洗足学園中学校 入試対策
2025年度「洗足学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
6年前期に使用される受験用テキストの発展問題については、難問を除き、すべてに取り組むことが望ましい。苦手単元が明らかになった場合には、6年生用教材ではなく、5年生用教材に戻って基礎から復習することが効果的である。
当校独自の対策として、発展問題の総復習と並行し、6年生の早い段階から計算問題の練習に着手することを推奨する。基礎的な計算力が身についている場合は、実際の入試問題に挑戦してみることも有効である。ただし、1校の問題全体を通して解くのではなく、計算問題のみを抽出し、大問1問10分程度を目安としてじっくり取り組む。表計算への慣れ、グラフの読みとりに慣れ、何よりも「考え、工夫する」時間を意識的に確保することが、合格への確実な道を築く。
以下、本校入試において頻出単元ごとの学習法を述べる。
【計算力】
化学では、表やグラフの読み取りが不可欠である。差が一定、比例・反比例、二乗に比例などの様々な技術を使いこなす必要がある。物理では、てんびん・ばね・滑車・輪軸などの力学系のメインテーマよりも光、浮力、物の運動、および電流と仕事に関する問題が出題されている。これらは受験用テキストで体系的に練習することが重要である。
さらに、当校の入試では一歩踏み込んだ思考力を要する問題も見られる。たとえば、視力検査で使われる赤と青を背景とする黒い文字の見え方、位置エネルギーと電気エネルギーとの相互関係など複雑な条件を論理的に整理しながら表計算を活用できるかが問われる。また、「酸素と結合しているヘモグロビンの割合」や「二次関数の逆関数のグラフ(横向きの二次関数)」など、グラフの本質的な理解も必要となる。これらの問題については、じっくり考える経験を積むことを目的とする勉強法が重要である。計算力とは異なるが、太陽系の惑星。特に金星と火星の運行と地球からの見え方。「惑星」の不可解な動き。なぜ虹が七色に見えるかなど図で考察することも重視されている。
入試問題にはこのような計算問題が豊富に出題されている。解説が手に入らない場合もあるが、全て解明しなければならないということではなく、じっくり考え、様々に工夫する時間こそが大切であるということを意識して取り組んでもらいたい。
【なじみのない設定】
「放射性物質の半減期」「規則的に並んでいる金属原子の集まりを立方体に切り取った場合の二種類の構造図から原子の半径を求める」あるいは、「水の硬度計算の公式やキレート滴定検査」など小学生にはなじみのないテーマで話が進んで行く。「問題文をしっかり読めば答えることができる」これは真理ではあるが、この様な出題形式に慣れていればより自然に問題に入って行くことができる。それは、時間が限られている中で手際よく正解して行くためには大きな利点となる。
受験用テキストの発展問題の中にもこの種の問題はあるが、様々なタイプで練習するには実際の入試問題から見つけ出して練習する必要がある。
【社会常識】
理科的な目から見た問題意識があるか。勉強ばかりをしていて知識が偏っていないか。ニュースを見ているか。社会的な問題に関心を持っているか。それらが問われている。
インフルエンザワクチンの話から、DNAがアミノ酸の数や並び順を指定している仕組みを理解させ、それに基づいて考察させる問題も出題されている。雑学が利いてくるところである。
子供新聞を購読する。週に1回はニュース番組を家族で観て話し合う。この様にして養われた教養とともに勉強に励んでいるバランスの取れた生徒を本校は必要としている。
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2025年度「洗足学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問は全4問、設問数は計28問で、社会とあわせて60分の制限時間内に解答する形式である。理科に30分を充てた場合、1問あたりの解答時間はおおよそ1分となる。基本的には即答可能な問題が多いが、実験の意図がつかみにくい設問や、語句理解に時間を要する問題が含まれる年もあり、柔軟な対応力が求められる。
【大問1】物理(電流と回路)
- 難度:標準
- 時間配分:11分
- ★必答問題
(1) ◎に注目すれば該当する選択肢は一つしかない。
(2) 新しく増えた◎に注目し、選択肢を個々に吟味すれば見つかる。
(3) 位置エネルギーの意味と位置エネルギーの計算法を読み取ることができれば解ける。
(4) 電気エネルギーの意味が読み取れればさほど難しくはない。
(5) (3)(4)が正確に求まっていれば自動的に答えが求まる。
(6) (3)~(5)の解き方を参考にして計算を進める。
(7) 変換される割合を活用することがポイント。設問(6)までの流れは(7)のヒントになっている。
