学ぶということは「相手を真に理解しているのは世界で自分ただ一人である」という自分の「唯一無二性」を保証することであり、それは「自分が学ぶことのできることを、学ぼうと欲望する」主体性がなければ起動しないと述べている。

問一　Ａ　知見――見聞によって得られた知識。

　　　Ｂ　経由――途中である地点を通ること。

　　　Ｃ　自明――説明や証明をするまでもなく明白であること。

問二　「この人のことばの本当の意味を理解し、この人の本当の深みを知っているのは私だけではないか」という「幸福な誤解」をしている人の前だけに「先生」は現れる、と述べられている。

問三　「あなたの真価を理解しているのは、世界で私しかいない」ということばは、他の誰より自分が世界で一番あなたを愛しているという、「自分」の「かけがえのなさ」をも表出しているのである。

問四　「だから私は生きなければならない」は自分の存在の必要性を表明している。

問五　Ⅰ. 「みんなと同じになりたい人間」とは、「他の人ができることを、自分もできるようになるため」に習う人たちであり、資格・免状や試験に受かることを目的とする人たちである。この問題で訊かれているのはそのような人の「前に表れる人＝教える側」であることを見落とさないように。

　　    Ⅱ. 「先生」を敬愛し学ぶことは「私の唯一無二性」を保証することである。

問六　数行前の「人間は自分が学ぶことの～しかまなぶことができない＝学びの主体性」をもたない例として、「居眠りしている生徒」が挙げられている。

問七　数段落前で、「このひとの真価を知っているのは私だけだ」という「思い込み」があれば「学びは起動する」とある。どんなことでも「教え」として受信されれば「学び」は成立するのである。

問八　私たちが学ぶのは「自分がこの世界でただひとりのかけがえのない存在であるという事実(唯一無二性)を確認するため」であり、そのためには「自分が学ぶことができることしか学ぶことができない、学ぶことを欲望するものしか学ぶことができない」という「学びの主体性」がなければならないのである。

クラスメイトの中村を突然好きなったことに戸惑いを覚え、混乱する事態をはっきりさせようと、主人公は勇気を奮って中村に声をかける。

問一　友人たちからは名前で、中村からは名字で呼びかけられている。

問二　Ｂ. ここは中村の「立って」いる様子である。

問四　初めての恋心に気持ちが混乱している様子がわかる。

問六　友人とのやり取りも上の空、遊びも途中で切り上げて眼鏡を着けたり外したり、と心ここにあらずといった様子が描かれている。

問七　他のことに集中できず中村ばかり目で追ってしまう自分。このまま見ているだけでは解決しないと意を決し、中村に気持ちを話そうと思ったのであろう。

問八　それまでろくに話をしたこともない相手にいきなり話かけたことばが「なぜ思い切り笑わないのか」などという相手の心に踏み込むような内容で失礼なことなのだが、意外にも中村は本音と思われることを率直に答えてくれており、主人公も驚いている。

問九　部傍線Ｘでは「落ち着きがなくて友だちの会話にも乗れない」くらいであったが、傍線Ｙにかけて主人公の中村への気持ちがいよいよ強くなり眼鏡のエピソードなどの行動にも表れ、ついに声をかけるに至っている。そうした恋心が強まっているという変化を指摘すればよい。