栄東高等学校 入試対策
2025年度「栄東高等学校の国語」
攻略のための学習方法
漢字・言語事項・文法
近年は知識分野が独立して出題されており、今後もこの形式が続くものと予想される。
漢字は、マークシートという形式上、同音・同訓異字の見分けが主体となる。漢字が書けたとしても正確な意味が分からなければ正解できないのは書き取りも同じであるが、同音・同訓異字の問題を多くこなすことは有効な手段である。レベルは標準的な高校入試の漢字問題集で良い。
文法や言語事項も問題数は少ないがしっかり出されている。文のつくりや品詞の区別・敬語や4字熟語など。国語を苦手とする生徒は特におろそかにしがちな分野であるが、正確な読解に必要な基礎を作るものでもあるので、心当たりのある人は復習を。
この分野が特に苦手な人は、中学受験の教材だが、四谷大塚等の漢字と語句の問題集などは良い練習になる。
長文読解
現代文2問で6000～8000字。説明的文章1問と文学的文章1問で出題されることが多い。
こちらもマークシートではあるのだが、通常の多くの試験、つまり書き抜きや記述問題のある試験と同様に取り組むのが得策であろう。他校も受験することを考えるとマークシート対策ばかりに時間を取られるのも不利であるし、選択肢を選ぶにしても、まずは正確な読解が当然必要となるからである。
段落ごとのつながり・要点の抜き出しなど、印や下線などを使ってハイライトしておき、全体の要約を考える。そうしておけば、消去法で明らかな不正解を除いたとき、残った選択肢がおのずと判別しやすくなり、迷ってミスする危険は減少する。その上で選択式問題の注意点に留意する。部分や一単語を注意深く吟味し、わずかな違いを見落とさないようにするのである。
物語の主題や論説文の論理の流れなどは高校入試としてはさほどの難問とはなっていないが、文中の語句・語彙に難しいものが多く見られるので、少し難し目の文章を多く読み、語彙を増やしておくと有利であろう。
古典
中高一貫校の試験の特性かもしれないが、高校入試で高校レベルの古文が出題されてしまっている点が難しい。中学校で一通り軽くなぞった程度の古典の実力では十分な得点は望めない。塾や独学でのさらなる学習が必須である。
とはいえ、それほどの難文が出されるわけではなく、細かな助詞の使い分けや複雑な文法が問われるわけでもない。話の内容やあらすじがわかれば答えられる問題が多いので、『最重要の古文単語200』といった暗記教材や代表的な基本文法を覚えておけば、大量失点は防げるだろう。
そして、他の教科や範囲がおろそかにならない程度に、できるだけ多くの古典作品に触れて慣れておくのがよいだろう。
最後に
全問マークシートが特徴の本校試験なので、選択式問題のコツをつかんでおき、正確にマークする練習をすることは大事である。
だからといって、あまりマークシートを意識しすぎないほうが良い。他の形式の問題でも得点できる実力がなければ、結局正しい選択肢も選べないのである。
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2025年度「栄東高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度以降、知識問題は独立せず大問に含まれている。それ以外は例年通りで大きな変更はない。文章量は古文も合わせて約8000字、解答数は33問。そのうち、論説文の読解15問・小説の読解10問・古文の鑑賞８問という出題になっている。文法などは中学受験で学習するレベルのものも多いので、速やかに進めて読解問題の選択肢の吟味に時間を多く取りたい。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分：24分
人が無意識を確信し自己了解が生じる条件には「自己の身体反応」と「他者の反応」があり、自分だけでは気づけない無意識の行動も、信頼できる他者から指摘されると承認欲求の充足とともに無意識が確信され、自己了解が生み出されるのである。
問一 a. 反射――遮光・射程・謝意・感謝・恩赦
b. 同調――聴衆・記帳・膨張・調度・尊重
c. 支障――障子・保証・症状・対照・称号
d. 抵抗――低迷・抵触・到底・停留・前提
e. 充足――住職・重責・従事・懐柔・拡充
問二 Ａ. 新たな自己像が意識され、理解が不十分であったことあるいは間違っていたことが確信され、「そして」修正される。
Ｂ. 気づきそうな機会があっても見て見ぬふりをしてしまう。「しかし」、そのような人でも他人から指摘されれば無視できない。
Ｃ. 信頼する人や親密な人からの指摘には耳を傾ける。「たとえば」、仕事の直前に胃腸の調子が悪くなったとしよう。
Ｄ. 弱い自分では周囲から認めてもらえない不安がある。「だから」、指摘されてもなかなか認められないし……。
