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女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「女子学院中学校の理科」
攻略のための学習方法

 

まず、知識面では参考書の知識が全て入っていれば差し支えない。ただし、「漏れなく、正確に」覚える意識が重要である。たとえば、紫キャベツ液の色変化の問題では、単に酸性かアルカリ性かだけではなく、それらの性質が弱い場合、強い場合の色までを識別することが求められた。特に、今年度のように正解となる選択肢の個数が分からない問題の場合、知識にあやふやさがあると致命的である。頻出の知識に加え、数値や例外的な傾向まで、丹念にチェックしておきたい。また、記述問題も出題されるため、用語だけでなく、その説明まで出来るように勉強しておくこと。

他方、一般的な中学受験用の参考書を超える範囲の知識は、却って問題を解く妨げになるかもしれない。たとえば、高校の有機化学で学習するフェノールという物質は水に溶かすと弱い酸性を示すが、青色リトマス紙を変色させるほどの強さにはならない。厳密には、青色リトマス紙を赤く変えられるのはpH4.5以下の酸性溶液に限られる。ところが、こうした知識があると「すべての酸性の水溶液にあてはまる性質」を一つも選べなくなってしまう。あくまでも中学受験レベルの知識だけを前提とし、それ以上の知識との整合性はあまり意識されていない作りになっているようなので、参考書で徹底的に学ぶことに専心するのが良い。そこまでやってなお分からない知識問題であれば、解けなくても差はつかない。

計算問題については、寧ろ答えやすい部類に含められる。本年度は選択肢問題の正確な検討に時間を要するはずであるから、計算問題をいかに手早くクリア出来るかが、勝負の分かれ目の一つとなり得る。ただ、そうは言ってもさすがに単純な問題は出してこない。今回で言えば、物質を水に溶かすことで生じる水温変化の問題では、溶質と溶媒の両要素を変化させる設定が与えられていた。このように考慮すべき変数を増やしていくのは、計算問題を複雑化させる常套手段の一つである。基本的には、それぞれの変数がもたらす結果の総和が全体として生じる結果となる。落ち着いて各個撃破出来るように、練習して慣れておきたい。

また、計算問題や思考問題を正確に処理するために訓練しておきたいのが、状況を簡単な図にまとめる能力である。特に、不定時法の問題や回路の問題は図が正しく描けることが、そのまま考えるべきことの明確化につながり得る。半面、状況の理解に曖昧さがあると図を描くことが出来ない。小学生はそこを詰め切るのを厭うがゆえに、図を描くことを避けがちなので、学習の早い段階から図を描く練習は徹底しておきたい。

本年度の出題の大きな特徴は、やはり選択肢を「すべて選べ」という形式にある。指示を冒頭に記して全ての出題に適用する徹底ぶりだが、これは大学入試改革を見据えた対応なのではないかと思われる。そうだとすると、次年度以降もこの形式の出題が継続される可能性が高く、他の学校でも同様の傾向が増えてくることも考えられる。そのため、消去法に依存しない選択肢の検討に慣れておくのが望ましい。まず、選択肢の問題では「すべて選べ」という指示が与えられていなくとも、常に複数の正解が存在する可能性を念頭に置いて取り組めるように習慣づけておきたい。当たり前のことだが、全ての選択肢について丁寧に正誤を判断することが大事である。さらに、誤っている選択肢については、「正しくはどう書かれているべきか」まで考えられると力がつく。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

【生物分野】

 

知識問題が多いと思われがちだが、意外に理解が要求される。本年度の問題で言えば、「植物は気孔から蒸散を行う」、「植物は気孔から二酸化炭素を取り入れて光合成を行う」というのはごく初歩的な知識だが、そこから水分保持と光合成が競合するニーズになり得る可能性を理解する必要があった。動物にせよ、植物にせよ、ある組織や器官のはたらきや形状、あるいは生態が、環境適応上どのような意味を持つのかを考えながら学習を進めること。

【地学分野】

 

