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桐蔭学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「桐蔭学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「桐蔭の選択肢」で勝利するための鍵は、「問題解説」でも触れたように「消去」の際に「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、桐蔭などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。

「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。

なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。

速読

全てで6000字程度(「選択肢説明」ではそれ以上)を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。桐蔭に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐蔭の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題があり、難易度も高い。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

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2020年度「桐蔭学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」。小問は全3問(解答数11)。「漢字問題」(全5問/「同音異字」判別)、「語句の意味・用法判別」(全5問/「慣用句」「ことわざ」など)、「敬語表現の正誤判別」(複数完全解答)。7~8分で解きたい。

大問は「論説文」、出典は阿部謹也「『教養』とは何か」所収の「建前と本音」(文字数約4500字)。小問は全10問(解答数10)。「内容説明」「換言説明」「理由説明」「空所補充」「乱文整序」「総合的知識問題」、「組み合わせ」あり。問題文は6分弱で読み切り、設問を15~16分で解きたい。

大問は「古典常識」。小問は全3問(解答数3)。「十二支を用いた時刻表現」、「十二支を用いた方位表現」、「月の異名」。3分ほどで解きたい。

大問は「古文」、出典は根岸鎮衛「耳袋」(文字数約1300字)。小問は全11問(解答数17)。「内容説明」「理由説明」「心情説明」「本文解釈(合致)」「主語特定」など。20分弱で解きたい。以上は、全て「マークシート方式」の「選択肢設問」。

【大問一】

  • 時間配分:7~8分

「総合的知識問題」。「漢字問題」(「同音異字」判別)の難易度は本校の「標準レベル」で「全問正解」が必須。「慣用句」や「ことわざ」などの「意味・用法判別」は馴染みの薄いものもあり曲者、「敬語表現の正誤判別」に関しては「複数完全解答」ということもあり難解極まりない。以下、それら2問を確認したい。

[問2] 「語句の意味・用法判別」(全5問/各4択)。示されている(A)~(E)の各文の「傍線部の語句の意味を表す表現」をそれぞれ答える。確認して判別していきたい。

(A)「おいしいものをたくさん食べた結果、味の善し悪しがわかるようになった」⇒各選択肢は(1)「舌を巻いた」・(2)「舌が肥えた」・(3)「舌が回った」・(4)「舌を出した」=「舌」を用いた「慣用句」、全て知っているはず⇒無論、「答え」は(2)だ。

(B)「誰でも自分の身近な場所で事件が起きれば、驚くものだ」⇒各選択肢は(1)「足が出てしまえば」・(2)「揚げ足を取られれば」・(3)「足を奪われてしまえば」・(4)「足下から鳥が立てば」=「足」を用いた「慣用句」だが、知らないものもあるか?⇒「身近な場所」≒「足下」と判別したい。「答え」は(4)。

(C)「幼児が言うことをきかなくても、怒るほどのことではない」⇒各選択肢は(1)「目くじらを立てる」・(2)「目を見張る」・(3)「目に余る」・(4)「目から火が出る」=「目」を用いた「慣用句」⇒「怒る」のだから、(1)の「目くじらを立てる」を知らなくても「消去法」で「答え」だと判別できるはず⇒「目をつりあげて人のあらさがしをする。他人の欠点を取り立てて非難する」という「原意」(本来の意味)も押さえておくこと。

(D)「彼女は、この選抜チームの男ばかりのメンバーの中でただ一人の女性だ」⇒各選択肢は(1)「はきだめに鶴」・(2)「鶴の一声」・(3)「紅一点」・(4)「高嶺の花」=「ことわざ」が並んでいる⇒ここは「文脈」から(3)の「紅一点」が「答え」だと分かるはず⇒尚、馴染みが薄いだろう「はきだめに鶴」=「つまらない所に、そこに似合わぬすぐれたものや美しいものがあること」、確認して定着させておきたい。

(E)「彼は十分な経験を積んでいるらしく、顔からは自信がうかがわれた」⇒各選択肢は(1)「片が付いている」・(2)「はくが付いている」・(3)「先が見えている」・(4)「場数を踏んでいる」=「慣用的表現」が並ぶ⇒未知のものがあるやも知れぬが、「十分な経験」≒「場数」と結びつけたい。「答え」は(4)になる。

