炭酸水素ナトリウムに関する出題。化学変化に関するややレベルの高い計算問題も含まれている。なお、本校では水溶液関連は頻繁に出題されている。これを機会に、レベルの高い問題も含めて演習量をしっかり確保できるように計画を立てよう。
【大問4】物理分野 輪軸・滑車
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
1 輪軸
(1)Bが支点、支点からの距離が長いCが力点。
(2)反時計回りの回転力は、2㎝×70gより140。カとオに10gずつ、またはエに10gオに20g下げると、時計回りの回転力も140になる。また、ウに10gオに20g下げると、時計回り・反時計回りいずれの回転力も160になる。
2 滑車
(1)動滑車の支点にあたるAとBは高さが変わらない。G・H・I・Jは60㎝下がり、
Dは60㎝上がる。動滑車の円周が60㎝であることを考えると、CとEは30㎝上がる。EはJと同じ秒速5㎝で、荷物はJの半分の秒速2.5㎝で動く。
(2)反回転させたことから、Aはイに、Hがケに移る。人形Pは3秒で3㎝進んだので、秒速1㎝。Dにあった人形Qはオの位置に移動している。6㎝進んだことになるので、秒速2㎝。
前半は輪軸、後半は滑車に関する出題。輪軸の問題は回転力を使った基本的な計算手法が身についているかが試される。滑車の問題は、動滑車と定滑車の原理が身についているかが問われる内容。いずれの問題も、日頃からの問題演習の成果を発揮しやすい内容問題である。
攻略のポイント
本校理科の入試問題では、知識・思考分析力・計算力などレベルの高い総合力が要求される。実験や観察の結果、表やグラフをもとに考察させるタイプの問題が多く、計算力、記述力が要求される問題も含まれる。選択肢問題は「答えが複数ある場合はすべて答えよ」と指定されてある。これがかなり高い関門となる。答えが1つだけなのか、複数あるのかがわからないために、常に「他に選択すべきものはないか?」を考える必要があり、正確な知識と判断力が要求される。
攻略ポイントとして、まずは苦手単元を作ることなく、各単元において正確な知識を身につけることが必要となる。その上で、計算問題や実験・観察問題の練習にしっかり時間をかけたい。過去問はもちろん、同レベル他校の過去問や問題集の難度の高めの問題等を有効的に活用して欲しい。
問題数が多いので、40分という試験時間はかなり短く感じられるであろう。できる問題から解答欄を埋めていくといった作戦をしっかり立てて欲しい。特に、入試直前期には過去問を中心とした時間を意識した問題演習を心がけよう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
女子学院中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。