明治大学付属明治中学校 入試対策
2025年度「明治大学付属明治中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は4つで長文読解1題と漢字・ことばの知識で3題という形がここ数年続いている。
長文読解については、素材文は年度により説明的文章の場合と文学的文章の場合がある。説明的文章は4000字ほど、文学的文章は7000字ほどの文量で出されている。総解答数は40問を超えるくらいである。設問はことばで答える問題が多く、書き抜きや文中の言葉を用いて答える問題と選択肢問題とは2対1ほどの割合である。
漢字を含めたことばの知識がしっかり出題されるのが本校の特徴と言える。配点で4割ほどもあるので、けっしておろそかにはできない。
[長文読解問題]
説明的文章・文学的文章ともに難解な文章は使われていないので読みやすい。文章量も多すぎることはないので、平均的なスピードがあれば読み切れるだろう。
ことばで答える問題が多いが、「文中の言葉を用いて」という指定がつくので、文中から適切な部分を見つけて組み合わせることで答えられる場合が多い。いわゆる「論説的」な記述問題は出されていない。選択肢問題も無理に迷わせるような意地悪な選択肢にはなっていない。読解力があれば正確に答えられる。
長文読解の基本をしっかりマスターしよう。
【論説的文章】
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのよう
に書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。
説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。
つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
【文学的文章】
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。
性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。
場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。
多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、
よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、
テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[ことばの知識]
熟語の組み立て・四字熟語・慣用句・係り受けなど、文法も含めたことばの知識がしっかり
と出題されている。面倒に感じる人もいるだろうが、読解力の基礎となる部分でもある。語
彙が多いこと・文章を正確に理解できることは、読解力の根本ともいえる重要な能力である。
読書量の多い人は意識しなくてもこの部分が鍛えられている場合が多いだろうが、そうで
あっても、教材で体系的に学んでおくことは大事である。
配点も高い部分なので、専用の教材で丁寧に学習しておくべきである。
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2025年度「明治大学付属明治中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は福嶋亮太「思考の庭のつくりかた――はじめての人文学ガイド」(文字数約10500字)。小問は全16問(解答数23)。「選択肢」(「空所補充」、「脱文挿入」、「組み合わせ」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(2問。「空所補充」)、「説明記述」(全10問。「90字以内」指定1問の他は全て「字数指定なし」で、「30字ほど」~「80字ほど」の解答欄。設問内容は「換言説明」、「内容説明」、「理由説明」等)。問題文を13分ほどで読み切り、設問を32分程度で解きたい。大問二は「漢字の書きとり」(全10問)。5分程度で丁寧に記したい。
【大問一】
- 難度:標準
- 時間配分:45分
- ★必答問題
人生をよりよく仕立てるための人文学ガイド――流動的な「いま」を生きるため、ものの見方や考え方を更新する技法としての人文知について論じている。本文では、コミュニケーションは本来あいまいなものなので、話すときには中立的で分別のある言葉づかいをすべきだと指摘している。さほど難解な語句もない平易な文章なので、内容は理解できるはずだ。「説明記述」を中心として、本校らしい多様な小問が並ぶ。難易度は本校としては標準レベルだ。以下、いくつかを確認してみたい。
[問一] 「条件付き内容説明記述」(「字数指定」なし、「70字ほど」の解答欄)。傍線部①の「コミュニケーションのありさま」を筆者は「どのようなものだと捉えているか」を説明する。「条件」は「具体的に説明する」こと。傍線部の5行前に、「コミュニケーションとは何なのでしょうか」⇒「会話はキャッチボール」という言い方がよくされるとしながら、直後では「これは正確なモデルでしょうか」と疑問を呈した上で「このモデルは恐らくコミュニケーションのありさまを正しく表現していない」と否定している。では、「コミュニケーションのありさま」を筆者は「どのようなものだと捉えているのか?」。「条件」である「具体的」ということを意識して、「同一意味段落」から読み解きたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。すると、傍線部の次の形式段落で説明されていることが分かるはずだ。すなわち「相互のクラウドを共有するプロセスに近いあいまいなもの」であり「受信者が発信者の情報を限定的に、あるいは過剰に、あるいはほぼ一致する形で受け取るもの」だということが分かる。あとは、内容を整理して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「受信者が発信者の情報を限定的に、あるいは過剰に、あるいはほぼ一致する形で受けとる、相互のクラウドを共有するプロセスに近いあいまいなもの。」(68字)といった「答え」になる。「論説文」では、「同一意味段落」を正確に読み取ることが「説明記述」の鍵になると心得よ。また、「説明記述」では「最重要要素(「理由説明」では「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。