尚、各選択肢の「表現」でひとつでも未定着のものがあった諸君は、確実に復習をしておくことが不可欠。

<時間配分目安:全問で3分強>

[問3]「敬語表現の用法正誤判別不適切選択肢」(8択/複数完全解答)。示されている(1)~(8)の各会話文中の「言葉の使い方」として「正しくないものをすべて」答える。そもそも、多くの諸君は「敬語」が苦手で、その上に「複数完全解答」ときたら、正解することはほとんど奇跡、至難の業だ。チャレンジしてみる。

(1)「お帰りになられるお客様方は、……」⇒「お客様方」に「尊敬語」を用いるのは正しいが、「お~なる」が「尊敬表現」なので、さらに「尊敬」の助動詞「れる」を重ねることは「二重敬語」になってしまう=不適切⇒「お帰りになるお客様方は、……」でいい。

(2)「いただきものですが、遠慮なく召し上がって下さい」と(3)「その件は、私の父より聞き及んでおります」は「尊敬語」「謙譲語」の使い方が「正しい」と分かるはず=適切。

(4)「片平監督、明日はそちらの練習を拝見させていただきます」⇒「監督」に対する「自分」の行為なので「謙譲語」を用いるのだが、「拝見」と「いただきます」はともに「謙譲語」で「二重敬語」だ=不適切。

(5)「お越しになった方はこちらへどうぞ。私が校内をご案内申し上げます」⇒「お~なる」という「尊敬語」、「申し上げます」という「謙譲語」の使い方、ともにOKだと判断できる=適切。

(6)「三橋先生、班長の田中君に申し上げておきます」⇒「自分」が「同じ立場」の「田中君」に言うのだから、「申し上げておきます」という「謙譲語」はあり得ない=不適切⇒「言っておきます」などでいい。

(7)「山田先輩、私たちと一緒に大学を見学に参りませんか」⇒「先輩」が「行く」のだから、「参りませんか」という「謙譲語」は使えない=不適切⇒「いらっしゃいませんか」などとする。

(8)「今日の新聞をご覧になりましたか」⇒「相手」に対して「ご覧になる」というという「尊敬語」を用いている=適切。

したがって、「答え」は(1)(4)(6)(7)だ。本問は無論、「捨て問」で構わないが、「敬語」は頻出なのでしっかりと理解しておくことが肝要。

<時間配分目安:全問で2分半>

【大問二】

  • 時間配分:15~16分

江戸時代や西洋中世の学問のあり方、公共性と「世間」の歴史的洞察から、集団の中で生きる「教養」の可能性を論じている。本文はその中の論考で、わが国では長い間、個人は「西欧的な個人」である前に「世間」の一員であり、西欧的近代化を遂げた明治以降も、「欧米の個人」としてではなく、「世間」の中で生きていると指摘している。「社会論」であり、難解な語句もあるが、「※注」を用いれば内容は理解できる。「総合的知識問題」を含め多様な「設問内容」だ。以下、いくつかを検証する。

[問1] 「空所補充の語句組み合わせ選択肢」(4択)。本文中の空所【A】~【C】に「あてはまる語句の組み合わせ」を答える。各選択肢の候補の「語句」は「建前」か「本音」のどちらかだ。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を確認する。空所前後は「自分自身の意見は【A】として『世間』の蔭に隠れていた。『世間』を代弁する発言はこうして個人にとっては【B】となり、【C】と区別された」となっている。どこか分かりやすいところを特定して、選択肢を絞り込みたい。【A】は「『世間』の蔭に隠れていた」のだから、「本音」があてはまると分かるはず。この段階で選択肢は(2)か(3)になる。そして、【B】は「『世間』を代弁する発言」なので、「建前」が相応しい。よって、【B】が「建前」になっている(3)が「答え」だ。「組み合わせ選択肢」では、分かりやすい部分で「選択肢」を一気に絞り込むことが肝要だと心得よ。

