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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「横浜雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「横雙の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ずは「語彙力」日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「詩」や「俳句・短歌」といった「韻文」の知識までも押さえておきたい(実際に出題されている)。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000~6000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

横雙に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい

解法

横雙の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「横雙の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(横雙の「自由記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)

意識

どのような場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漫然と机に向かっていても無駄なだけだ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。

「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていく横雙では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2023年度「横浜雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」。小問は全2問(解答数15)。「漢字の読み書き」(全8問)。「『漢字』についての説明文」(岩波書店「図書」所収の円満字二郎「四月、花が咲けば心も浮き立つ」(文字数約450字)からの出題(「漢字のつくり」「音・訓読み」「熟語」「類義語」)。全問を5分程度で終えたい。大問は「小説」、出典はねじめ正一「泣き虫先生」(文字数約3000字)。小問は全10問(解答数13)。「選択肢」(「不適切」、「空所補充」、「空所補充」、「組み合わせ」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「自由考察論述」(「字数指定なし」1問)。問題文は4分弱で読み、設問を16~17分ほどで解きたい。大問は「随筆」、出典は宮地尚子「傷を愛せるか」所収の「捨てるものと残すもの」(文字数約3200字)。小問は全9問(解答数15)。「選択肢」(「空所補充」、「総合的知識問題」、「複数解答」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「自由考察論題」(「字数指定なし」1問)。問題文は4分で読み切り、設問を20分強で解きたい。

【大問一】「総合的知識問題」(「漢字のつくり」「音・訓読み」など)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分

「総合的知識問題」。「漢字の読み書き」、「漢字のつくり」「音読みと訓読み」「熟語の完成」「類義語の判別」などが問われている。毎年、出題分野は異なるが、「語彙力」「国語常識」等を含め、あらゆる「高度な総合的知識力」が問われるのが【大問一】。本校の最初の関門となっている。本年度の一部を検証したい。

[問一] 「漢字の読み書き」(「読み」4問と「書きとり」4問)。「漢字」を「ひらがな」に、「カタカナ」を「漢字」に直す。「送りがな」が必要な場合は「ひらがな」で記す。「神奈川女子御三家」のひとつである本校ならではの難解さがある。本年度は例年並みの難易度。本校志望者であれば「全問正解」したい。特に悩ましいものを確認したい。(2)「学校のシュエイさんにあいさつをする」=「守衛」⇒あまり馴染みがないかもしれない⇒「施設などの警備を行う人」のことだ。(3)「すいかはセイカに旬(しゅん)を迎える」=「盛夏」⇒多くの「同音異義語」に注意⇒「文脈」を正確に読み取りたい⇒尚、「旬」(他の時期よりも新鮮に食べられる時期)の読み書きも定着必須だ。(4)「電子マネーでケッサイする」=「決済」⇒最近はよく見聞きするのではないか⇒「商品やサービスの代金を支払うための手続きや行為」のこと。(8)「真相が白日の下にさらされる」=「はくじつ」⇒「白日の下にさらす」(隠されていた物事を世間に公開する)という慣用表現として覚えておきたい。尚、「送りがな」は本校のお約束なので、確実に定着させること。また、「トメ」「ハネ」にも留意せよ。

<時間配分目安:1分半>

[問二]  「漢字にまつわる説明文」からの出題(全4問)。「漢字のつくり」、「音読みと訓読み」、「熟語の完成」、「類義語の判別」が問われている。本校としての標準的な難易度だ。2問だけチェックしたい。

[2] 「訓読みの判別選択肢」(5択)。「説明文」中の傍線部の「訓読みがない漢字」を答える。各選択肢の「読み」を確認していく。(ア)「茶」⇒無論、「音読み」は「チャ」=「紅茶」(コウチャ)など、そして、「サ」とも読む=「喫茶」(キッサ)などだ。で、「訓読み」は? 思いつかない。そう、ないのだ。よって、(ア)が「答え」となる。ちなみに、(イ)「記」⇒「音読み」は「キ」=「記入」(キニュウ)など、「訓読み」は「しる(す)」だ。(ウ)「永」⇒「音読み」は「エイ」=「永遠」(エイエン)など、「訓読み」は「なが(い)」。(エ)「曲」⇒「音読み」は「キョク」=「曲線」(キョクセン)など、「訓読み」は「ま(がる)」。(オ)「野」⇒「音読み」は「ヤ」=「野党」(ヤトウ)など、「訓読み」は「の」。尚、「音読み」と「訓読み」の区別がしづらい漢字があるので、テキストなどで確認しておこう。

