慶應義塾中等部 入試対策
2025年度「慶應義塾中等部の国語」
攻略のための学習方法
知識
何度も述べてきたが、慶應は「知識」が合格を左右する。ましてや「中等部」ではなおさらだ。ありとあらゆる「知識」が求められ、出題される。そうなると当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚えるようにする。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。
また、過去問や演習問題を実施する場合、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「言葉ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で多数出題されるし、「記述」の際にも重要だ。字数制限の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。そして、「文学史」「韻文」への対策は前述した通り。
さらに、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されるだけではなく、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に正しい文でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の用法を確実に定着させておくことが重要だ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。大問4題で5000~6000字程度。解答時間は45分しかない。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の「最初と最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだし、自分から聞いてみるといった積極性も求められる。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。「中等部」に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしておきたい。
解法
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして解説を聞いて納得した。以上終了ではダメだ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておく。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
出題数は少ないが、準備をしておく必要はある。先ずは「文を記す」ことに慣れること。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」等、正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことが正確に伝わっているかどうかを確認しなくてはいけない。
では、何を「書く」のか? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥だ。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけること。書こうとしている内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要になる。その際、10~20字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要なポイント」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしているポイントがその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要ポイント」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。「中等部」の場合、「最重要ポイント」+ひとつの「必要な要素」が目安だ。
意識
いつ何時も、何かを「意識」しながら学習することが大切だ。無意識に机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが重要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにしたい。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