<時間配分目安:1分>

[問4] 「空所補充の熟語選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「四字熟語」。本文中の空所【D】に入れる「四字熟語」を答える。各選択肢は、(1)「竜頭蛇尾」・(2)「文明開化」・(3)「和魂洋才」・(4)「付和雷同」。基礎的なものばかりなので、全ての意味内容を知っているはず。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で空所前後を確認する。「精神の面まで欧化しようと考えていたわけではなく、いわば【D】の道を模索していた」。ということは、【D】=「精神の面」以外を「欧化」することだ。「日本固有の精神を以て西洋の学問・知識を学び取ること」である(3)の「和魂洋才」が「答え」だと特定できる。本問は平易だったが、本校では「四字熟語」をはじめ、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」などでの「高度な語彙力」が問われるので覚悟せよ。

<時間配分目安:1分弱>

[問7] 「理由説明選択肢」(4択)。傍線部⑤「特に知識人の場合はその相克は深刻なものがあった」について、「どうしてか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則で、先ずは「原意消去」したい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「理由説明」なので、傍線部の「原意」の「直接的理由」として、各選択肢の「文末」が結びつくかどうかで「消去」する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。照合してみる。

(1)「発言をしなければならなくなってしまったから」→「相克は深刻」、(2)「遊離することになってしまったから」→「相克は深刻」、(3)「確信するようになってしまったから」→「相克は深刻」、(4)「困惑してしまったから」→「相克は深刻」。さあ、どうだろうか? 判別できるか? 「相克」=「両者が互いに勝とうとして相争うこと」だと知っているはずなので、「両者」に結びつく説明でなければ「理由」にならないと判断できなくてはいけない。よって、「他から離れる」という意味の「遊離」に言及している(2)以外は「消去」できる。他の部分の説明を、「同一意味段落」で確認しても特に誤ってはいない(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。したがって、「答え」は(2)でいい。「一発消去」で即答できた。本校では「選択肢説明」のとても長いものがある(本問は各「140字前後」)。全てを照合していたら混乱するし時間もかかる。「原意消去」でショートカットすることは必須ツールだと心得よ。

<時間配分目安:1分強>

[問8] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部⑥「我が国の近代化がもたらした最大の問題」について、「どのようなことをさしているか」を答える。先ずは「原意消去」からといきたいが、ここは「さしていること」を答えるので流石(さすが)に無理だ。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直後に「(最大の問題が)こうして生まれた」とある。「最大の問題」は「こうして」の内容と直結していると分かる。「指示語」なので開く。ここは段落冒頭なので前段落全ての内容を指し示すことに留意して読み取ると、「こうして」=「近代化の中で私たちは『世間』が存在しないかのように振る舞ったが、『世間』の中で生きている人間として納得できないことに対しては、うわべで従っても強固な反対の意志を隠すようにして」だと分かる。さらに、直後の一文では「あらゆる面において二重生活をやむなくされた」と説明されている。判別材料がそろった。各選択肢を確認する(ここは説明が短いので全文)。(1)「『世間』が存在していることを忘れなければならないこと」、(2)「建前の世界と本音の世界の両方で生きていかなければならないこと」、(3)「公的な舞台において『世間』という語を用いることができなくなったこと」、(4)「欧米の個人が我が国の中に存在しているという前提を持たねばならないこと」。勿論、「答え」は(2)だ。「原意消去」がどうしても不可能な場合は、基本的解法に則して「消去」していくことになる。