<時間配分目安:30秒強>

[4] 「類義語の判別選択肢」(全2問。6択)。示されている(1)(2)の「熟語」を「別の言い方で表現したもの」を答える。(1)「反省」と(2)「製作」だ。各選択肢の「表現」は、(ア)「こしらえる」・(イ)「まとまる」・(ウ)「あらわす」・(エ)「まとう」・(オ)「つまびらかにする」・(カ)「ふりかえる」。「反省」とはどういう意味か的確に理解しているだろうか? 「自分のしてきた言動をかえりみて、その可否を改めて考えること」だ。したがって、(1)の「答え」=「ふりかえる」。「製作」とは? 「道具や機械などを使って品物を作ること」。よって、(2)の「答え」=「こしらえる」になる。ちなみに、「製作」ではなく「制作」(「衣」がない)は「芸術作品などを作ること」だ。両者の違いをしっかりと押さえておきたい。

<時間配分目安:全問で1分弱>

【大問二】「小説の読解」(「自由考察論述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分
  • ★必答問題

なにかにつけて泣く感動屋の「泣き虫先生」と、風呂屋のエントツに登ってしまった少年を助けるため、ひとり猛スピードで駆け上がった「チビカン」の大人2人。剛速球エースのほまれも高い「卓也(たくや)」と、野球でバッテリーを組む転校生「力(りき)」の少年2人。この4人が始めた、ヘッセの小説「車輪の下」の読書会が生み出したものは?――揺れ動く少年の心、迷い戸惑う大人の心、市井の人々の心の機微を丁寧に描いている作品。本文では、「卓也」と「力」が「志水(しみず)先生」(泣き虫先生)に呼び出され、出来事や感想などを綴(つづ)る「班ノート」を書かされている様子が描かれている。本文の中に2編の「詩」が含まれており、「韻文」の知識も問われている。やや厄介な大問だ。以下、いくつかを検討してみる。

[問一] 「語句の意味の選択肢」(全2問。各5択)。「総合的知識問題」。波線部(あ)「念を押す」・(い)「感極まり」の「文中の意味」を答える。チェックしてみよう。(あ)⇒「念を押す」という「慣用句」=「間違いがないように、相手に十分に確かめること」⇒「答え」は選択肢(オ)の「相手に十分に確かめる」。(い)⇒「感極まる」=「非常に感動する」⇒「答え」は(ウ)の「この上もなく感動して」。「語句の意味の選択肢」では「原意」(=もともとの意味)を最優先に考えることが必須だ(ただし、「多義語」では「文脈」による判別も必要になる)。尚、本校では、「漢字」だけではなく「四字熟語」「慣用句」「故事成語」「ことわざ」「オノマトペ」「慣用表現」など、あらゆる「知識」に対応できるようにしておくことが肝要だ。