45分という時間で解き進めていかなくてはならない「中等部」では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2025年度「慶應義塾中等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「小説」、出典は山本有三「路傍の石」(文字数約3000字)。小問は全12問(解答数12)。「選択肢」(「空所補充」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問)、「内容説明記述」(1問、「25~30字以内」指定)。問題文は4分弱で読み切り、設問を15分強で解きたい。
大問二は「会話文」、出典未記載(文字数約2500字)。小問は全6問(解答数11)。「選択肢」のみ(「空所補充」、「総合的知識問題」、「脱文挿入」あり)。問題文は3分程度で読み切り、設問を12分ほどで解きたい。
大問三は「総合的知識問題」。小問なし(解答数2)。「選択肢」のみ(四字熟語)。4分程度で解きたい。
大問四は「総合的知識問題」(「慣用表現」の正誤判別)、小問なし(解答数5)。「選択肢」のみ。5分ほどで終えたい。
大問五は「漢字の書きとり」(全15問)。3分弱で丁寧に記したい。
【大問一】
- 難度:標準
- 時間配分:18分
- ★必答問題
極貧の家に生れた「愛川吾一(ごいち)」は、貧しさゆえに幼くして奉公に出される。やがて母親の死を期に、ただ一人上京した彼は、苦労の末、見習いを経て文選工となってゆく……厳しい境遇におかれながらも純真さを失わず、経済的にも精神的にも自立した人間になろうと努力する「吾一少年」のひたむきな姿を描いている。本文では、奉公先から休みをもらって帰ってきた「吾一」の言動に母親の「おれん」は成長を感じ、「吾一」は「おれん」とのやりとりの中でその愛情を改めて感じている姿が描かれている。昭和初期の作品で、現在では馴染みの薄い表現があるが、(注)を参照して内容を理解したい。「総合的知識問題」も含めて、本校としては標準レベルの設問が並んでいる。着実に得点を重ねたい大問だ。以下、いくつかを検討する。
[問一] 「表現形式の判別選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。傍線部(A)「あづき煮て やぶ入り待つや 母ひとり」の「表現の形式」を答える。各選択肢は、(1)「詩吟(しぎん)」・(2)「短歌」・(3)「俳句」・(4)「戯曲」・(5)「故事成語」。さあ、どうか? 一瞬悩むかもしれないが、「あづき煮て」=五、「やぶ入り待つや」=七、「母ひとり」=五⇒無論、「答え」は(3)の「俳句」だ。
ちなみに、(1)の「詩吟」とは「漢詩や和歌などの詩に節をつけて吟じる(=節をつけて歌う)日本の伝統芸能」だ。知らなかった諸君は覚えておきたい。本校ではやはり、「あらゆる知識」が求められているということだ。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「様子説明選択肢」(5択)。
傍線部(C)「いつもは、お店のご用でない限り、けっしてうちへ帰ってはならないと、むすこをいましめている気丈な母おやではあるが、きょうは吾一の帰りばかり待ちこがれていた」について、「ここから理解できる母の様子」を答える。
「内容読解」に関する「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「設問」だけで「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「様子説明」なので、「吾一の帰りばかり待ちこがれていた」ときの「母の様子」と直接的に結びつかない「様子」を「消去」する。
各選択肢の「文末」を確認する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(1)「教育熱心に育てている」、(2)「子離れできず息子に甘えている」、(3)「彼(吾一)への愛情を隠し通せない」、(4)「つらい毎日を過ごしている」、(5)「高揚した気持ちを抑えきれずにいる」。さあ、どうだろうか? 「待ちこがれる」とは「ある物事や人物が来るのを、非常に強く期待して、じれったく、落ち着かない気持ちで待つ」ことだと知っていなくてはいけない。であれば、無論、「彼への愛情を隠し通せない」」以外は「消去」できるに決まっている。念のために「同一場面」をチェックする(「小説・随筆」は「同一場面の直前直後」に根拠あり」が大原則)。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(3)になる。
実に見事な「一発消去」ではないか。畏るべし! 「原意消去」。完全マスターして活用すべし。
<時間配分目安:1分強>
[問四] 「内容説明選択肢」(5択)。
