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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「横浜雙葉中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「横雙の社会対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。

6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「深知り知識」が求められる横雙ではなおさらだ。そこで、独自の「復習」が必要となる。

塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横雙らしいの「難問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、横雙で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、横雙ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。

「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「問題解説」でも触れたとおり、「横雙対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。

そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。

導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

いついかなるときであっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。

横雙の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2019年度「横浜雙葉中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」(「考察論述」あり)。「日本各地にある博物館にまつわる歴史についての14の説明文」からの出題。
小問は全15問(解答数15)、「事項記述」(「人物名」「地名」、「漢字指定」あり)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」、「時期特定」「位置特定」あり)、「自由考察論述」(「字数指定」なし1問)。

大問は「地理」。「日本の伝統的な正月料理のひとつであるお雑煮についてのリード文」からの出題。
小問は全8問(解答数12)、「事項記述」(「国名」「地名」、「漢字指定」あり)、「選択肢」(「組み合わせ」、「位置特定」「都道府県の形状」「縮尺計算」あり)、「説明記述」(「字数指定」なし1問)。

大問は「公民」(「時事」、「考察論述」あり)。「衆議院解散が行われた2017年9月28日付けの2つの新聞記事」からの出題。小問は全11問(解答数15)、「事項記述」(「漢字」指定あり)、「数字記入」(空所補充)、「年月日記入」、「選択肢」(「複数完全解答」あり)、「自由考察論述」(「字数指定」なし1問)。

時間配分としては、「自由論述」「説明記述」を各3分、他は1分弱で1問を解くペース。

【大問1】「歴史」(「考察論述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:15
  • ★必答問題

「日本各地にある、その地方の歴史や文化を紹介・展示する博物館」についての(A)~(N)の「説明文」からの出題。

「弥生時代」から「現代」までの多種多様な「歴史的事項」が問われている。基礎的な問題の中に「難問」が混在しているというのは例年どおりだが、本年度は「自由考察論述」がやや厄介かも。
以下、いくつか「設問」を検討してみる。

[問1] 「下線部についての年代特定選択肢設問」(4択)。

「根室市歴史と自然の資料館」の「説明文A」中の下線部(あ)「樺太にできた国境を示すために日本が設置した目印の石」について、「この石が設置されたのは何年か」を答える。

一瞬、なんのこっちゃ、となるに違いない。そんな「石」のことなど誰も知るはずがない。さあ、ここからが勝負だ。知っていることをつなげて考えていきたい。
「樺太」に「国境」ができた⇒「南樺太(サハリン)」をロシアから譲り受ける⇒「日露戦争」の「ポーツマス条約」=「1905年」とつなげていけるはずだ。したがって、「答え」は選択肢(ウ)の「1906年」になる。

「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考え、自らの「知識」を総動員して結びつけていくことが肝要。

<時間配分目安:30秒強>

[問2] 「下線部に関連しての自由考察論述設問」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。

「根室市歴史と自然の資料館」の「説明文A」中の下線部(い)「『クナシリ・メシリの戦い』の約20年後に建てられた石碑(せきひ)」について示されている、(Ⅰ)「石碑の裏面に書かれている文章」と(Ⅱ)「横に設置されている看板の説明文」から、「歴史について研究する時にどのようなことが大切だとあなたは考えるか」を論述する。

(Ⅰ)には「この地の凶悪(きょうあく)なアイヌの人たちが、集団となって反乱をおこして立ち上がった」といった内容が、また(Ⅱ)には「石碑裏面には、和人の視点からアイヌ民族が不意に襲ってきたとあるが、その原因はアイヌ民族への非道行為であり、石碑の内容と事実は異なる」といった説明が記されている。これらから何が分かるか?
(Ⅰ)では「和人の視点」、つまり、時の権力者の見方で「アイヌ民族への非道行為」という「不都合な真実」が隠されてしまっている。それに対し(Ⅱ)は、現在分かっている「事実」に基づき「誤った歴史」を修正している。こうしたことを踏まえて、「あなたの考え」を論述していけばいい。
たとえば、「歴史的事実はその時の権力者の視点で不都合なことが隠されたり、後になって真実が分かったりすることもあるので、できるだけさまざまな見方で歴史的出来事をとらえ、常に新たな発見に努めること。」(91字)といった「答え」だ。

