筑波大学附属駒場中学校 入試対策
2025年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」
攻略のための学習方法
第1(出題形式について・・・前述と同様)
1 出題形式は、ほぼ一貫している。年度による難易度の変化も(難易度が高いという意味で)、目立って異なることはないようにみられる。もっとも、算数で易化した年があることから、思い込みは厳禁である。各設問の難易度も(これもまた難易度が高いレベルで)平均しているので、各設問について50%程度の得点を(採点基準にまんべんなく触れ、0点の設問がないように)得ることを目標に学習し、いずれかの設問で加点をねらうべきである。
2 詩・短歌・俳句がほぼ例年出題されるので、この分野の学習も怠りなくする必要がある。
3 漢字については、ここでの失点は避けなければならない。日々の(毎週行われる小テスト)漢字学習を怠りなく消化するように心がけるべきである。
第2(記述式問題について)
1 記述式問題については、その採点基準、すなわち出題趣旨を把握することが重要になり、これさえできれば合格点以上の点数を得ることが可能になる。
もっとも、筑駒については、この設問の入り口の部分のハードルが(極めて)高いという特徴がある。すなわち、設問が(不親切なくらい)シンプルなため、過去問を通じて筑駒の問題検討を入念に行わない場合、出題趣旨および出題意図が捉えられず、「何について」「どの程度」「どうやって書けばよいのか」が全く分からずに、あさっての答案を書いてしまう事態になってしまう可能性が高い。
これは、受験生のレベルが(極めて)高いため、他の中学校の記述問題にみられるような丁寧な誘導をしてしまうと、ほとんどの受験生が容易に解答をしてしまう可能性が高く、その結果、出題趣旨・意図の把握も、問題の中に織り込んで出題しているからだと思われる。
2 さらに筑駒の国語の問題の難しさは、字数制限の厳しさにもある。すなわち、解答欄が小さい、すなわち書くことが許されている字数が少ないということである。麻布中学や武蔵中学のように大きな解答欄を与えてくれれば、出題趣旨・意図が正確にとらえきれない場合、採点基準に関係ありそうな事項を網羅的に数多く(言い方は悪いが、数を撃てば当たる式の考え方)書けば、その中のどれかが採点基準に引っかかることを期待できる。
しかし字数が制限されると、その方法は使えない。なぜなら、採点基準に含まれない事項を書けば、必然的に採点基準に該当する内容が書けなくなるからである。
したがって、筑駒を目指すのであれば、短い字数で解答できるように、具体的には、文章中の言葉の継ぎはぎではなく、文章中の内容を、自分の言葉でわかりやすく説明するトレーニングをすることが必要になる。
3 以上をまとめると、極めて当たり前のことになるが、過去問を教材に、シンプルな設問からその出題趣旨・意図を的確に把握し、その内容を文章中の語句の継ぎはぎではなく、自分の言葉でわかりやすく説明する学習をできるだけ早い段階からすべきといういことになる。
第3(詩・俳句・短歌の出題)
冒頭にも述べたように、筑駒は、詩・俳句・短歌からの出題がなされる。この点、多くの受験生はこのジャンルの出題を苦手とする傾向があるが、その大きな理由は、学習分量の少なさにあると考えられる。
実際、このジャンルの問題は(筑駒といえども)一定程度限定された設問にならざるを得ない。その意味では知識問題に近いともいえるので、より多くの問題を研究して、いわゆる解答の枠を身に着けてもらいたい。
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2025年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「随筆」、出典は湯浅誠「どんとこい、貧困!」(文字数約2600字)。小問は全5問(解答数10)。「選択肢」(1問。「空所補充」)、「説明記述」(3問。全て「字数指定なし」)、「漢字の書きとり」(4問)。問題文は3分弱で読み、設問を15分強で解きたい。大問二も「随筆」、出典は矢萩多聞「美しいってなんだろう?」(文字数不明)。小問は全4問(解答数4)。「選択肢」(1問。総合的知識問題)、「説明記述」(3問。全て「字数指定なし」)。全ての設問を12分程度で解きたい。大問三は「詩」、出典は東田直樹「小さな嘘(うそ)」(文字数約100字)。小問は全2問(解答数2)。「説明記述」(2問。全て「字数指定なし」)。全てを10分程度で解きたい。
【大問一】
- 難度:標準
- 時間配分:18分
- ★必答問題
日本社会を覆う「貧困」の問題を、「だれか」の自己責任論ですますのは終わりにしよう……、反貧困ネットワーク事務局長が情熱をもって語る希望の書。本文では、人間らしく生きるための支援が必要かどうかを決めることは難しいが、それは人任せにするのではなく我々自身が考えなくてはならないと語っている。文章は分かりやすく内容はすぐに理解できるはず。本校としては珍しい「選択肢設問」がある。以下、「漢字」も含めて4問を確認する。