傍線部(D)の「まだ、行ったばかりなので、ことしはおひまが出ないのかもしれない」の「説明」を答える。先ずは「原意消去」から。ここは「内容説明」なので、「おひまが出ない」の「原意」と直接的に結びつかないものを「消去」したい。チェックする。
(1)「もう少し時間がかかるのかもしれない」、(2)「早くその仕事を進めていかないといけない」、(3)「このまま時間をつぶしてしまっても仕方がない」、(4)「休暇が取れないのかもしれない」、(5)「バチが当たってしまったのかもしれない」。「おひま」には「余暇、休暇。仕事から離れること」といった意味もあることは押さえておきたい。
ゆえに、「休暇が取れない」以外は「消去」になる。念のために「同一場面」をチェックしてみると、他の部分の説明も特に誤ってはいない。よって、「答え」は(4)になる。
いま再びの「一発消去」! やはり、「原意消去」を活用すべきだ。無論、「同一場面」を読み解いて「答え」を出すこともできるのだが、とても手間ひまがかかり、しかも紛らわしい。
本校ではやはり、「正確な語彙力」が求められているということだ。
<時間配分目安:1分強>
[問五] 「空所補充の語句選択肢」(5択)。
「総合的知識問題」。「副詞の用法判別」になっている。本文中の空所 E に「あてはまる言葉」を答える。空所前後は「そうあきらめて、おれんは E にうちへもどった」となっている。
各選択肢は、(1)「わなわな」・(2)「いらいら」・(3)「しみじみ」・(4)「ほのぼの」・(5)「すごすご」。「オノマトペ」だ。空所部前後を読み解いて「答え」を判別したい。「おれん」は「吾一」の帰りを待ちわび外で待っていたが、「まだ、行ったばかりなので、ことしはおひまが出ないのかもしれない」と諦めて、うちにもどっているという「状況」が読み取れるので、「元気なく立ち去る様子」の(5)「すごすご」が「答え」だと特定できなくてはいけない。
尚、「答え」以外の「オノマトペ」にいても、全て「意味・用法」が明白になっていなくてはならない。
<時間配分目安:1分強>
[問七] 「語句の意味の選択肢」(5択)。
「総合的知識問題」。傍線部(G)の「うちのたし」とは「何か」を答える。
各選択肢は、(1)「母親が貯める年金」・(2)「家計のたすけ」・(3)「吾一のお菓子代」・(4)「神社への供え物」・(5)「おぼっちゃんの学費」。「たし(足し)」は「不足の補い」だと定着していて当然。したがって、「答え」は(2)の「家計のたすけ」になる。
「○○の足し」、その用法をしっかりと定着させておきたい。
<時間配分目安:30秒>
[問八] 「条件付き内容説明記述」(「25~30字以内」指定)。
傍線部(H)の「こういうもの」は「母親にはどのようなものとして映ったか」を「二十五字以上三十字以内」で説明する。
「条件」は「『~もの。』に続くように説明する」こと。先ずは純粋な「指示語換言」として読み取る。「こういうもの」=「吾一」が「おれん」らに差し出した「奉公に行ってはじめていただいたお金」だと分かる。その上で、「母親にはどのようなものとして映ったか」という「状況」を「同一場面」から読み解いていきたい。
まだ「小さい子ども」である「吾一」がけんめいに働いて「はじめてとってきたお金」だと思うと、「おれん」には「自分でつかってはもったいない彼の『血の結晶』のように尊いもの」だと感じていることが分かる。こうした要素を簡潔にまとめていきたい。たとえば、「子どもの吾一がけんめいに働いてはじめてとってきた尊い(もの。)」(26字)といった「答え」だ。
尚、「説明記述」では、「最重要要素」を必ず「文末」にしてまとめることが肝要だ。
<時間配分目安:2分半>
[問九] 「対照的表現の抜き出し記述」(「20字の初めの5字」指定)。
傍線部(I)の「吾一は、はじめて子どもらしい声を出した」という表現と「対照的な表現」を本文中から「二十字で探し、はじめの五字」を抜き出して答える。
「抜き出し設問」では先ず「抜き出し内容」を特定し、「抜き出し範囲」を絞りこんでいくのが鉄則。「内容」は「子どもらしい」とは「対照的」な「表現」だと分かる。「範囲」は無論、「同一場面」だ。ここでは、傍線部(C)の直後から傍線部(I)までだと判断できる。
少し長いが、丁寧に探していくと、傍線部(F)の2行前に「そう言いながらも、吾一のことばがにくらしいほど、ませてきたので……」という部分がある。「ませる」=「おとなびる」だと知っているはずで、内容も字数もOKだ。念のために、残りの「抜き出し範囲」を確認しても他に「候補」はない。
したがって、「答え」は「吾一のこと」(5字)になる。
「抜き出し設問」では、「抜き出し内容」に即して「抜き出し範囲」を的確に絞り込むことが肝要だ。
尚、「候補」はひとつとは限らないので、「範囲」の全てを確認すること。
<時間配分目安:2分>
【大問二】
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