<時間配分目安:全問で1分以内>  

[問二] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部の「こんな気分は初めてだった」とは「どのような気分か」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「心情説明」なので、「こんな気分」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」することになるが、何はともあれ先ずは「指示語」を開かなくてはいけない。直前から、「こんな気分」=「野球で得られる充実感とは別の感情」だと分かる。どのような「感情」なのか? 「同一場面」に「手がかり」を求めたい(「小説」では「同一場面の直前直後に、根拠・手がかり・ヒントあり」が大原則)。ひとつ前の形式段落に、「卓也」が書き始めた「班ノート」に関して「(家業の花屋の)店番のイヤな気分が、ちょっとずつ言葉になって出てき始めた」とある。各選択肢の「説明」を確認したい。本来は各選択肢の「文末」と照合するのだが(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)、本問では「説明」が短いので全文をチェックする。(ア)「面倒に感じていた班ノートを終わらせたあとのけだるい気持ち」、(イ)「いやなことを言葉で吐き出して店番を好きになれたうれしい気持ち」、(ウ)「野球以上に楽しいと思えることを見つけることができた喜び」、(エ)「自分の感情を苦労しながら言葉で表すことができたという喜び」、(オ)「志水先生に苦労して作った詩を褒(ほ)めてもらえてほこらしい気持ち」。さあ、どうだろうか? 「言葉になって出てき始めた」ことが「こんな気分」に結びつくのだから、(エ)以外は、当然「消去」できるはずだ。したがって、「答え」は(エ)となる。「一発消去」だ。畏るべき! 「原意消去」、大いに活用すべし!

<時間配分目安:1分以内>

[問四] 「空所補充の抜き出し」。本文中の空所  A  に「入る言葉」を「『卓也』の詩の中」から抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいくのが鉄則だ。「内容」を特定するために空所前後を確認したい。「志水先生」が「『卓也』の詩」の内容について述べている「セリフ」の一部で、「<中途半端>という言い方もあるが、それだと普通なんだ。<  A  >という言葉を発見したことで、この文章が詩になり、全体が光り出したのです」となっている。つまり、「抜き出し内容」は「<中途半端>の類義語」になる。「範囲」は当然、「同一場面」になるが、ここでは指定があるので「『卓也』の詩」を丁寧に探していきたい。すると、「題名」にもなっている「宙ぶらりん」という言葉が何度も出てくる。「宙ぶらりん」≒「中途半端」だと判断できる。詩の中にこれ以外の候補はないことも読み取れる。したがって、「答え」は「宙ぶらりん」となる。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」全てをしっかりと確認することが肝要。

<時間配分目安:1分強>

[問六(1)] 「相違表現の抜き出し」(「1行」指定)。傍線部「清田(力)の詩は、同じ言葉とフレーズの繰り返しで、どの連もたった一行が違うだけだ」について、「の連の中から他の連と違う一行」を抜き出して答える。「清田の詩」(題名「ひとりぼっち」)を確認する。各連とも「1・2行目」が「ひとりぼっち」の繰り返しで、「4・5・6・7行目」は「みんなもひとりぼっちなのを」・「わかっているから」・「オレはひとりぼっちを」・「辛抱(しんぼう)」できる」で共通しており、「3行目」だけが各連で相違していることが分かる。したがって、本問では連の「3行目」を抜き出すことになる。「答え」は「月がひと間(ま)を照らして」となる。

<時間配分目安:30秒>

[問六(2)] 「条件付き心情説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。上記傍線部について、「の連は「『清田』のどのような気持ちを表しているか」を説明する。「条件」は「前の二つの連と比べて説明する」こと。「条件」に即して、それぞれの「3行目」をチェックする。連は「爆弾かかえて」、連が「人を殴(なぐ)りたいほど」なのに対して、連は「月がひと間を照らして」だ。明らかに、「前の二つの連」と心情的に異なっていることが分かるはずだ。前者は「暴力的心情」だが、後者は「孤独を抱えた静かな心情」だと読み取れる。こうした「心情」の対比を明確にして、「月がひと間を照らして」という内容を織り込みながら「過不足」なくまとめていけばいい。たとえば、「ひとりぼっちのさびしさが向かう他者への暴力的な感情をしずめ、自分の孤独な心と、月の光のように静かに向かい合うと気持ち。」(59字)という「答え」になる。「詩」では、「繰り返し」や「体言止め」「倒置法」などの表現技法を的確に読み取ることが肝要だ。尚、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。