覚えるべきことはそれ程多くなく、あまり難しい知識が訊かれることもないので、知識問題は確実に押さえておきたい。問題集を繰り返し解いて、漏れなく穴を埋めておこう。多くの受験生が苦手とするのが、天体の見え方に関する問題である。この分野こそ、正に作図力が物を言う。問題演習の際は解説を理解するだけでなく、解説の図を自分で再現できるようになるまで練習を徹底しておくこと。他の範囲の解きにくい問題は多種多様なので、実戦演習の経験を積んで様々なタイプの出題に触れておくのが望ましい。

【物理分野】

 

回路の問題は基本的に電池と抵抗を直列/並列に組み合わせるだけなので、一度原則を身につけてしまえば難しくない。難度が上がるのは、ここに水温上昇の問題が絡められた場合である。苦手な受験生は多いが、考慮すべき変数が多い問題の典型なので、これに慣れておくと他の分野の計算も楽にこなせるようになる。積極的にチャレンジすべき。力学については、一見複雑に見えるつり合いの問題以上に、運動に関する問題が穴になりがちである。応用〜発展レベルの演習を念入りに。

【化学分野】

受験生の多くが抱く計算への苦手意識からか、相対的に知識問題は易しいと思われがちだが、細かいところまで緻密に覚えようとすると、かなり大変である。金属の熱/電気伝導性や酸へのとけ方、気体の重さや水への溶解性といった物質の性質は丁寧に押さえておきたい。計算は手早く解けなければならない部類に入る。表やグラフから完全反応の関係を押さえた後の比例式処理でもたつくことがないように、しっかりと練習を積んでおくこと。

 

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2018年度「女子学院中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

40分の試験時間に対し、解答箇所は53個。前回の61箇所からは減少したが、考えさせられる問題が多いので、悠長に解いている余裕は無い。また、今回は複数の選択肢を正解として選ばなければならない問題が幾つか存在した。「すべて選べ」とは冒頭にしか書かれていないので、焦っていると答えを1つだけ見つけて安心しがちである。注意するように!

 

【大問1】 地学分野:地層、太陽の動き

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

答えが分かってしまえば「ああ、そうか」としか思えないような設問が多いが、試験本番でスムーズに思い至れたかどうか。不定時法の問題は思考の正確さが勝負。きちんと図を描いて考えること。


(3) 生物の進化は、環境の変化に適した形態や生態を備えた個体が生き残るという自然選択を通じて引き起こされる。「生きている化石」が大昔から形態を維持しているということは、その生息環境が当時と大きく変わっていないことを示唆する。(ゴキブリには当てはまらないが…)


(1)① 不定時法では昼夜の長さにかかわらず、それぞれを6等分した長さが1刻となるので、日の出と日没がいつであろうが昼の時間は6刻である。

<時間配分目安:9分>

【大問2】生物分野:植物の蒸散と光合成

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

図や説明を書かせる問題が多いが、他の問題は丁寧に文脈やデータを追えば難しくない。1の空所補充で④が埋められた後も、文章を読み続けられたかどうかが理解の鍵となる。


夜は蒸散も二酸化炭素の吸収も起こっているため、気孔が開いていることに疑いの余地は無い。昼は蒸散が記録されているので、気孔が閉じられていると判断して良いかどうか迷うかもしれないが、5の設問を見てみると、気孔以外(茎など)からの蒸散もあり得ることに気づけるはずである。


光が当たっていない時間に蒸散量が増えているので、夜になって気孔が開いているのだと推測できる。蒸散量の増加量は3.47−1.33=2.14[g]であり、昼間の1.33gよりも大きい値をとることから、気孔からの蒸散量がその他の部分よりも大きいことは明らかである。部位別の蒸散量に関する知識からも、答えの推測はつけられる。


気孔を閉じておくことの利点は、水分の喪失を避けられることにある。つまり、日中の気温が高く乾燥が激しい砂漠に生息する植物であると判断できる。サボテンやベンケイソウといった植物(CAM植物と呼ばれる)は、気温が低く水分を失いにくい夜間に気孔を開いて二酸化炭素を取り込んでおき、昼間に気孔を閉じたまま光合成が行えるような仕組みを備えている。

