急がば回れ､古典を味わう精読術｡新刊を数でこなす速読術｡臨機応変､読まずに済ます読書術｡原書に挑み､原語に触れる解読術｡新聞･雑誌の看破術｡難解な本をとりこむ読破術｡――書物の裏表を知りつくした筆者が読書の極意を明快･軽快に指南する読書論。本文では、本を読んでも内容が分からないことがあるが、それらの本はなぜ難解なのかを分析し、そのような本はとりあえず読まなくても構わないと論じている。決して分かりにくい文章ではないのだが、とにかく長文なので論理展開を追うことが大変だ。論旨をとらえて手際よく読み進めることが肝要。｢空所補充｣｢抜き出し｣｢脱文挿入｣｢説明記述｣……､多種多様な小問が並ぶ。以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/５択)。｢総合的知識問題｣｡｢接続詞｣と｢副詞｣だ。本文中の(　Ａ　)～(　Ｄ　)の空所に｢あてはまる言葉｣を答える。

本校に限らず定番の問題。｢接続詞｣では｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に空所の｢答え｣をチェックしていく。(　Ａ　)には｢逆接｣の｢接続詞｣である選択肢(エ)｢しかし｣､(　Ｂ　)には｢対比･選択｣の｢接続詞｣である(オ)｢あるいは｣､(　Ｃ　)には｢例示｣の｢副詞｣である(ウ)｢たとえば｣､(　Ｄ　)には｢言うまでもなく｣という意味の｢副詞｣である(ア)｢もちろん｣が入る｡｢候補｣はいくつかあるので、しっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要だ。

＜時間配分目安：全問で１分半＞

[問二①]　｢換言説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。

傍線部①の｢経済的である｣とは、｢どのようなことを言っているか｣を説明する。典型的な｢換言説明｣だ。当然、先ずは｢原意｣を確認する(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)。｢経済的｣＝｢経済・金銭に関係のあるさま。費用や手間などがかからないさま｣ということは知らなくてはいけない｡では、ここでは何が｢経済的｣なのか？｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)に､｢手がかり｣を求める。傍線部は文末で、直前は｢意味のあいまいな文章に長い時間をかけ、あれこれと想像してみることも、時と場合によっては必要でしょうが、いっそそういう本は、投げ出してしまったほうが｣となっている。つまり、ここでの｢経済的｣は｢費用や手間などがかからない｣という意味だと分かるはずだ。あとは、簡潔にまとめていけばいい。たとえば、｢長い時間をかけ、あれこれと想像する手間がかからないということ｡｣(31字)といった｢答え｣だ。

適切な｢解法｣に則して考えていくことが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

 [問二⑫]　｢換言説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。傍線部⑫｢すべての活字が生きてくる｣は、｢どのようなことを言っているか｣を説明する。

本問は｢比喩換言｣だ。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認すると、直前は｢医学部の学生だったとき、解剖学教科書でさえも、実習でほんとうの人骨を見ながら参照すると｣となっている。したがって、ここでの｢活字｣は｢教科書｣(＝本)に記されている｢言葉｣の｢比喩｣だと分かる。そして、次文では｢実習しなかったところを教科書だけで理解し、覚えようとすると、じつにむずかしく､じつに退屈｣と説明されている。つまり、｢『実習』を通じて『教科書』の『言葉』を読むと、容易く理解できて楽しい｣ということになる。また、もうひとつ注意したいのは、｢解剖学教科書でさえも｣となっている点だ。｢さえも｣とある以上、前との｢繰り返し｣を確認する必要がある。｢同一意味段落｣で内容を確認したい(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡前段落の最後に｢(旅行案内記について)無味乾燥で､とても読み続けることのできないもの｣とある。要は、｢解剖学教科書｣の｢言葉｣も｢無味乾燥｣ということになる。以上の内容を簡潔にまとめていきたい。たとえば、｢本の無味乾燥な言葉が、見聞で理解できるようになるということ｡｣(30字)といった｢答え｣となる。｢文脈｣の細部を読み落とさないようにすること｡