<時間配分目安:2分半>

【大問三】「随筆の読解」(「自由考察論述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:25分

傷を愛することはむずかしい。傷は醜い。傷はみじめである。ただ、傷をなかったことには、しないでいたい――「トラウマ」に向き合い続けている精神科医で研究者でもある筆者が、傷ついた人たちの心に触れながら綴ったエッセイ集の一篇。本文では、世の中の情報の多さや人間の処理能力の限界について述べている。難解な語句が多数あるが(「※注」が13もある)、なんとか内容を理解してほしい。本校ならではの「考察論述」等、多様な小問が並んでいる。以下、いくつか確認する。

[問三] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部の「ただの紙の山とその上に載(の)ったインクの浸み、コンピューター上の記号の集まりでしかない」とは「どのようなことか」を答える。無論、「原意消去」からだ。ここは「換言説明」なので、「傍線部」の「原意」と、各選択肢の「文末」を照合して、直接結びつかない「換言説明」を「消去」したい。確認する。(ア)「価値を持たないものであるということ」、(イ)「意味がないということ」、(ウ)「重要だということ」、(エ)「定着したとはいえないということ」、(オ)「大切なのだということ」。「ただの紙の山……インクの浸み……記号の集まりでしかない」のだから、 「重要だ」・「定着したとはいえない」・「大切なのだ」は、即「消去」できなくてはいけない。また、「紙の山」・「インクの浸み」・「記号の集まり」であれば、「意味がない」ではなく「価値を持たない」がふさわしいと判別できるはずだ。「同一意味段落」を確認して、他の部分の説明も特に誤っていないことが分かる((「論説文」「説明文」「随筆」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある))。よって、「答え」は(ア)となる。本問ではひと手間かかったが、結果的には「一発消去」だ。やはり。「原意消去」は使える。合格へのショートカットだと心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問四] 「具体例判別不適切選択肢」(複数完全解答。6択)。傍線部「それに情報の価値など、そのときの自分の関心や、その前後に経験したり考えたりしたこととのつながりによって大きく変わる」について、「その具体例」として「適切でないもの」を「二つ」答える。本問は「具体例判別」なので単純な「原意消去」はできない。傍線部の「そのときの自分の関心や、その前後に経験したり考えたりしたこととのつながり」に即していない「具体例」を答えることになる。それぞれの「具体例」をチェックする。選択肢(ア)「友人と話し合う機会」・「情報を一度に得る」⇒「情報」に「受け身」で接しているだけ=即していない。(イ)「本を読み返す」・「昔は感じなかった深い味わいを知る」⇒「経験」したこととつながっている=即している。(ウ)「ふと目にした新聞記事」・「疑問について考えるきっかけを得た」⇒「そのときの自分の関心」から「考える」ことにつながっている=即している。(エ)「報道されていた事件」・「新たな事件の発生でとりあげられなかった」⇒「事件報道」の事実にふれているだけ=即していない。(オ)「自由研究に取り組む」・「研究テーマに関係するニュースに目が留まった」⇒「自分の関心」と「前後の経験」がつながっている=即している。(カ)「ある本の一節に触れた」・「考えてもみなかった視点を与えられた」⇒「そのときの自分の関心」と「考え」がつながっている=即している。よって、「答え」は(ア)(エ)になる。尚、「具体例判別」では、「一般論」としての内容を正確に理解して、「具体例」に的確にあてはめることが求められる。

<時間配分目安:3分弱>

[問五] 「空所補充の語句選択肢」(全2問。5択)。本文中の空所  Ⅰ    Ⅱ  に「当てはまる言葉」を答える。各選択肢は、「接続詞」と「副詞」だ。本校に限らず必出の定番問題。「接続詞」では「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外ではどれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認すること。また、形式段落冒頭の「接続詞」は「前段落全ての内容」を指し示すことにも注意したい。では、それぞれの空所の「答え」を確認していきたい。  Ⅰ  には「言うまでもなく」を表す「副詞」の(オ)「もちろん」、  Ⅱ  には「逆接」の「接続詞」の(ウ)「でも」がそれぞれ入ると特定できるはずだ。「候補」はひとつとは限らないので、必ず全て「代入確認」すべし。 