<時間配分目安:8分>

【大問3】化学分野:中和と熱

  • 難度:
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

計算問題はあるが、基本的な比例計算の域を出ない。むしろ、細かい知識が訊かれている選択肢問題の方が難しい。複数正解が存在するものを的確に選べたかどうかも鍵になる。



(2) イは正解だが、比例の意味に注意したい。縦軸、横軸ともに値が0である点を通る直線でなければ、比例とは言えない。たとえばグラフ2の前半は比例のグラフではない。アは水平部分で約1.2g(1.17g)の気体発生が見られるため、ウとエはグラフ1に温度や時間の情報がないため、それぞれ明確に誤りである。問題はオの選択肢。発生した気体が相当量水に溶けると仮定すると、クエン酸を加えた量が少ない範囲では発生した気体の量が溶解度を下回り、逃げた気体の量は0で推移するはずである。グラフ1のように逃げた気体の量とクエン酸の量との比例が示されるには、水に解ける溶ける気体の量が、発生する気体の量に対して無視できるぐらい小さくなければならない。もっとも、この考え方は「発生する気体の量は反応した物質の量に比例する」ことや「気体の溶解度は常に一定である」ことを前提にしている。グラフ1からはこれらの前提が読み取れないので誤りである、と言わざるを得ないわけだが、そこまできちんと考えた受験生がどれだけいただろうか。

(3) グラフ2で見られる水温変化は、①重そうを溶かした際の温度変化、②クエン酸を溶かした際の温度変化、③中和による温度変化という3要因が組み合わさって生じている。まず、加えたクエン酸の重さが0gであるとき、②と③の影響は存在しない。よって、グラフ2においてクエン酸の重さが0gである点を見ると、重そうのみを溶かした際には水温が低下すると判断できる。また、グラフ1から重そう2gと過不足なく反応するクエン酸の重さは1.5gであることが分かる。1.5gを超えて加えられたクエン酸と反応する重そうは存在しなくなっているため、グラフ2で横軸の値が1.5gよりも大きくなる範囲での水温変化は、②の影響のみによってもたらされることになる。すなわち、クエン酸のみを水に溶かした際にも水温は低下すると判断できる。

(4)
① (3)で考えたように、重そうを溶かした際の温度変化はクエン酸0gの結果を参照すれば良い。表の結果は「グラフ1,2」からと書いてあるので、重そう2g、水40gの設定であることに注意。重曹1gの場合、水温の低下は0.8gの半分になるはずである。

② クエン酸の重さが1.50gから3.00gに増加した際の温度変化に注目する。この間、温度は5.0−4.2=0.8[℃]低下しているが、これはクエン酸3.00−1.50=1.50[g]を40gの水に溶かしたことによる変化であると考えられる。よって、クエン酸2gを同量の水に溶かすと、水温の低下は0.8÷1.5×2≒1.1[℃]と計算できる。

(5)
② 水の量が20gになっても、水に溶けて重そう1gと反応するクエン酸の量は水40gの場合と同じなので、吸収される熱量も同じになる。ただし、水の重さが半分になっているので、(温度変化)×(水の重さ)=(熱量)の関係から、温度の低下幅は2倍となり、直線の傾きが大きくなる。重そうが全て中和されクエン酸を溶かすだけになった状態でも、加えるクエン酸の量が同じであれば吸熱の大きさは同じであるので、同様に温度の変動幅は2倍となる。



(1) 紫キャベツ液は強い酸性に対して赤色、弱い酸性に対してピンク色、強いアルカリ性に対して黄色、弱いアルカリ性に対して緑色を示す。クエン酸は、水溶液の濃度を大きくすると、問題文にもある通り、紫キャベツ液を赤く変色させるだけの強さを持つ酸になり得る。酢酸の傾向も同様である。これらは塩酸よりも弱いが、二酸化炭素を水に溶かしたときよりも強い酸性を示す。他方、重そうと同じく弱いアルカリ性を示すのはアンモニア水である。もちろん、水酸化ナトリウム水溶液も極端に薄めれば紫キャベツ液を緑色にしか変えられない強さになるだろうが、選択肢に「うすい」と書かれていないので、考慮しない。