<時間配分目安:3分弱>
[問二] 「空所補充の語句抜き出し」(「7字」指定)。本文中の空所 1 に「あてはまる言葉」を「七字」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいくのが鉄則だ。空所前後は「この現象は 1 のモデルではまったく理解できません」となっている。「指示語」があるので開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「この現象」=「本はいつも額面[表面上の意味]よりも少なく読まれるか、多く読まれるか、そのどちらかだという現象」だと読み取れる。つまり、「抜き出し内容」は「バランスが取れているやりとりのモデル」ということになる。「抜き出し範囲」は無論、「同一意味段落」になる。丁寧に探していくと、傍線部①の4行前に「会話はキャッチボール」という表現がある。「キャッチボール」は当然「バランスが取れて」おり、字数もOKだ。「同一意味段落」の他の部分にこれ以外の候補はないと分かる。したがって、「答え」は「キャッチボール」(7字)となる。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」全てをしっかりと確認することが肝要。
<時間配分目安:2分弱>
[問四③⑥⑦] 「指示語換言説明記述」(全3問。全て「字数指定」なし)。傍線部③「それ」、⑥「それ」、⑦「それ」について、「指示内容」をそれぞれ説明する。「指示語換言」はどこの学校でも定番だが、本校では必出。「指示語」なので当然、前に戻りながら開いていく(「指示語が出たら前を見よ!」が鉄則)。先ずは③の「それ」(「80字ほど」の解答欄)⇒傍線部およびその前の形式段落から読み取れる⇒たとえば、「学生たちのダウンロードの回線が頼りないため、学生たちが講義の情報を限定的に受信したり深読みして誤解をしたりするうえ、学生によってどの情報を受信するかまちまちであること。」(84字)といった「答え」だ。次に⑥「それ」(「80字ほど」の解答欄)⇒直前から「それ」=「批判」だとすぐに読み取れるはずだ⇒さらに補足すべき内容をその前から読み取っていきたい⇒たとえば、「『共通語』の圧力が方言の話者にとっては苦しみや一種の暴力と捉えられたり、対面のコミュニケーションにおいて身振りや手話が無視されていたりすることへの批判。」(76字)といった「答え」になる。続けて⑦の「それ」(「40字ほど」の解答欄)⇒直前から「それ」=「正確な散文を書くということ」だと分かる⇒補うべき内容をさらに読み取る⇒たとえば、「話し言葉を成長させる指針を書き言葉に置き換えての、正確な散文を書くということ。」(39字)といった「答え」だ。尚、「指示語換言説明記述」は本校の定番中の定番なので、繰り返しの練習によって完璧にしておくこと。
<時間配分目安:全問で6分程度>
[問六] 「換言内容説明記述」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。傍線部⑤の「言葉への甘えが消えない」とは「具体的にどういうことか」を説明する。ポイントは「言葉への甘え」とは何かだ。直前から、「東京出身者が、幼いころからの話し言葉をそのまま使ってもそれなりに不自由なくコミュニケーションできてしまうこと」だと分かるはずだ。無論、「地方出身者」との対比での表現だ。そうした内容を踏まえた上で、「換言説明」だということを意識し、補足要素も加味して「過不足なく」まとめていく。たとえば、「自分の言葉を検証し、相手との共通の次元を設定しようせず、自分にとって自然な言葉づかいだけを使い続けること。」(53字)といった「答え」になる。「論説文」では、「同一意味段落」を正確に読み取ることが「説明記述」の鍵になると心得よ。
<時間配分目安:3分弱>
[問八] 「表現の正誤判別不適切選択肢」(5択。複数完全解答)。「総合的知識問題」。「敬語」の用法。傍線部⑧の「敬語」について、示されている例文で「敬語」の使い方として「不適切なもの」を全て答える。それぞれ確認する。(ア)「荷物を受け取りに私が会場にうかがいます」⇒「自分の動作」に「うかがう」という「謙譲表現」=適切。(イ)「父が先生に先日のお礼をおっしゃっていました」⇒身内の「父」の「動作」に「おっしゃる」という「尊敬表現」=不適切⇒「申しておりました」などの「謙譲語」使うべきだ。(ウ)「先生がくださったこの筆を大事に使います」⇒「先生」の動作に「くださる」という「尊敬語」=適切。(エ)「お客様がレストランで夕食をいただきました」⇒「お客様」の「動作」に「いただく」という「謙譲語」=不適切⇒「めしあがりました」などの「尊敬語」使うべきだ。(オ)「展覧会で先輩の絵を拝見しました」⇒「自分」の「動作」に「拝見する」という「謙譲語」=適切。よって、「答え」は(イ)・(エ)になる。「敬語の用法」は本校に限らす頻出なので、「尊敬語」「謙譲ご」「丁寧語」の内容と「用法」についてしっかりと理解した上で練習することが肝要だ。
<時間配分目安:1分半>
[問九] 「空所補充の作品名記述」。総合的知識問題。「文学史」だ。本文中の空所 4 に「あてはまる作品名」を答える。空所部分は「夏目漱石の 4 はまさにそのタイトルにおいて、新しい文体を告知しています」となっているが、これだけでは無論特定不可能だが、3行後には「(新しい文体の)『である』体を使うのは、人間ではなく無名の猫……」と説明がある。故に「答え」は「吾輩は猫である」だ。尚、夏目漱石の作品としては「吾輩は猫である」と「坊っちゃん」だけではなく、「三四郎」「こころ」「夢十夜」「門」「こころ」なども押さえておきたい。