問三 「この場合」とは、「嫌いな相手、信頼できない相手に無意識を指摘され」た場合で、その場合は無視したり言い返したりして、「無意識の確信は生じない」のである→(４)。
問四 １と５. 本人の中の「欲望や不安」などの「無意識」を指摘されたのではない。
問五 自分だけでは、気づきたくなくて見て見ぬふりをしてしまうことでも、他人から指摘されれば無視できない→選択肢３。
問六 身体が反応するとき、無意識があることを確信し、それと同時に自己了解が生じている→ただ、「習慣化した行動」には自己了解が生じないのではないかという疑問もある→特に、訓練した運動などは自己了解と無関係に思える→確かにそれは無意識経験の典型例とは言えない→(なぜなら)無意識を強く意識するのは、体験の中にそれまでとは異なる自分を見出したときだからだ……で文がうまくつながる。
問七 なぜ親しい人からの指摘は受け入れやすいのかというと、その人に「承認されたい」からである。また、そういう相手なら、自分の弱さを受け容れてあるがままの自分を認めてくれる。そうした「信頼と承認の充足」が、目を向けたくない無意識をも素直に認めさせてくれるのである→選択肢４。
問八 生徒Ｅ： 「どんな指摘でも真摯に受け容れる」ことが大事だとは述べられていない。
〔ワンポイント！――記号選択問題なので、本文との一致・不一致を判断するのが主となる。キーワード・重要な段落・要点など、目立つようにしておいてすぐ探せるようにしておこう。〕
【大問二】小説の読解
- 時間配分：16分
フランス名画展でマティスの傑作を見て感動した、小説家である主人公。意を同じくした二人の学生にその感動を告げ、自分も唯一無二の小説を書こうと決意する。
問一 a. 絵が傑作であることを理解できない人々の「わかってない」感が出ている言葉であるから、選択肢３が合う。
b. ２
c. ５
問二 ２. 「集めている」は「作品が」にかかる修飾語である。
問三 ３
問四 ⅰ. 固唾を呑む
ⅱ. 啖呵を切る
ⅲ. 思っていることを全部言ったので、「清々しい」笑顔になった。
ⅳ. 胸に刻む
問五 ４
問六 主人公はマティスの絵を評して、「彼にしかできない表現、彼にしか生み出せない世界」「この世にたった一点の作品」「唯一無二であること」などと考え、「画家の個性・唯一性」に重きを置いていることが読み取れる→選択肢５。
問七 岸上は「まだ何が僕なのか、わかってへん」「僕そのものの絵を描けるようになるまで、決してあきらめません」と述べており、絵が上手いだけでなく、自分にしか描けない唯一の絵を描けてこそ真の画家なのだと気づいたのである。
問八 主人公はマティスの絵の評において、「ある者は嘲笑し」と、絵の見方は人それぞれで嘲笑することもまた良しとしている→選択肢２が合う。
〔ワンポイント！――小説の読解では、行動の理由や心情の説明を選ぶことになる。なぜなのか・どんな気持ちかなどを読みながら考えて、答えをすぐ選べるように予測しておければ時短になる。〕
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分：10分
頼経は人相見から「今夜、命の危険がある」ので、「自分が最も大事にしているものを殺せば運命を変えられるかもしれない」と言われ、最初は可愛がっている馬を殺そうとしたが、馬の無心な様子を見て情が湧き、妻を殺そうと矢を射た。皮籠も貫いて妻は死んだが、籠の中には刀を抜いた法師が死にかけて動いていた。頼経が寝たら殺させようと、情夫の法師を妻が皮籠に隠しておいたのだ。例の人相見はただの人ではなかったか。
問一 a. ５ b. １ c. ５
問二 「たとえ妻子であっても殺しなどしてこそ、災いを変えられるかもしれない」
問三 「(馬が)頼経を見て無心にいなないたので」射殺す気持ちもしなくなって……。
問四 (一) 結果として、浮気相手に頼経を殺させようと考えた妻と、浮気相手の法師が両方死ぬことになった、という話である。
(二) ４
(三) 悪事を企て死んだ二人は「自業自得・因果応報」ということであろう。
〔ワンポイント！――難しい語に注釈が付くが、それ以外の現代語訳などはつかないので難しい。配点が２割５分ほどあるので、基礎的な単語や文法をしっかり学習し、大きな失点は避けるようにしたい。〕
攻略ポイント
古文で大きく失点すると不利である。高校初級程度の教材で良いので、最重要単語や文法を覚えてなるべく多くの文章に目を通しておく。
本校の現代文の読解については、マークシート方式だから簡単ということにはならない。通常の解答形式の問題でも得点できる実力がないと正解を選べない。もちろん選択式問題を多くこなすことも肝要である。その上でマークミスをしないようになれておけば良い。知識問題は幅広く出題されるので、文法も言語事項も抜かりなく対策をしておくべきである。