[問一] 「漢字の書きとり」(4問)。本年度は本校としての「標準レベル」。本校志望者は絶対に失点は避けたい。㋐「カドに甘やかすこと」=「過度」⇒書けて当然だ。㋑「条件はトトノえて」=「整(えて)」⇒これまた平易だ。㋒「トウメン生活できるよう」=「当面」⇒「さしあたり」という意味。㋓「ソコなしの『がんばり地獄』」=「底(なし)」。本年度を含めここ数年は平易なものが多い。だからこそ、油断せずに細部に注意すること。「ていねいに大きく書きなさい」という「注意」が付されていることにも留意すること。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問二(1)] 「相違内容説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部①「逆の意味でよく使われるのが『ぬるま湯』」について、「『ハングリー精神』と『ぬるま湯』はどう違うのか」を説明する。「同一意味段落」に「手がかり」を求めたい(「論説文」や「論説文型の随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。『ハングリー精神』については傍線部の前の形式段落、『ぬるま湯』に関しては次の形式段落で説明されていることがすぐに分かるはずだ。それぞれから「対」の内容を読み取り、整理した上で「相違説明」として「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「前者は飢えていて必死で困難にくじけず成功につながるが、後者は甘えた環境でチャレンジ精神が生まれず成功につながらないという違い。」(63字)といった「答え」だ。尚、「説明記述」では、「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。
<時間配分目安:3分>
[問三] 「指示語内容説明記述」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。傍線部③「それもまた怪しくなってくる」について、「『それ』が指す内容」を説明する。典型的な「指示語換言内容説明」だ。当然ながら、「指示語が出たら前を見よ!」。「それ」が指し示す内容を前の部分から読み解き、「~もまた怪しくなってくる」に「文脈」としてつながるように簡潔にまとめていきたい。たとえば、「客観的に判断されたはずの、『必要』と『甘え』を区別するライン。」(31字)といった「答え」になる。尚、「指示語換言」では、「指示語」部分に「答え」を「代入」できなくてはいけない。尚、本問のように直接的に問われていなくても、「指示語が出たら即開く」こと。
<時間配分目安:3分>
[問四] 「空所補充の文選択肢」(5択)。本文中の空所 A に「あてはまる文」を答える。空所前後は「『本当に歩けないんですか?』『本当に仕事が見つからないんですか?』このとき、そう聞く人は『 A 』と聞いている。あなたの考える『必要』のラインは高すぎて、私には『甘え』の領域に入っているようにみえますがね……」となっている。そして各選択肢の「文」は、(ア)「歩けないってうそでしょう?」、(イ)「仕事をみつけてぜいたくをしたいのですか?」、(ウ)「あなたのラインは高すぎやしませんか?」、(エ)「歩くことや仕事をみつけることは『必要』ですか?」、(オ)「あなたが歩けるとか仕事がみつかるとかいうのは『甘え』ではないですか?」。前述のように空所直後に「あなたの考える『必要』のラインは高すぎて、私には『甘え』の領域に入っているようにみえますがね……」と述べているのだから、(ウ)の「あなたのラインは高すぎやしませんか?」があてはまると判別できなくてはいけない。「空所補充」では前後の「文脈」を考慮して、「代入確認」できなくてはいけない。
<時間配分目安:1分>
【大問二】
- 難度:不明
- 時間配分:12分
- ★必答問題
美しいってなんだろう?――ある日、8歳の娘から投げかけられたなにげない質問に対し、600冊以上の本をデザインしてきた装丁家の筆者が手紙を届けるように文章を書きはじめた「世界のひみつ」を探る13の対話のひとつ。本文では、一人ひとりの人間の性格や熱が感じられる手書きの文字が身の回りから失われて現状にさびしさ感じていると語っている。※著作権上の問題で本文は未掲載なので、ひとつの「総合的知識問題」だけを確認しておく。
