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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「横浜雙葉中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]
「横雙の社会対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。

6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「深知り知識」が求められる横雙ではなおさらだ。そこで、独自の「復習」が必要となる。

塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横雙らしいの「難問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、横雙で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

[手づくり式学習]
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、横雙ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。

「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも触れたとおり、「横雙対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。

そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。

導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

[意識継続式学習]
いついかなるときであっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。

横雙の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2017年度「横浜雙葉中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問「歴史」。「日本各地の祭りや行事の歴史に関する12の説明文」からの出題。小問は全10(解答数14)「事項(人物)記述(「漢字」「数字」指定)、「選択肢」(「位置特定」あり)、「年代整序」、「説明記述」(「字数指定」なし1問)

大問「地理」。「日本の人口の現状と今後についてのリード文」からの出題。小問は全9問(解答数13)「事項記述」(「漢字」「カタカナ」指定あり)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」あり)、「位置記入」(「地図」への書き込み)

大問「公民」(ただし「歴史」「時事」各1問あり)「世界の人権状況に関するリード文」からの出題。小問は全10(解答数17)「事項記述」(「漢字」「アルファベット」「都市名」指定あり)、「選択肢」(「不適切」「正誤判別」あり)「短文記述」(複数解答)

時間配分としては、1分弱で1問を解くペース。

【大問1】歴史(「年代整序」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

「全国各地に伝わる祭りや行事」に関連する「歴史」についての12の「説明文」からの出題。「弥生時代」から「戦後」までの多種多様な「歴史的事項」が問われている。

基本的なものが多いが、中にはヤバッ!というような「難問」もある。また、解答形式が次々に変化するので、混乱しないように注意したい。さらに、「各説明文」の内容にはとても「難解な事項」(大学入試レベル)が含まれているが、実際に問われているものとは違うので、「説明文」に引きずられて戸惑わないこと。

以下、いくつか「設問」を検討してみる。

[問1(2)] 「空所補充事項記述設問」(「漢字」指定)。

「説明文C」中の空所( 2 )に「あてはまる言葉」を「漢字」で答える。「大仏で有名な東大寺の行事『修二会』」に関する「説明文」で、空所前後は「752年には大仏の完成を祝う( 2 )式がひらかれ」となっている。「743年」に「大仏建立の詔」が出され、「752年」に完成したことは知っていても、その際の「式典」となるとどれほどの諸君が押さえているだろうか? 「難問」だ。「答え」は「開眼(式)」。

尚、「開眼」は「かいげん」と読むことにも注意。やはり、本校ではこうした「深知り知識」も求められていることは心得ておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[問2] 「下線部についての条件付き理由説明記述設問」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。

「説明文A」中の下線部(あ)「弥生時代」について、この時代の「一部のむらは山や高台につくられていた」が、その「理由」を説明する。「条件」は「弥生時代の社会の様子にもふれる」こと。「弥生時代」=「稲作」⇒「集落は稲作に適した低湿地帯」となるはず。なのに、なぜ「山や高台」にもあったのか?

 「答え」に窮した諸君は、ここで「条件」に着目してほしい。「弥生時代の社会の様子」とある。当時の社会はといえば、「縄文時代」とは異なり、「水や食料」などをめぐって度々「むら」どうしの「争い」が起こっていたではないか(代表的な遺跡である「吉野ヶ里遺跡」を考えれば分かるはず)。であれば、「むら」は敵の襲撃に備える必要があったと考えられる(「環濠集落」もその一例)。

そこから、「山や高台」も……、と結びつけていきたい。したがって、たとえば、「水や食料をめぐって、むらどうしの争いが度々起こっていたため、敵の侵入を防ぎやすい地形を選んだから。」といった「答え」になる。「条件」は「手がかり・ヒント」だと心得よ。