「令和六年夏、羽田空港のお茶漬(づ)け屋さんにて海鮮茶漬けを食べながら」という設定で、「ナギサ」と「パパ」が「イスラエル・パレスチナ間の問題」について話をしている「会話文」からの出題。本文では、「なんでも取り入れてしまう日本人の柔軟な姿勢こそ、イスラエルとパレスチナの間に何らかの和平を結ぶ希望になりうるのではないか」という「パパ」の考えを「ナギサ」が聞いている。内容は難なく理解できるはずだ。「脱文挿入」、「総合的知識問題」等、如何にも本校らしい多種多様な設問が並んでいる。以下、いくつかの設問を確認してみたい。
[問二] 「空所補充の表現選択肢」(6択)。
「総合的知識問題」。「副詞の意味・用法判別」。本文中の空所 G に「あてはまる表現」を答える。空所前後は「パパ」の言葉で、「それは話せば長い歴史になるんだけど、 G 話すと……」。
各選択肢は、(1)「あまつさえ」・(2)「すべからく」・(3)「おもむろに」・(4)「ようとして」・(5)「つまびらかに」・(6)「かいつまんで」。「副詞」だ。「パパ」は「話せば長い歴史になるんだけど」と断ったうえで、簡潔に説明しているので、「要点を簡単に述べる様子」である(6)の「かいつまんで」が「答え」になる。
尚、「答え」以外の「表現」についても、全ての「意味・用法」が明白になっていることが本校合格への最低条件だ。
<時間配分目安:1分強>
[問三] 「脱文挿入選択肢」(5択)。
示されている、本文から抜けている文章「『ならイスラエルの方が悪いじゃん』『でもね、イスラエルにも言い分はあるんだ。ハマスの組織は攻撃を防ぐためにわざと病院であるとか学校であるとか避難所みたいな、敵が攻撃すると国際的に批判を受けそうなところに隠れているんだ。だからイスラエルもそこを攻撃せざるを得ないわけだ」が「入る場所」を、本文中の(ア)~(オ)から選んで答える。
「脱文挿(そう)入」では「接続詞・指示語・副詞、そして、内容」に着目すること。
ここでは「内容」で挿入(そうにゅう)する場所を特定していきたい。
脱文冒頭に「ならイスラエルの方が悪いじゃん」とあるので、この前で「イスラエルが悪いといえるできごと」が説明されていることになる。候補の「入る場所」をチェックする。
(ウ)の直前で「イスラエルは国際法に違反してパレスチナの子どもたちを含むたくさんの民間人を殺している」ことが説明されている。「イスラエルが悪いといえるできごと」だ。したがって、「答え」は選択肢(3)の(ウ)だ。
「脱文挿入」では、「挿入候補」に必ず「代入確認」をして、丁寧に確認することが肝要。
<時間配分目安:1分半>
[問四] 「具体的行事の選択肢」(6択)。
傍線部(H)「お墓参りもするけど、クリスマスも祝うよ。パパとママの結婚式は確か神前式だったよね」で「例えとして挙げられているような宗教的行事と関わりのないもの」を答える。
各選択肢の「行事」は、(1)「初詣に行く」・(2)「イースター祭りを祝う」・(3)「花祭りを祝う」・(4)「花見に行く」・(5)「盆踊りに行く」・(6)「七五三を祝う」。さあ、どうだろうか? ほとんど「一般常識」だ。
「初詣」⇒「寺社」への参拝。「イースター」⇒「キリスト」の復活を祝う。「花祭り」⇒「釈迦の誕生」を祝う。(4)「盆踊り」⇒「仏教の念仏踊り」がルーツで、ご先祖様を供養する意味合いがある。「七五三」⇒「寺社」などで「七五三詣」を祝う。ということで、「宗教的行事と関わりのない行事」、「答え」は(4)の「花見」になる。
本校では、この程度の「一般常識」は「国語」に限らず「社会」でも出題されると心得よ。
<時間配分目安:1分強>
※尚、[問六]は「本文内容合致の説明選択肢」(5択)になっている。
本文は「論説文」的な「会話文」なので、「論旨合致」として、「序論部分」および「結論部分」との照合で判別できるのでチャレンジしたい。
「会話文」の内容を判別するという設問は昨今の「大学入学共通テスト」の定番であり、「中学入試」でもよく出題されるようになってきているので、慣れておくことが肝要だ。
【大問三】
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
「総合的知識問題」。
「四字熟語」と「慣用表現」の「空所補充の意味・用法判別選択肢」(全2問。複数完全解答)2つの「四字熟語」の「空所」に「あてはまる漢字」を、示されている9つの「慣用表現」の空所に「あてはまる漢字」から答える。
先ずは「四字熟語」を確認する。
〇「初めて会ったにもかかわらずA・B・C・Dした」。〇「文句や愚痴(ぐち)を述べないE・F・G・Hの人になりたい」。