箱の中に隠された回路を推測する問題は、受験用テキストでも頻出の「定番」形式である。解法のコツを経験として知っているかどうかで難易度が大きく変わり、十分な演習を積んでいれば有利に解ける。したがって、様々なタイプの問題を多く解いておくことが重要である。(3)以降では位置エネルギーやジュール(J)といったあまりなじみのない語句が扱われるが、これらも学習経験があれば抵抗感は少なくなるはずだ。(6)(7)は最重要の計算問題であり、ここを確実に解けるかどうかが合否を左右した。
<時間配分目安:11分>
【大問2】化学(気体の反応)
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
(1) 水によく溶け、アルカリ性を示す。生成される気体でもあるというところから考える。
(2) 短い説明分の記述であっても十分練習しておく必要がある。
(3) 基礎的な比例関係の表計算。
(4) 基礎的な比例関係の表計算。
(5) 表を読み取ることで、DとGが等しいことからEにより発生したGが分かる。
(6)(7) 文章の中の抵当な箇所を見つけ、表を見比べる作業を迅速に行う必要がある。
アンモニアの生成は受験生にとって高度な内容であり、化学反応の知識に関しては細かい知識まで必要となる。また、中学以降で学ぶ「化学反応式」そのものではないが、それに近い発想や整理の仕方を求めている。対応力を高めるためには、化学計算の徹底した演習が欠かせない。まずは塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和を題材とした表計算や2種類のグラフで基礎力を固め、そのうえでプロパンの燃焼計算を含む多様なパターンを経験しておきたい。特に(5)以降の問題は、洗足学園中理科における計算問題のレベルをよく示しており、解説を熟読して計算のコツを身体で覚えてほしい。
<時間配分目安:9分>
【大問3】生物(植物)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1) 基礎的な知識。知らなければいけない。
(2) (1)ができれば自然にできる。
(3) 常緑樹の有名なものは覚えて置くべき。
(4) 常識的な判断力が問われた。
(5) 「気化熱を奪う」という言葉が頭に浮かべば十分。
(6) 基礎的な知識。知らなければいけない。
(7) 「水が途切れずにつながっていることが大事」との表現に注目。
(8) 「厚い部分は薄い部分と比べて柔軟性が低く、伸びにくい」との表現に注目。
(9) 光合成が行われている時に二酸化炭素が吸収される。それが許されない環境であることを考える。
一部の中学の様な植物の細かい知識は問われていない。注意すべきは「判断力」である。(7)(8)の様に問題文の該当する箇所を見つけて、それに沿って考察する場合や、(4)(9)の様に自分自身で常識的に論理的に考える場合などがあり、特に後者は「より正解に近い」と判断されるものを選ぶ必要がある。この感覚は問題を多く解く中で養われる。受験勉強の後半では、様々な中学の過去問にも積極的に取り組んでもらいたい。
<時間配分目安:6分>
【大問4】地学(気温と湿度)
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)① 基礎的な知識。知らなければいけない。
(1)② フェーン現象の定番の計算と湿度計算。
(2) 赤外線は熱を運ぶ。「雲は地表面に向けて吸収した赤外線を放出する」という記述から判断できる。
(3) 基礎的な比例関係。
(4) 「上昇につれ空気の体積が増える」「体積が変われば1㎥当たりの水蒸気量が変わる」「上昇につれ気温が変わる」これらを総合的に判断する。
フェーン現象も湿度計算も中学受験理科の定番の問題である。十分に練習していれば、ほとんどの設問に正解できたはずである。ただし、あまりに有名なため、フェーン現象にも様々な発展的な内容が加わってきた。山頂を越え、下り始めても雲が少しの間残るなどである。(3)(4)も「空気の膨張」が加わった。特に(4)はすべての要素を混ぜ合わせた良問である。「考える」「工夫する」「判断する」力を育ててきた生徒は、当大問の全問正解は可能である。
<時間配分目安:4分>
攻略のポイント
本試験は、試験時間や問題量の点では過度な負担は感じられないものの、実際に解いてみると特有の圧迫感があることに気づかされる。これは、従来の学習内容の延長ではなく、現実の現象を理科的な視点からどう捉えるかが問われているためである。さらに、各大問の中に計算問題が多く含まれており、それらも単なる公式の適用ではなく、正比例・反比例・差が一定といった関係性をもとに論理的に考察する形式が多い。こうした構成により、単なる知識の確認にとどまらず、思考力・応用力の有無が得点に大きく影響する点に注意が必要である。
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