<時間配分目安:2分>

[問6] 「下線部についての事項記述設問」(「漢字」指定)。

「説明文I」中の下線部(お)「18世紀」について、この頃「蘭学」が盛んになったが、「杉田玄白によって書かれ、医学書をほん訳した苦心などが記されている書物を何というか」を「漢字」で答える。「徳川吉宗が始めたとされる『隅田川花火大会』」に関する「説明文」だ。

「杉田玄白」⇒「医学書をほん訳」=「解体新書」までは、誰にとっても常識だろうが、「苦心談などを記した書物」となると……。これまた「ディープな知識」が求められている。「答え」は「蘭学事始」。玄白が晩年に著し、「解体新書」出版までのいきさつや苦労が記されている。

やはり、本校では一筋縄ではいかない問題が多い。要注意だ。

<時間配分目安:30秒>

[問8] 「下線部についての年代整序設問」(4択)。

「説明文K」中の下線部(き)「明治時代」について、示されている(ア)~(エ)の「出来事」を「古いものから順に並べ」て答える。「年代整序」では、覚えているであろう「年代」で無理やり「整序」しようとすると、「数字」を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず「流れ」で考えてつないでいくこと。

「明治時代後半」の「政治の流れ」だ。「国会開設の勅諭」(1881年)板垣退助が「自由党結成」(1881年)続いて大隈重信が「立憲改進党結成」(1882年)「大日本帝国憲法発布」(1889年)「第1回帝国議会」(1890年)「領事裁判権撤廃」(1894年)直後に「日清戦争始まる」「日英同盟」(1902年)「日露戦争始まる」(1904年)「関税自主権回復」(1911年)で「条約改正完成」「明治天皇死去」(1912年)。

各選択肢は、(ア)「日清戦争が始まる」、(イ)「大日本帝国憲法発布」、(ウ)「関税自主権回復」、(エ)「大隈重信が立憲改進党結成」。したがって、「答え」は「(エ)(イ)(ア)(ウ)」。「歴史的事項」は必ず「背景」「流れ」を理解し、定着させておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

[問10] 「囲み線部分の場所についての地図上の位置特定選択肢設問」(全3問/9択)。

「説明文」中の厳島神社、壇ノ浦、名護屋城のそれぞれの場所を、示されている「西日本の地図」から答える。「厳島神社」は「日本三景」のひとつである「宮島」(広島県)、そして、「壇ノ浦」は「下関市」(山口県)だということはすぐに分かり、「答え」はそれぞれ選択肢「オ」、「カ」と特定できなくてはいけない。

厄介なのは「名護屋城」だ。「名古屋」ではなくて「名護屋」、だから「愛知県」ではないはず。無論、知っていれば何の問題もないが、知らないとお手上げ状態だ。だが、「説明文」から「豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に陣を構えた」場所だと判明する。「朝鮮」に出兵することを考えると、距離的に適しているのは「キ」の「対馬」(長崎県)か「ク」(佐賀県)だが、島に「陣」を構えるというのは不自然なので、「ク」が「答え」だと判別できるはずだ。

「知らないこと」だとしてもすぐに諦めるのではなく、与えられている「手がかり」や「知っていること」を組み合わせて考えてみることが必要だ。

<時間配分目安:1分半>

【大問2】地理(「地図への書き込み」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分

「日本の人口の現状と今後」を切り口にした「地形や産業、そして社会問題にも言及したリード文」からの出題。「地図」や「統計資料」も踏まえ、「地理」の様々な分野が問われている。基礎的で平易な問題と難問とがないまぜになっており、油断ならない大問だ。以下、いくつかの「設問」を確認してみよう。

[] 「下線部に関連する事項記述設問」(「数字」指定)

「リード文」中の下線部()「領土」に関連して、「領海」は「海岸線から何海里までか」を「数字」で答える。「○×海里」といえば「排他的経済水域」=「200海里」は誰でもそらんじている。だが、「領海」となるとあやしいかも知れない。

