吉祥女子中学校 入試対策
2025年度「吉祥女子中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
文学的文章・説明的文章の2題の長文読解と漢字の読み書きから成る。素材文はここ数年ほどは10000~12000字ほどにもなり、文量が多くなっている。
漢字は5~6問で読みが1問含まれ、試験の最後に配置されている。総解答数は30~35問ほど。
設問は、記号選択・書き抜き・記述問題とバランスよく出題されている。選択肢問題は四択だが文字数が多く、本文の長さと相まって読む文量の多い試験であることが大きな特徴になっている。
例年、記述問題は2~3問だったが、2024年度では5問出題された。今後増える傾向かもしれないので注意しておきたい。
長文読解
文学的文章と説明的文章は文量も配点もほぼ均等で、同じ力配分になっている。ここ数年ほどは10000字超と特に文量が多くなっている点、要注意である。選択肢の問題も文字数が多いものがあり、設問も含めてかなりの文量を読まなければならないので、速く読める練習を十分に積んでおきたい。
文量の多さと比べて、難易度は多少抑え目である。難問もいくつか見られるが、全体としては極端に難しい問題にはなっていない。
記述問題は「具体的に答えなさい」など、文中の重要点を抽出して答えられるものが多く、選択肢問題もそれぞれの選択肢の内容がわかりやすく、あまり迷わずに選べるようになっている。ただし、80~100にもなる記述問題をうまくまとめるには相当の訓練が必要であるし、文字数の多い選択肢を的確に読み取るには注意力・集中力が求められる。本校の「量の多さ」に対する備えをしっかりしておくことが肝要である。
まずは長文読解の基本的な力を養う。
物語文であれば、場面分け。時間・場所・登場人物などに注目し、どんな場面かを簡単にまとめ、分けておく。人物の言動などからそれぞれの性格を把握し、情景も手がかりに心情を考える。気持ちに変化があった場面は特に注意する。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、意味段落の内容を小見出しにしてつけてしまうとわかりやすい。各段落の要点と細部を区別し、目立つようにしておく。要点をまとめ、要旨を把握する。
本校の文量の多さを考えると、一定のスピードで、キーワード・要点などの重要点を傍線・矢印などで目立つようにしたり、関連をわかりやすくしたりしておく手際の良さは大事であろう。
記述問題は、100字であれば3~4つの内容が書けると計算し、字数でまとめてうまく組み合わせる練習を繰り返す。幸い、本校の過去の試験問題を見ると傾向がほぼ一定なので、第二回・第三回の問題も含めれば練習問題には事欠かない。選択肢問題も充分練習できるであろう。
漢字・その他
ここ数年は試験の最後に5~6問、読みの問題が1問だけ含まれて出題されている。標準レベルの問題がほとんどなので、基本~中級レベルの漢字教材をしっかりこなしておけば心配ないだろう。ことばの知識は長文問題に混じって数問出されるくらいである。
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2025年度「吉祥女子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2025年度の素材文は9300字ほどで、記述問題が5問と多めだった。やはり本文の長さと設問の文量の多さ、年度により100字にもなる記述問題が時間を取られるところである。全体として速さが必要になる試験なので、あまりに時間がかかりそうな問題は断念する勇気もいるかも知れない。とにかく全体に一度は目を通せるようなペースをつかむこと。
【大問一】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
大人が子どもに文化を伝えることは子どもに自尊心を与え、とくに読書の楽しみを教えることは子どもたちの人間性を形作る全体的な枠組みの形成の手助けになると、筆者は述べている。
問一
A. 食べ物の盛り付けを工夫すること、「あるいは」草木を楽しみながら歩くことはすでに文化である。
B. アフリカではお話を聞かせることが文化として楽しまれていた。「だから」、本は自分たちのものではないと考えていた。
C. テレビには子供への配慮がない。「もちろん」、その代わりをするのは学校教育であって、テレビにそれを求めるべきではないのかもしれない。
問二 筆者は「身のまわりの物事を楽しみ、生活にちょっと手間をかけて彩りを添えること」も十分文化だと定義しているので、芸術作品の創作や鑑賞に限定している選択肢2は当てはまらない。