＜時間配分目安：１分半＞

※尚、[問二]には４つの枝問があるが、全てが｢換言説明記述｣だ。

[問三②]　｢指示語換言説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢25字ほど｣の解答欄)。傍線部②｢そういうこと｣の｢指示内容｣を説明する。
｢指示語換言｣はどこの学校でも定番｡｢指示語｣なので当然、前に戻りながら開いていく。直前から、｢そういうこと｣＝｢その本のなかには、ほかでは得られない資料があるかも知れないということ｣だと分かる。また｢指示語｣だ(二重指示語)｡再び開く。｢その本｣＝｢へたな文章の本｣だ。以上を整理して｢過不足なく｣まとめていく。たとえば、｢へたな文章の本のなかにほかでは得られない資料があること｡｣(28字)といった｢答え｣だ。｢指示語｣の｢解法｣は徹底的に習得しておくことが肝要。尚、｢指示語｣自体が直接問われていない場合でも、｢指示語｣が傍線部などにあったらすぐに開くこと。

＜時間配分目安：１分半＞

※尚、[問三]には７つの枝問があるが、全てが｢指示語換言説明記述｣だ。

[問五Ⅴ]　｢語句の空所補充記述｣(｢漢字１字｣指定)。

本文中のⅤに入る｢体に関する漢字一字｣を答える。｢総合的知識問題｣｡｢慣用句｣だ。空所前後を確認する。空所は一文の冒頭で｢Ⅴ慣れぬ抽象的な言葉がたくさん出てきて、……｣となっている。本校志望者であればこの時点で、｢答え｣は｢耳｣だと即答できなくてはいけない。｢耳慣れる｣＝｢たびたび聞いて、めずらしくない｣の打消しだ。｢慣用句｣だけではなく、｢ことわざ｣｢故事成語｣｢四字熟語｣などの｢知識問題｣が、本校では必須だ。確実に定着しておくことが求められる。

＜時間配分目安：30秒＞

※尚、[問五]では他に、｢歯が立たない｣･｢手がない｣という｢慣用句｣が出題されている。未定着の諸君は必ず確認せよ。

[問七]　｢脱文(段落)挿入の抜き出し｣(｢３字｣指定)。示されている｢脱文(段落)｣は、｢どの形式段落の前に入れるのが適当か｣を、｢その段落の初めの三字｣で答える。
ひとつの｢段落｣全てが｢脱文｣なので、なんと270字ほども長さがある。うんざりする。ともあれ､｢脱文挿入｣では、｢脱文｣の｢接続詞｣｢指示語｣｢内容｣に着目することが鉄則。残念ながらここでは｢脱文冒頭｣に､｢接続詞｣や｢指示語｣はなく､｢楽譜のことは考えれば、……｣と始まっている。つまり、｢脱文｣は｢楽譜に関する内容｣なので、本文中の｢形式段落｣で同様に｢楽譜｣に関するものがないか、丁寧に探していく。すると、ラッキーなことに｢楽譜や数学の式のように、……｣で始まる段落がある。｢楽譜や数学｣のようにとあるので、｢脱文｣で｢数学｣にも論及されていればＯＫだ。確認する。８行目に｢数学もまた一種の言葉のようなもので、……｣という説明がある。｢楽譜｣､そして、｢数学もまた……｣で｢脱文｣は終わっているので、直後の｢形式段落｣の｢楽譜や数学の式のように｣という書き出しに直結する。

したがって、｢答え｣は｢楽譜や｣だ。

尚、本校で頻出の｢脱文挿入｣では、必ず｢候補の部分｣に｢脱文｣を｢代入｣して､｢文脈｣｢内容｣などがつながることを確認してから特定すること。

＜時間配分目安：３分＞

｢漢字の書きとり｣(全10問)。

示されている文中の(カタカナ)を｢漢字｣に直す。昨年度と比べるととても平易だ。本校志望者としては｢全問正解｣が必須｡注意すべきものだけを確認する。

(４)｢会議で(サンピ)が分かれた｣＝｢賛否｣⇒無論、｢賛成と不賛成｣のこと、容易い。
(６)｢台風接近の(ケイホウ)が流れた｣＝｢警報｣⇒｢報｣の｢同音異字｣に注意したい｡
(８)｢(ハタ)を振って応援した｣＝｢旗｣⇒右側の｢つくり｣は｢14画｣なので、丁寧に記すこと。
(１０)｢話し合いの機会を(モウ)ける｣＝｢設(ける)｣⇒以外と抜け落ちているかもしれないので、改めて確認しておきたい。尚、｢トメ｣｢ハネ｣などの細部にも十分配慮すること。

＜時間配分目安：２分半＞