<時間配分目安:1分弱>
[問十] 「脱文挿入の抜き出し」(「段落の初めの5字」指定)。示されている、本文から抜けている段落「ただ、文書のトレーニングを積んでいない書き手が、安易に『です・ます』を使うと、冗長で耐えがたいものになります。結局は『です・ます』も、文章の調子を細やかに調整しないとすぐに単調になってしまう。たまに文字数をふくらませるためか『です・ます』でレポートを書いてくる学生がいますが、見た瞬間『こりゃダメだ』と思われるだけなので、やめた方がよいでしょう。」は「どの形式段落の前に入れるのが適切か」、「その段落の初めの五字」を答える。「脱文挿(そう)入」では「接続詞・指示語・副詞、そして、文脈(内容)」に着目すること。ここでは「脱・段落」なので、冒頭と最後の内容に着目して特定していきたい。そして、「『です・ます』の話題」だということも勘案すると、 4 から五つ目の形式段落だと特定できなくてはいけない。よって、「答え」は「むろん、堅」になる。尚、「脱文挿入」では、「候補箇所」に必ず「代入確認」し、丁寧に確認することが肝要。
<時間配分目安:2分半>
[問十一] 「空所補充の語句選択肢」(4択)。総合的知識問題。「四字熟語」。本文中にある空所 5 に「あてはまる四字熟語」を答える。空所前後は「(家族や友人とLINEでやりとりするようなケースで) 『です・ます』や『だ・である』を使うのは、かえって 5 でおかしくなってしまう」。各選択肢は、(ア)「針小棒大」・(イ)「品行方正」・(ウ)「傍若無人」・(エ)「他人行儀」。もちろん「答え」は(エ)の「他人行儀」になる。「他人に接するときのように、よそよそしくふるまうさま」のことだ。当然ながら、「答え」以外の「四字熟語」についても書けて、「意味」も定着していることが必須だ。尚、本校では「四字熟語」だけではなく、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」なども頻出なので、完璧にしておくことが求められると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問十四] 「空所補充の語句選択肢」(全4問。4択)。本文中の空所 A ~ D に「あてはまる言葉」を答える。各選択肢は、「接続詞」だ。こうした「接続詞」や「副詞」などの「空所補充」は本校に限らず定番の問題。特に「接続詞」では「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認する必要がある。順に「答え」を確認する。 A には「逆接」の接続詞の(ア)「しかし」、 B には「換言」の接続詞の(ウ)「つまり」、 C には「添加」の接続詞の(イ)「さらに」、 D には「理由説明」の接続詞の(エ)「なぜなら」がそれぞれ入ると分かるはずだ。「接続詞」の「逆接」以外では、いくつかの「候補」をしっかりと「代入確認」してから確定することが重要だ。
<時間配分目安:全問で2分>
【大問二】
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
「漢字の書きとり」(全10問)。示されている(1)~(10)の「文中の(カタカナ)を漢字」で書く。例年より易しく、本校としてはとても平易だ。本校志望者は無論、失点できない。特に注意すべきものだけを確認する。(4)「(フンキ)して逆転する」=「奮起」⇒「ふるいたつこと。勇気・元気をふるい起こすこと」だ。(6)「異動の(ジレイ)が出る」=「辞令」⇒「官職や役職の任免に際し、本人に渡す文書」だ。尚、「画数やバランスの乱れがあった場合は不正解」(本校HP)なので,一画一画の「トメ・ハネ・ハライ」を丁寧に記すこと。
攻略のポイント
●特徴である「簡潔な設問文」、「少ない情報」の中でいかに「設問内容」を的確に把握できるかが「攻略ポイント」。受験生自らが「必要な要素」を補足して捉え、「何が問われているのか」「何をどのように答えればいいのか」を適切に判断しなくてはいけない。それによって「失点」を防ぎたい。「合格ライン」は6割程度(過去5年間平均の「合格者平均得点率」は60.9%、本年度は下がって55.4%)、当然ながら「無意味な失点」が合否を左右すると心得よ。
●出題数の多い「説明記述対策」も怠ってはならない(本年度は全10問)。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法をマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。「字数指定」がないものが多いので、様々なパターンに対応できるようにしておくこと。尚、「記述問題中の誤字・脱字にも十分気をつけて下さい。句点のないものも減点対象」(本校HP)とあるので要注意。
●小問扱いの「総合的知識問題」も侮れない。今後はさらに、「高度な語彙力」だけではなく、「文法」も含めた「あらゆる知識」が問われることになる可能性がある。本校を志したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない。
●試験時間は50分。近年の問題文のボリュームは10000字超のこともある(本年度も約10500字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。本校HPでも「長文問題では速読速解の力が求められていますので,文章に読み慣れておく必要があります」と指摘されている。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。
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