(2) 問題の設定からも分かるように、クエン酸のような個体を溶かしても酸性の水溶液は作ることができる。また、酢酸や硫酸も日常の環境では液体である。よって、イは誤り。また、アルミニウムは理屈上全ての酸に溶けて気体を発生させ得るが、酸の種類によっては反応によって生じる物質が金属表面を保護してそれ以上の反応が進むのを妨げ、結果として気体はほとんど発生したように見えない。ウも誤りとすべきだろう。エは直感的に誤りだと感じられるだろうが、具体的にどういった酸だとさびを落とせないのか、思い浮かべるのが難しい。可能性としては、たとえば炭酸で銅の緑青を洗おうとしても、生成されるのが緑青の成分である炭酸銅なのできれいにならない、ということは考えられる。なお、アについても、青色リトマス紙はpH4.5以下の強さを持つ酸でしか変色せず、本来フェノールのような弱い酸には当てはまらない。ただし、小学校の理科では酸性が「青色リトマス紙を赤色に変える性質」と定義されている以上、正解としなければならない。

(3) 知識が無ければ最終的には推測で当てるしかない。まず、アとオは酸性やアルカリ性が関与していないことから除外できる。逆にイ、ウではそれぞれレモンと梅が酸性の果汁を含むので候補にしやすい。実際には、酸性になると紅茶や赤じその色素の構造が変わり、変色が生じる。特に、赤じその中心色素は紫キャベツと同じなので、同様に酸性環境下では赤くなる。エは水酸化カルシウムと二酸化炭素の中和によって、水に溶けにくい炭酸カルシウムが生成される反応になる。溶けにくい物質が結晶として現れ出て白く見えているだけなので、酸による変色とは言いにくい。

<時間配分目安:13分>

【大問4】物理分野:電流と回路図

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

見た目は複雑だが、考え方は難しくない。各設問、要件をきちんと言葉で定義出来れば思考の筋道が立てやすい。



(1)
電池につながっている2本の導線のうち、1本を少し電池から離してずらしてみると、電池2個の並列つなぎと残りの1個の電池とが直列につながっていることが分かりやすい。

(4) (3)の結果から、②と⑤は除外される。③のウとエが図1のB(またはC)、④のオとカがA(またはD、E)と同じ明るさになることはすぐ分かる。よって、(オカ)(ウエ)の順番の決定は難しくない。問題は①のアだが、詳しい理屈が分からなくても、電池を直列につなげば回路全体を流れる電流の量が大きくなることは推測できるはずである。つまり、電池1個分よりも大きい電流に対して電球が1つであることから、アはオとカの電球よりも明るくなるという見当がつけられる。



(1)(3) 電圧と抵抗に分けて考えよう。電流を大きくしたければ電圧を大きく、抵抗を小さくすれば良い。電流を小さくしたい場合はその逆である。まずスイッチ①について考えると、アに接続すれば電池の並列つなぎ、イに接続すれば直列つなぎが選択される。よって、(1)ではイ、(3)ではアを選べば良い。また、抵抗を小さくしたければ、直列につながる電球の個数が少ない方が良い。(1)ではスイッチ②をイ、④をイに設定することで、電球1個にしか電流が流れない回路を作ることが出来る。この際、③については、そもそも上側の回路には電流が流れないので、ア、イのどちらを選んでも影響はない。逆に、(3)では②をア、③をアに設定することで、電球3個が直列に並ぶ回路を作ることが出来る。この際、④はどちらでも良い。ちなみに、②をイ、④をアに設定すると電球2個の並列回路と電球1個を直列につなぐことになるが、電球2個を並列につないだ回路の抵抗は電球1個の半分にしか相当しないので、電球3個を直列につないだときよりも抵抗は小さくなってしまう。


図示された回路からS1→S2の順番にスイッチを切り替えてみて、その度にONとOFFが切り替わるかどうかを検証してみると良い。

<時間配分目安:10分>

攻略のポイント

今年度は知識の応用よりも、文章理解、実験の処理・結果の正確な解釈が要求される問題が多かった。知識について言えば、多少細かいレベルまで訊かれていたほか、選択肢問題では複数の解答を考慮することが求められたため、消去法に頼れず、知識の正確さが勝負を分けるポイントとなった。半面、文章やデータの理解に基づく思考問題は難しくない。落ち着いて考えれば分かるものが多いはずである。ただし、じっくりと考える時間を確保できるかどうかが問題となる。慎重な検討を要する問題は多いが、最大限に思考スピードを引き上げて、丁寧かつ手早い判断が出来るように練習しておこう。

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