国の「主権」が及ぶ範囲である「領域」=「領土」(陸地)・「領海」(海岸線から12海里)・「領空」(「領土」「領海」の上空で宇宙空間は含まず)ということは「基本的事項」のはずだが、意外と抜け落ちている可能性がある。無論、「答え」は「12(海里)」だ。

ちなみに、「排他的経済水域」は「200海里」でも、その内の「海岸線」から「12海里」は「領海」だ。したがって、純粋な「排他的経済水域」は「188海里」になる。注意すること。

<時間配分目安:30秒>

[] 「下線部に関連する条件付き位置記入設問」(「地図」への書き込み)

「リード文」中の下線部()「山地」に関連して、「日本アルプス」と呼ばれる「山脈」の中で、「飛彈山脈」の「おおよその位置」を「解答用紙の地図」(中部地方全体)「書き入れ」て答える。「条件」は「地図に書きこまれている『木曽山脈』『赤石山脈』を参考にする」こと。

「日本アルプス」⇒「北アルプス」=「飛彈山脈」・「中央アルプス」=「木曽山脈」・「南アルプス」=「赤石山脈」だということは知っていなくてはいけない。なので、「飛彈山脈」は当然、示されている2つの「山脈」よりも「北」に位置するわけで、しかも、「山脈」は「県境」となることが多い(現に「赤石山脈」は「長野県」「山梨県」「静岡県」の「県境」付近に書きこまれている)ということなどから考えていきたい

。結果、「答え」としては、「富山県」「長野県」「岐阜県」の「県境」に沿って、示されている「木曽山脈」「赤石山脈」と並ぶように、「南北」に囲み斜線を書き入れることになる(書きこまれている両山脈はそのように示されている)。「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。

<時間配分目安:1分以内>

[()] 「下線部についての事項記述設問」(「カタカナ」指定)

「リード文」中の下線部()「稲作」について、「農家から運びこまれた米を乾燥させ、もみのままサイロで保管しておく共同の施設を何というか」を「カタカナ」で答える。もちろん、知っている。「カントリー、カントリー、……」、あれっ、何だっけ? などとなったりしていないか?

 中学入試の「社会科」で覚えなくてはならない用語の中には文字数の多いものがある。ど忘れや覚え間違い、勘違いなどで1文字でも間違ってしまえば、「ゼロ点」になってしまうので恐ろしい。「答え」は「カントリーエレベーター」だ。「漢字」だろうが「カタカナ」だろうが、必須用語についてはとにかく正確に覚え、確実に表記できるようにしておくことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[()] 「下線部に関連する条件付き事項記述設問」。

「リード文」中の下線部()「地形をいかした農業」に関連して、「和歌山県のみなべ・田辺地区で約400年前から斜面を利用して栽培している果実は何か」を答える。「条件」は、その果実の「都道府県別収穫量」を示す[グラフ]、説明した[資料]を参考にすること。[グラフ]からは「和歌山県」が断然のトップで(65%)、以下、「群馬県」「神奈川県」と続いていることが分かる。

また、[資料]では「古くから薬用や調味料、食用として用いられており、味加減や、ものごとの具合を意味する『あんばい』という語は、この果実と塩を意味する語がまじりあってできた」ということが分かる。「和歌山県」が収穫量トップの果実と言えば、「みかん」「柿」「梅」だとすぐに思いつかなければいけない。

そして、「みかん」の2、3位は「愛媛県」「静岡県」だということも覚えているはずで、したがって、「柿」か「梅」が「答え」になる。また、[資料]「薬用や調味料、『あんばい』」とあるのだから、さすがに「柿」ではないと判断できる。よって、「答え」は「梅」。ちなみに、「あんばい」=「塩」だ。様々な「都道府県ランキング」を定着させることは必須だが、未習のものの出題もあり得る。その際は与えられた「条件」から類推することが重要だ。

<時間配分目安:1分>

[] 「下線部についての選択肢設問」(4択)

「リード文」中の下線部()「林業」について、「日本の森林や林業をとりまく状況」として「正しいもの」を答える。各選択肢の「説明」の「キーワード」に着目して「正誤判別」していく。