<時間配分目安:1分弱>

[問六] 「空所補充の四字熟語選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。「四字熟語の用法判別」だ。本文中の空所  A  に「入る四字熟語」を答える。各選択肢は、(ア)「馬耳東風」・(イ)「本末転倒」・(ウ)「一長一短」・(エ)「疑心暗鬼」・(オ)「絶体絶命」だ。空所前後の「文脈」から「答え」を特定していきたい。「ほんとうはおもしろい情報を探すはずなのに、(「おもしろい情報があるとあせる」というのは)   A  だなあと思う」⇒「重要なこととささいなことを取り違えてしまうこと」である「本末転倒」がふさわしいと分かるはずだ。よって、「答え」は(イ)だ。尚、他の「四字熟語」についてひとつでも知らないものがある諸君がいたら、猛省し、復習すること。尚、本校では「四字熟語」に限らず、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」等についても頻出なので、覚悟せよ。

<時間配分目安:1分強>

[問八(2)] 「条件付き自由考察論述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部「これは知的な意味だけではなく、情緒的なかかわりにおいても当てはまる」について、「あなたは、筆者の言うような『情緒的なかかわり』を周囲の人たちとどのように築いてきたか」を論述する。「条件」は「あなたの体験を通して論述する」こと。「自由論述」であり「あなたの考え」なので、無論、どのような「内容」にするかは自由。しかし、自由……、自由だからこそ、雲をつかむようで何も思い浮かばないかも知れない。ただ、「本文内容」は無論、「手がかり・ヒント」になる。先ずは、「指示語」があるので開く。直前から、「これ」=「脳の情報処理能力を一気に加速などできないこと」だと読み取れる。つまり、「情緒的なかかわり」も「一気に加速などできない」ということだ。「情緒」については(注)に「喜びや、哀しみなどの心の動き」と説明されている。したがって、「一気に加速などできない」「周囲の人たち」との「心のかかわり(つながり)」を「どのように築いてきたか」を、「あなたの体験」を通して論述すればいいことになる。たとえば、「親友との関係は、さまざまな感情のぶつかり合いを体験しながら、長い期間をかけて築いてきた……」といったことをできるだけ具体的に論述したい。本校では、「自由(考察)論述・記述」は必出だ。志望者は、「設問自体」や「条件」、そして、「本文内容」などを「手がかり・ヒント」にして、「考察」「感想」や「体験」「創作」を「100字前後」でまとめる練習を重ねておくことが必須だ。

<時間配分目安:5分>

攻略のポイント

最大の難関は本校定番の「自由(考察)論述」だ。どのように「攻略」するか? 毎年「題材」が異なるのだから、予め「テーマ」を定めて「意見」をまとめておくといった準備は不可能だが、常日頃「考える習慣」を身につけることはできるはず。「練習問題」(特に「論説文」)などで、「筆者の考え」に対して「私ならどう考えるのか?」ということを自問自答する。その際、重要なことは「理由」を明確にすることだ。そして、「自分自身の考え」と「理由」を「論述」としてまとめておく。それは通常の「説明記述」の練習にもなる。意識すべきは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくということ。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校の「自由(考察)論述」は「100字程度」が多いので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておくこと。「国語」の「合格ライン」は7割弱と高い(「合格者平均得点率」の11年間平均は67.0%、本年度はやや低くて64.7%)。誰もが「対策」をして臨んでくる「自由(考察)論述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ(本年度の配点は2問で15点)。尚、「自由(考察)論述の考え方」については、本サイトの「2019年度『横浜雙葉中学校の国語』」を参考にされたし。  

他の「読解問題」の「攻略」にとって最も重要なのが、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて解き進めていくということだ。様々な基本的「解法」を完全に習得し、適切に応用できるようにしておく必要がある。

●「総合的知識問題」も侮れない。「高度な語彙力」(「大人の語彙」も求められる)だけではなく、「韻文」「文法」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で6000~7000字程度(本年度は昨年度より減少して約6700字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

●尚、ここ数年、内容こそ異なるが「新傾向の設問」が連続して出題されている(本年度は未出だが、油断は禁物)。新たな大学入試制度を意識したものなので、来年度以降も要注意だ。

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