[問一] 「語句の意味の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。傍線部①の「気のおけない」の意味を答える。各選択肢は、(ア)「相手に遠慮や気配りをする必要がない」・(イ)「仲が悪くなってしまったので気まずい」・(ウ)「話さなくてもお互いの気持ちがわかる」・(エ)「相手の考えが読めなくて油断できない」。本校志望者は流石(さすが)に「誤用語句」の典型だと知っているはずだ。「答え」は(ア)の「相手に遠慮や気配りをする必要がない」だ。相手に対して遠慮や気遣いをしなくて済む、心を開いて打ち解けることができる関係性を示す語句で、親しい友人や家族など、お互いを信頼している間柄で使うのだが、誤用で「気を配らなくてはならない、気を許せない」という意味で使われることがあり、文化庁の調査でも誤用が多いとされているので、要注意だ。
<時間配分目安:30秒>
【大問三】
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
同じ嘘でも、嘘をつかれた人の立場によって、いい嘘なのか、悪い嘘なのかが違ってくる。
いい嘘なら、あまり腹も立たないのかもしれないが、悪い嘘なら、怒りは倍増する……。
本校の真骨頂発揮といった難易度だ。「少ない情報」を丁寧に読み取り、設問と結びつけて「記述」する必要がある。1問だけを検討したい。
[問二] 「条件付き内容説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。最後の行に「それは 大きな嘘」とあるが、「詩の題名をふまえると、どのような意味を持つと考えられるか」を説明する。「条件」は「『それ』が指す内容もふくめて説明する」こと。「題名」は「小さな嘘」。誰かがついた 小さな嘘」(1行目)→「それを笑った人がいた」(2行目)→「誰かが笑った ささいなうわさ」(3行目)→「それを怒った人がいた」(4行目)→「誰かが怒った つまらない話」(5行目)→「それを聞いて 誰かが泣いた」(6行目)→「何が正義で」(7行目)→「何が悪」(8行目)→「人が人をおとしめる」(9行目)→「それが 世の中」(10行目)→「それは 大きな嘘」(最終行)。こうした「流れ」の「詩」だ。「条件」である最後の「それ」=「世の中で人が人をおとしめるもの」ということを意識して、「小さな嘘」が「大きな嘘」になってしまう「流れ」を的確に説明したい。たとえば、「小さな嘘から始まったささいなうわさ話が、善悪もあいまいなまま世の中に広まり、他者をおとしめる恐ろしいものになるという意味。」(61字)といった「答え」になる。尚、「詩」では、「直喩」「隠喩」「擬人法」などの「比喩法」や、「体言止め」「倒置法」「反復法」「対句法」「省略法」「呼びかけ」などの「表現技法」に着目しながら、全体の「流れ」にもこだわって読み解くことが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:3分>
攻略のポイント
●「字数指定」がなく、「必要要素」の絞り込みが難しい本校の「説明記述」を如何(いか)に攻略するか? それは、実直に「記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが肝要。本校では「50~100字ほどの解答欄」が多いので、2~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきたい。「合格ライン」は7割弱(過去11年間の「合格者最低得点率」は67.0%、本年度はやや下がって65.2%)。1問あたりの配点が高い「説明記述」では(本年度は8~10点)、「減点」はともかく「失点」は大きな打撃になると心得よ。
●必出の「韻文」、攻略のためには十分な準備が不可欠だ。過去問演習などを通じて、「一語」「一音」に徹底的にこだわり、作品の世界観を読み取る練習を繰り返したい。また、「韻文」特有の「リズム感」を感得することにも慣れておきたい。尚、「短歌」「俳句」では、テキストに掲載されているような有名なものは解説も含めてしっかりと読み込んでおくこと。「韻文」は、練習次第によって「差」がつきやすい。確実に「得点源」とすることが肝要だ。
●「漢字の書きとり」では「故事成語」「慣用句」「ことわざ」が定番だ(本年度は単純な「書きとり」だったが、油断は禁物)。数多くのものを定着させておく必要がある。無論、「四字熟語」の習得も忘れてはいけない。いずれにしても、本校では高度な語彙力」が求められていると覚悟せよ。
●本校では従前ほとんど出題されなかった「選択肢設問」が3年連続で本年度も出された。来年度以降も可能性があるので、新たな対策が求められる。
●試験時間は他校より短い40分。時間配分には細心の注意を要する。問題文の文章量は全体で4000~5000字(ひとつの「随筆」が著作権上の問題で未掲載なので全体は不明)と決して長くはないが、速く正確に読み取れる方が当然、有利だ。分速750字以上を目標に「読む練習」をしておきたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
筑波大学附属駒場中学校の科目別
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