()「国土に占める森林面積は、世界平均を上回っている」⇒「森林面積は約2/(66%)」ということは知っていて当然だが、「世界平均」となると? ()「森林の半分以上は人工林」⇒「人工林が多い」のは分かるが、「半分以上」かどうかは判別不能で? ()「生長の早い広葉樹」⇒「針葉樹の方が生長は早い」のは常識=「不適切」、()「木材の輸入量は2000年以降毎年増加」⇒1970年代以降、輸入量は増加していたが、2000年代以降は需要の減少や「加工材」の輸入増加により減少傾向にあるということは知っているはず=「不適切」。

さて、()()の判別だ。どちらが「不適切」か、ということだが、「世界地図」を思い浮かべれば、さすがにその「2/3」が「森林」ということはあり得ないと判断できるはず。したがって、「答え」は()になる。尚、「世界平均」は「約30%」だ。ここでも、「知識」を駆使して「考えていく」ことが重要だということが分かる。

<時間配分目安:1分以内>

【大問3】公民(「歴史」「時事」各1問あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:16分

「国際人権団体である『アムネスティ・インターナショナル』の活動を通じて、世界の人権状況を説明したリード文」からの出題。「公民」の基礎的問題がほとんどだが、中には「判別が難しい問題」や「手ごわい資料読み取り問題」、「考えさせる時事問題」などが混在している。「歴史」も1問ある。以下、少しだけ考えてみたい。

[] 「下線部についての事項記述設問」(「アルファベット」指定)

「リード文」中の下線部()「アムネスティ・インターナショナル」は「非政府組織」だが、そのことを「アルファベットで何というか」を答える。あれっ? 「NGO」と「NPO」、どっちだっけ? などと混乱している諸君はいないか?

 「答え」は「NGO」。「NPO」は「非営利組織」だ。「アルファベット略称」では他にも、「PK」=「(国連)平和維持活動」と「PK」=「(国連)平和維持」、「GP」=「国内総生産」と「GP」=「国民総生産」など、混同しやすいものがあるので注意したい。尚、「UN~」=「国連~」「W~」=「世界~」「I~」=「国際~」だと覚えておくとひとつの目安になる。

<時間配分目安:30秒>

[()] 「下線部についての選択肢設問」(4択)

「リード文」中の下線部()「日本国憲法」に定められている「国民が政治に参加するしくみ」として「正しいもの」を答える。各選択肢の「説明」の「キーワード」に着目して「正誤判別」していく。

()「国会議員を18歳以上の立候補者の中から選ぶ」⇒「選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた」という「知識」に引きずられて、瞬時に「18」=「適切」だと早とちりするのは厳禁、「立候補」できる「被選挙権」は「衆議院議員が25歳以上」、「参議院議員が30歳以上」ということは変わっていない⇒「不適切」、()「地方公共団体に法律の制定を請求」⇒無論、「国会」が「唯一の立法機関」(41)「不適切」、()「国会で過半数の賛成で憲法改正が発議」⇒「各議院の総議員の2/3以上の賛成で国会が発議」(96)する「不適切」、()「最高裁判所裁判官に対して国民審査」⇒第79条に「国民審査」が定められていることは知ってのとおり⇒「適切」。

当然、「答え」は()になる。いくら焦っていても、「説明」の一部だけで瞬時に判断してしまってはならないことを肝銘せよ。

<時間配分目安:1分以内>

[] 「下線部に関連する統計資料読み取りの正誤判別設問」(全3問)

「リード文」中の下線部()「国際協力や国際援助」に関連して示されている、7カ国の国別「ODA(政府開発援助)支出総額の移り変わり」の[グラフ]、各国の「人口」(2014)[]を読み取り、3つの「説明文」の内容が正しければ「○」、間違っていれば「×」で答える。各「説明文」を確認していく。