次に「慣用表現」だ。(1)「医者の□養生」⇒「医者の不養生」、(2)「□味深長な笑み」⇒「意味深長」、(3)「一家□持っている人」⇒「一家言」=「その人独特の意見や主張」のこと、(4)「□きしにまさる人物」⇒「聞きしに勝る」=「聞いたのよりもはるかに優れている」こと、(5)「□が置けない仲になる」⇒「気が置けない」⇒「遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができる」こと、(6)「彼の発言に□点がいった」⇒「合点がいく」=「物事の事情がよく理解できる。 納得できる」こと、(7)「環境問題に一石を□じる」⇒「一石を投じる」=「反響を呼ぶような問題を投げかける」こと、(8)「孝□のしたい時分に親はなし」⇒「孝行のしたい時分」、(9)「□るほど頭の下がる稲穂かな」⇒「実るほど頭の下がる稲穂かな」=「稲穂が実るほどに重みで穂先が垂れ下がるように、立派な人ほど謙虚になる」こと。で、「四字熟語」の「答え」を確認する。
A・B・C・D=「意・気・投・合」、E・F・G・H=「不・言・実・行」となる。
<時間配分目安:全問で4分>
【大問四】
- 難度:標準
- 時間配分:5分
「総合的知識問題」。
「『慣用表現』の用法正誤判別選択肢」(全5問。各2択)。示されている5つの「文」が、「日本語の使い方」として「正しければ1」を「間違っていれば2」を記入する。それぞれを「正誤判別」して「答え」を出していく。
(ア)「寸暇(すんか)を惜(お)しまず学問に励む」⇒「寸暇を惜しむ」=「少しの時間も無駄にせず活用する」ことなので、逆になってしまう=「2」。
(イ)「あの人は忙しくてとりつく暇(ひま)もない」⇒「とりつく暇もない」という表現は存在しない⇒「取りつく島もない」で「頼りとしてすがるところもない」ということ=「2」。
(ウ)「話しが煮詰(につ)まってきて結論が出た」⇒「煮詰まる」とは「議論や検討が十分に行われ、結論を出す段階に近づいた状態」を指す言葉だが、近年では「行き詰まる」という意味で誤用されることが多いので要注意=「1」。
(エ)「私にはこの仕事は役不足ですが精一杯頑張ります」⇒「役不足」とは「役目が実力不相応に軽いこと。与えられた役目に満足しない」ということ=「2」。
(オ)「彼は熱に浮かされたように研究に没頭した」⇒「熱に浮かされる」=「前後を忘れて夢中になる」こと=「1」。「日本語の誤用表現」は本校に限らず頻出だ。
「慣用句」や「四字熟語」、「似た意味を持つ言葉の使い分け」などで誤用が起こりやすいので注意したい。
<時間配分目安:全問で5分>
【大問五】
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
「漢字の書きとり」(全15問)。
近年は従前より難易度が高くなってきている。本年度も厄介なものがある。確(しか)と構えて臨みたい。特に注意を要するものをチェックしたい。
(ア)「薬をショホウされる」=「処方」⇒「処方箋」(=医師が患者の治療に必要な医薬品の種類、量、服用方法などを記載した書類)の出題も多いので押さえておきたい。
(カ)「本文の字句のイドウを調べる」=「異同」⇒「同音異義語」に要注意⇒「異同」=「異なっているところ。相異。違い」。
(ケ)「日々、ナイセイする」=「内省」⇒「自分の考えや行動などを深くかえりみること」で「中学入試」での定番だ。
(サ)「サイダイもらさず報告する」=「細大」⇒「細大漏らさず」(=一部始終。全部)という表現で覚えておきたい。
(セ)「物価にビンジョウして値上げする」=「便乗」⇒「巧みに機会をとらえて利用すること」だ。
(ソ)「ジャケットのボタンを上手にトめる」=「留(める)」⇒「同訓異字」に注意したい。
<時間配分目安:全問で3分弱>
攻略のポイント
●「教養人」を求めている慶應義塾の附属校の中でも、本校は特に総合的な「一般常識」「社会的通念」というものまで問うてくる(本年度は高度な「一般常識」)。故に、普段の生活そのものの中で、常に「大人の常識」にアンテナを張っておく必要がある。
また、「韻文」は頻出なので(本年度は「形式判別」)、数多くの「詩」「俳句」「短歌」などに親しみ、自ら創作する練習もしておきたい(「句作」の出題もある)。さらに、「文学史」(海外作品も含めて)も必須だ(本年度は未出)。しっかりと押さえておくこと。
●「読解問題」はほとんどが「選択肢」で、「抜き出し」「説明記述」は毎年各1問程度(本年度、昨年度に引き続き「抜き出し」の出題あり)。内容的にも平易なものが多いので、確実に得点することが重要。合格ラインは8割前後と考えられる(具体的数字は一切非公表)。難易度を瞬時に判断して、解き進むことが重要。
●制限時間は45分。問題文のボリュームは全体で5000~6000字程度とそれほど多くはないが(本年度は約5500字)、速く読み取れるに越したことはない。分速750字以上を目標に、「読む練習」を常にすることが必要だ。
志望校への最短距離を
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