<時間配分目安:2分強>

[問9] 「空所補充の乱文整序選択肢」(4択/複数完全解答)。本文中の空所    X  には、示されている(a)~(e)の各文が入るが、「意味が通るように並べ替え」、「正しい順番」を答える。「乱文整序」では先ず、「乱文」どうしで「順序」が特定できる組み合わせを探すことで「選択肢」を減らしておきたい。その際は「内容」は勿論、「接続詞」「副詞」や「指示語」が重要な「手がかり」になる。各選択肢をチェックする。(b)と(c)に「そのようなとき」、(e)には「それ」という「指示語」が冒頭にある。大きな「手がかり」だ。それぞれの「指示内容」が「前文」にあるはずだ。繋がりを特定いていきたい。(c)は「そのようなときに日本の『世間』から要請が届けられる。」となっているので、(d)の「彼は外国にあって日本の『世間』をしばし忘れて暮らしている。」が「前文」だと分かるはず。そして、「日本の『世間』から要請が届けられる」こと、「それは忘れていたかつての桎梏(=人の行動を制限して自由を束縛するもの)が再び押し寄せてくる予感を与えるのである。」とある(e)が繋がると判断できる。さらに、「桎梏の予感」がする「そのようなときに怒ったり、喜んだりして返事を書くと致命的な誤りを犯すことになる。」という(b)と繋がることが分かる。ここまでで、(d)→(c)→(e)→(b)の「順番」は確定できるはず。さて、残りの(a)は「日本にいたときには自分では意識せずに『世間』の規範に沿って行動し、語っていた人が、『世間』が見えなくなった外国ではその規範もなくなり、自由に行動し、書くことが出来るのである。」となっている。(d)の前か(b)の後に入るわけだが、空所直後に「そのようなときに彼は平衡感覚を失い、極端な行動に出がちなのである」とあるので、その前、つまり(b)の後に入るはずだ。念のために空所直前を確認すると、(d)が直結して何ら問題はない。したがって、「答え」は(d)→(c)→(e)→(b)→(a)の「順番」になっている選択肢(4)だ。「乱文整序」では、「乱文」どうしの「順序特定」が最大のカギとなると心得よ。 

<時間配分目安:2分半>

【大問三】

  • 時間配分:3分

「古典常識」。「十二支」を用いた「時刻」と「方位」の表現、そして、「月の異名」が問われている。どれも基礎的な事項だが、意外と抜け落ちているかもしれないので、注意したい。[問3]の「『八月』の異名」=選択肢(4)「葉月」は問題ないはず。他の問題について、チェックする。

[問1] 「時刻表現選択肢」(6択)。「十二支を用いた時刻の表現で『酉(とり)の刻(こく)』が表す時刻」を答える。先ずは、「十二支」が順序どおり正確に定着している必要がある(無論、「漢字」で)。確認する。「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」だ。これらで「24時間時計」を表示すると考えればいい。最初は「子」なので、「0時」=「子の正刻(きっかりその時刻)」となる。ここからそれぞれの「干支」が順に「2時間」を表していき、「12時」は「午の正刻」になる(だから、前・後という)。注意しなくてはいけないのは、それぞれの「正刻」の「前後各1時間」の「2時間」を表しているということだ。たとえば、「子の刻」は「0時~2時」ではなく、「23時~1時」になる。したがって、「酉の刻」の「答え」は選択肢(5)の「午後五時~七時」になる。「十二支」を覚えていなかつた諸君は即刻習得せよ。

<時間配分目安:1分弱>

[問2] 「方位表現選択肢」(8択)。「十二支を用いた方位の表現で『午(うま)』が表す方角」を答える。前問で示した「24時間時計」を「方位記号」に置き換えてみる。当然、「0時」⇒「北」、「12時」⇒「南」=「午」となる。よって、「答え」は選択肢(3)の「南」。尚、注意したいのは「8方位」の表し方だ。たとえば、「子」(北)と「卯」(東)の間は「丑」・「寅」で三等分されるので、「北東」は「丑寅」と表示することになる。ちなみに、「北東」=「丑寅」は「鬼門」と呼ばれ、「鬼が出入りするといって万事に忌み嫌う方角」(だから、「鬼」には「丑=牛」のような角があり、「寅=虎」の柄のパンツをはいている)というのも「古典常識」なので、覚えておきたい。

<時間配分目安:30秒>

【大問四】

  • 時間配分:20分弱

江戸時代後期の雑話集。全10巻。江戸町奉行などを勤めた著者が、巷説・奇談・教訓話などを書き留めたものだ。本文は巻之一で、「人を笑わせることを家業とする者」の逸話。「近世」の作品なので読みやすく、笑い話のようなもので内容も容易に理解できるはずだ。「内容解釈」を中心とした各設問も比較的平易なものが多い。以下、3問を検討してみよう。