()[グラフ]の7カ国はすべて2007年に支出総額が前年より減少した」⇒「ドイツ」「カナダ」「イタリア」は増加している=「☓」、()「アメリカの支出総額は、『同時多発テロ』以降、4年間増加し続けた」⇒アメリカの「同時多発テロ」は「2001年9月11(必須定着事項)200205年まで確かに増加している=「○」、()2014年の『1人当たりのODA負担額』(支出総額÷人口)は、アメリカの方がイギリスよりも大きい」⇒[グラフ][]の数値で計算するアメリカは「約340億ドル÷3.19億人=106.5」、イギリスは「約200億ドル÷0.64億人=312.5」=「☓」。

「資料読み取り」では、「知識」の活用だけではなく、いかに正確に「資料」の「数値」を読み取れるかがポイントとなる。

<時間配分目安:2分以内>

[()] 「下線部に関連するしくみを示した図についての選択肢設問」(4択)

「リード文」中の下線部()「裁判」に関連して、「日本では判決に納得できないときは上級裁判所に訴えることができる」が、その「しくみを示した図」で、「最高裁判所」以外の4つの「裁判所」を表す選択肢()()の中から「家庭裁判所」を答える。「図」では最上位に「最高裁判所」が示され、その下に()、さらにその下に()()が並び、最下位に()がある。

そして、日本は「三審制」なので、()()()()()「最高裁判所」、()()「最高裁判所」という3ルートが示されている。であれば、()=「高等裁判所」、()=「家庭裁判所」、()=「地方裁判所」、()=「簡易裁判所」だと特定できるはずだ。

よって、「答え」は()。なかなかユニークな問題で戸惑うかもしれないが、自らの「知識」と与えられた「情報」を的確に結びつけて考えることが肝要だ。

<時間配分目安:1分>

[] 「下線部に関連する統計資料読み取りの地図上での位置特定選択肢設問」(5択)

「時事問題」。「リード文」中の下線部()「よその国に救いをもとめて逃げていけます」に関連して示されている、「2015」の「世界のおもな難民発生国とその人数の割合」の[グラフ]「A」に「あてはまる国」を、「アフリカや中東地域の地図」の中から答える。

[グラフ]では、「難民の人数割合」は「A」が最も多く(30.2%)、「B」(16.5%)、「C」(7.0%)、「南スーダン」(4.8%)と続いている。2015」といえば、「シリア」での内戦が激化してヨーロッパ各国での「難民受け入れ」が世界的な問題になっていた頃だ。そのことを押さえていれば、「A」=「シリア」と判断できる。

では、「シリア」の「位置」は? これはなかなか厄介だ。「地図」に記されている5ヵ国で、()()「中東」で他は「アフリカ」だ。「シリア」=「中東」だとは知っていても、どちらかとなると……。しかし、「シリア」からの「難民」の多くがヨーロッパ各国に逃れたという事実さえ知っていれば、「地中海」に面した()「答え」だと特定できるはず。

「時事問題」では、その「出来事」に関連する「場所」を、海外も含めて押さえておく必要がある。尚、[グラフ]「B」は「アフガニスタン」、「C」は「ソマリア」、「地図」の()「リビア」、()「イエメン」、()「ナイジェリア」、()「アンゴラ」だ。

<時間配分目安:1分半>

攻略ポイント

一昨年度には一度影を潜めた「深知り知識問題」が、昨年度に引き続き本年度も出題された。どう攻略するか? 全ての「事項」の「完全定着」は無理なので、「攻略ポイント」となるのが「細部へのこだわり」と「知らない事項への対応策」。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということで、必ずどこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていると心得ておきたい。「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。「深知り知識問題」への対応ミスによる「失点」は絶対に避けたい。

40分という制限時間」と「解答数」を考え合わせると、的確な「戦術」が求められる。そこで最も重要なのは「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。

「地理」では「地図」(「世界地理」も含めて)「地形図」「統計資料」「模式図」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)などがよく出題されるので、確実に覚え、常にチェックしておくこと。もちろん、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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