来年度以降もこうした「考察論述」の出題が十分に予想されるので、この機会にしっかりと練習を重ねておきたい。

<時間配分目安:3分強>

[問6] 「下線部についての位置特定選択肢設問」(5択)。

「日本銀行貨幣博物館」の「説明文E」中の下線部(か)の「石見銀山」の「位置」を、示されている「地図」の(ア)~(オ)の中から答える。

「世界文化遺産」にも登録されている「石見銀山」は「島根県」にあるということは流石(さすが)に知っているはず。よって、「答え」は「島根県中部」を指し示している(ウ)だ。
「鳥取県」の(ア)と混同しないこと。「石見(いわみ)」は「漢字」と「読み」にも注意したい。

尚、本校では単元を問わず「位置特定」が頻出なので、さまざまな「地名」を覚える際には必ず、その「位置」も地図上で確認しておくこと。

<時間配分目安:30秒弱>

[問9] 「下線部についての事項記述設問」(「漢字」指定)。

「静岡市立登呂博物館」の「説明文H」中の下線部(け)「弥生時代の米作り」について、「日本列島に米作りが伝わった最初のころのものと考えられる福岡県の遺跡は何か」を「漢字」で答える。

まさか、「弥生時代」+「米作り」=「登呂遺跡」などと単純に答えてしまう頓珍漢(とんちんかん)はいないとは思うが、「福岡県」なのでもちろん違う。やや難問かも。
「答え」は「板付遺跡」だ。「福岡市」にある「縄文時代後期から弥生時代にかけての集落あと」で、「石包丁」や「水田あと」などが出土している。

尚、「いたづけ(・・)」という「読み」に注意すること。やはり、本校ではこうした「深知り知識」も求められていると心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

[問11] 「下線部に関連する正誤判別選択肢設問」(6択/複数完全解答)。

「堺市博物館」の「説明文J」中の下線部(さ)「堺の町で活躍した商人たち」に関連して、「彼らの力を全国統一のために使った織田信長が行ったこと」を「すべて」答える。

各選択肢の「キーワード」で正誤判別していきたい。

(ア)「石山本願寺との10年もの戦い」⇒「一向宗」の総本山との「石山合戦」、最終的に信長が本願寺法主の「顕如」を屈服させ、各地の「一向一揆」も収まったことは知っているはず=適切。
(イ)「一国一城令」⇒これは江戸幕府が出した大名統制の法令で、居城以外の全ての城の取り壊しを命じたもの=不適切。
(ウ)「比叡山延暦寺を焼き討ち」⇒「石山合戦」と同じように信長が徹底的に仏教勢力を弱体化させたことは知ってのとおり=適切。
(エ)「将軍の足利氏を京都から追放」⇒15代将軍「足利義昭」を追放して「室町幕府」を滅ぼしたこと(1573年)は知らなくてはいけない=適切。
(オ)「百姓が田畑を捨てて武士や町人になることを禁止」⇒「兵農分離」と結びつけたい。となれば「豊臣秀吉」の政策だ。いわゆる「身分統制令」(1591 年)の内容だ=不適切。
(カ)「武家諸法度」⇒無論、江戸幕府が大名統制のために制定した基本法だ。2代将軍「徳川秀忠」の時に発布した「元和令」が最初だということも覚えておきたい=不適切。

したがって、「答え」は(ア)(ウ)(エ)だ。

本問はさほど判別が難しくはなかったが、「複数完全解答」では細部まで丁寧に確認して漏れがないようにすること。

<時間配分目安:1分>

[問12] 「空所補充人名記述設問」(「漢字」指定)。

「津山洋学資料館」の「説明文K」にある空所( し )にあてはまる「人名」を「漢字」で答える。

空所は2カ所あって前後は「宇田川玄随(うだがわげんずい)は( し )のもとで学んだこともあり、( し )は著書である『蘭学事始』の中で……」となっている。
「宇田川玄随」は「大学入試レベル」なので知らなくても構わないが、「蘭学事始」は必須定着事項だ。その著者なので、「答え」は「杉田玄白」。晩年に蘭学草創当時を回想して記したもので、「解体新書」出版までの苦心談などを語っている。
「前野良沢」と混同しないこと。