[問1] 「内容解釈選択肢」(複数解答/6択)。本文中の「▼から▲までの内容についての説明」で「正しいものを二つ」答える。すぐに気づくのは、選択肢(1)~(3)が「笑いを家業とする者」、(4)~(6)が「神田に住む二人の町人」についての説明だということだ。無論、それぞれからひとつずつ答えることになる。「▼~▲」の範囲を確認する。前者に関しては、「人の笑ひを催し家業とする者あり。独り者にて常に酒を好み、飽く事なし」(現代語訳するまでもない)とあるので、「答え」は「酒なしではいられないたちだった」とある(2)だと分かる。そして、後者については、「伊勢へ参宮するとて、路次のなぐさみに右の独り者を召し連れんと誘ひ」(=伊勢神宮へ参宮するといって、旅の途中の慰めにと先ほどの独り者を呼んで連れて行こうと誘い)となっているので、「笑いを家業とする者を伊勢神宮参りに連れ出した」と説明している(6)だと判断できるはずだ。本問は平易だったが、こうした「内容解釈」の判別では「助動詞」「助詞」などの「意味・用法」がポイントになる場合が多いので、「文語文法」は確実に習得しておくことが肝要。

<時間配分目安:全問で2分>

[問5] 「心情説明選択肢」(4択)。傍線部③「今はせん方なし」について、「この場面での人物の心情」を答える。「せん方なし(せむかたなし)」は、「ク活用」の形容詞で、「なすべき手段や方法がない。どうしようもない」という意味だ。各選択肢の「文末」を確認する。(1)「仕返しをしてやろうと決心した」、(2)「知らないふりを決め込んだ」、(3)「自責の念にかられた」、(4)「どうにもならないとあきらめた」。当然、(4)以外は「消去」できるはず。「文脈」を確認して、他の部分の説明も特に誤ってはいないと分かる。「答え」は(4)でいい。仮にこの単語を知らなくても、しっかりと「内容解釈」していけば判別できるが、手間暇がかかり過ぎる。やはり、基本的な「古文単語」は覚えるべしと心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

[問6] 「理由説明選択肢」(4択)。傍線部④「いとま請ひければ」について、「どうしてか」を答える。「いとま請ひければ」=名詞「いとま(暇)」(=①ゆとり②休み③辞任④別れ⑤別れの挨拶)+四段活用の動詞「請ふ」(=頼み求める)の連用形+「伝聞過去」の助動詞「けり」(=~たそうだ)」の已然形+接続助詞「ば」⇒「わかれを頼み求めたというので」ということだ。では、どうして「別れ」を頼んだのか? 傍線部直前で「出家にては箱根御関所も通りがたく、伊勢にても出家は制禁し給ふことなれば」(現代語訳をするまでもないはず)と理由が説明されている。したがって、「答え」は「坊主姿では、関所は通りにくく、伊勢神宮にも入れないので、この先の旅を続ける意味がないから」となっている(3)だと判別できる。尚、「接続助詞」の「ば」は「已然形接続」では「順接確定条件」(「~ので」「~と」と訳す)、「未然形接続」では「順接仮定条件」(「~ならば」と訳す)だ。頻出なので必ず定着させておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

攻略のポイント

  • ●判別が紛らわしい「選択肢設問」。どのように「攻略」するか? 各選択肢全体を対象として検討していたのでは混乱するばかりだ。そこで威力を発揮するのが「ブロック消去」。「最後のブロック」から「消去」していくわけだが、具体的な「消去」の「根拠」は、「設問内容」に応じた「解法」の適用がポイント。

従って、基本的「解法」を完全に習得し、的確に応用できるようにしておくことが重要だ。特に、「原意消去」が最優先となる。限られた「時間」でいかに「解法」を用いて解いていくかが、合否を分ける。

●配点比率が高い「古文」(本年度は何と46%)の「攻略法」も重要だ。もちろん、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならない。「古文重要単語」や「文語文法」「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。特に「文法」では「助動詞」「助詞」の「意味・用法」、「接続」が肝要なので、徹底的に習得しておくこと。

  • ●あらゆることが問われる「総合的知識問題」も決して侮れない。直接的な出題は無論、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は欠かせない。

  • ●「解答形式」にも注意が必要だ。全て「マークシート」なので、「解答」を記入する際には十分に確認すること。「マークシート」に慣れておくことが肝要。

  • ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意を要する。問題文は全体で5000~6000字ほど(本年度は約5800字)。当然、速く正確に読み取ることが必須条件となる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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