問三 アフリカでは話を語る文化があって本を読まなかったことに加え、テレビやコンピューターの急速な普及で「本の時代」を飛び越えてしまって結局本を読まなかったという事実を知り、ショックを受けたのである。
問四 1
問五 問三参照
問六 三段落後にある「記憶と口伝えによる教育」が「語りによる昔ながらの教育」の言い替えであり、その欠点として「小さな共同体のなかだけで~差別意識を育てる(五十九字)」ことにもなりかねない点を挙げている。
問七 第五段落の「その内容は」に続く部分にまとめられている。
問八 直前の段落に示されている、「物語を語ることがうまく訊き手を話に引き込んでしまう語り手」や、「生活の知恵などもちょっとした記憶法に助けられながら大量に記憶してしまう聞き手」の能力のことを指していると思われる。
問九 例: 本を読む・読書する……など。
問十 本を読むことで過去の人々の考えを知ることも、未来の人々への伝達もできることを「時空を超えた人間理解」と表現しているのである→選択肢3。
問十一 最後の段落で私たち「大人」ができることとして、身近な子どもたちに「良いと思う本を手渡し、楽しんで読めるように手を貸すこと」で、バランスのとれた知識や知恵を伝え、人間性を形作る全体的な枠組みとすることができると述べられている。その結果として、文化(読書)の楽しみを手渡された子どもたちは自尊心を手に入れ、年取っても逆境に陥っても自尊心を失わず生きていけるのだ(第二段落)と、文化(読書)のもつ力を説明している。
〔ワンポイント!――記述問題はおおむね本文の適切な部分を組み合わせて答えにできる。ただし、「本文全体をふまえて」という条件がある場合、大事な部分が最後と最初などに分散している可能性が高いので、文章の冒頭にも注意を払う必要がある。記述問題の1パターンとして留意しておこう。〕
<時間配分目安:23分>
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:25分
- ★必答問題
ホームルームの進行役を務める主人公は、クラスを覆う透明なルール(同調圧力)を払拭しようと、勇気を出して皆の前で考えを打ち明けた。
問一 ア. 1 イ. 4 ウ. 2
問二 口火(を切る)
問三 例: 流星の発言によって、自分が貶められたように感じて憤慨し悔しかったが、我慢している気持ち。(四十四字)
問四 流星の乱暴な意見に瞳子が賛成し、畳みかけるように流星が発言したことでクラスの雰囲気がからめとられそうになり、元に戻さなければと焦りや危機感を覚えている。
問五 それまでは冷静にホームルームを進行していた主人公が、急に感情を顕わにする発言をしたので驚いた。
問六 4
問七 自分はただクラスが雰囲気よく体育祭に臨めるようにと提案しているのに、内申が良いから勝手な提案をしているのだと言いたそうな瞳子の発言に、自分がわがままで提案をしているかのように受け取られているのかと感じ、気にかかった。
問八 「透明なルール」とは、本心に従った自由な言動を押しとどめるような同調圧力のことであるから、選択肢3は合わない。
問九
X: (例) 自分の考えをはっきり主張したが、クラスの皆がどう受け止めたか不安である。(三十六字)
Y: (例) 自分の発言をきっかけに、クラスの皆が活発に意見を言い合うようになり、嬉しく思っている。(四十三字)
問十 「見えないロープにからめとられているような」「指先は氷みたいに冷たくなっていく」など、目に見えない雰囲気や感情などをたとえを効果的に使って読者に伝えている。
〔ワンポイント!――文学的文章の記述問題は、「人物の心情」+「その理由」の形で答えられる場合が多い。「○○という原因・理由で、××の行動を取った・××な気持ちになった」という形を常に意識しよう。〕
<時間配分目安:25分>
【大問三】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
1. 精査 2. 著述 3. 荷札 4. 綿密 5. 課(された) 6. しんそう
<時間配分目安:2分>
攻略のポイント
どの問題に限ってということではなく、全体として速さを求められる試験である。1年度3回分の過去問を活用して、読むスピード・設問を処理するスピード・書くスピードに慣れておいていただきたい。
本校の偏差値からすると問題の難易度自体は抑え目であるので、ともかく最後まで目を通し、答えられそうな問題には全て答えるようにしたい。100点を目指す必要はないので、時間がかかり過ぎると感じた問題は諦めるのも手である。文章量の多い同じ傾向の学校の過去問も利用したい。
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