<時間配分目安:30秒強>

[問14] 「下線部についての事項記述設問」(「漢字」指定)。

「大山祇(おおやまづみ)神社宝物館」の「説明文M」中の下線部(せ)の「源頼朝」が「軍事や警察の仕事をするために国ごとにもうけた役職の名前」を「漢字」で答える。

「鎌倉幕府」での「軍事・警察」=「侍所」と早とちりしてはいけない。「侍所」は「幕府中央」の役職であり、ここで問われているのは「国ごとにもうけた」ものなので、「答え」は「守護」になる。
もともとは弟の「源義経」を捕らえるという名目で朝廷の許可を得て設置(1185年)、その後「御家人の統率や軍事・警察」を担うようになった。

尚、一緒に設置された「地頭」は「年貢徴収や治安維持」が主なる職務だったことも合わせて定着させておかなくてはいけない。

<時間配分目安:30秒>

【大問2】「地理」(「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:11

「地域や家庭によって特色のある具材や作り方のある、伝統的な正月料理のお雑煮についてのリード文」からの出題。

「地図」や「地形図」、「統計資料」「都道府県の形状」など、「地理」のさまざまな分野から多彩な小問が並ぶ。難易度がまちまちなので決して一筋縄ではいかない大問だ。

以下、いくつかの「設問」を確認してみよう。

[問3] 「下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問」(6択)。

「リード文」中の下線部(う)の「米」について示されている「棒グラフ」(A)~(C)は、「北海道」、「北陸(新潟県・富山県・石川県・福井県)」、「四国」のいずれかの2016年における「農業産出額」のうち「米」「野菜」「果実」「畜産」が占める割合を表しているが、「正しい組み合わせ」を答える。

先ずすぐに目につくのは、(A)では「米」、(C)では「畜産」がともに6割以上と、他の農産物と比べて圧倒的に比率が大きいということだ。

「米」で3つの各地域を特定すれば、(A)は「北陸」だと判断でき、この段階で選択肢は(ウ)(エ)に絞られる。そして、「畜産」を考えれば、(C)を「四国」としている(ウ)ではなく、「北海道」となっている(エ)が「答え」だと判別できるはずだ。

「統計資料」の読み取りでは、特徴的な項目に着目することがポイントになる。尚、本問のような「組み合わせ選択肢」では、先ずは分かりやすい事項で選択肢を一気に絞り込むことが肝要。

<時間配分目安:30秒>

[問6(2)] 「下線部に関連する国名記述設問」。

 「リード文」中の下線部(か)の「岡山県」は「石油精製や石油化学工業がさかん」だが、それに関連して「2017年の日本の原油輸入先上位4か国」を(A)~(D)として示している「地図」の中で、(B)が示す「国の名前」を答える。

「地図」は「アラビア半島」を中心としたもので、その大半を占めている(D)は「サウジアラビア」に決まっている。そして、半島の付け根でペルシャ湾の奥に位置している(A)は「クウェート」だと判断できるはず。だが、(B)(C)はやや厄介か。

そこで、「原油輸入先」を「手がかり」としたい。「上位5か国」は必須定着事項だ。無論、「サウジアラビア」「アラブ首長国連邦(UAE)」「クウェート」「カタール」「ロシア」の順。

したがって、(B)は「アラブ首長国連邦」か「カタール」だ。であれば、面積が大きくてペルシャ湾に鋭く突き出ている(C)は「アラブ首長国連邦」だと判別できるはずだ。よって、「答え」は「カタール」になる。

本校ではこうした外国の「位置特定」の出題があるので、特に「中東地域」や「ヨーロッパ」の地図は確実に押さえておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問7] 「下線部についての都道府県形状判別選択肢設問」(5択)。

「リード文」中の下線部(き)「とり肉」について、示されている(ア)~(オ)の「都道府県の形」の中から、「食用にわとりの飼養羽数が第1位の都道府県」を答える。

 「肉用若鶏(食用にわとり)」の「都道府県ランキング」では「ベスト3」は定着しているはず。「宮崎県」「鹿児島県」「岩手県」の順だ。で、「都道府県の形」、「東側南部のリアス海岸」から(ア)=「岩手県」、「東側の直線の海岸線」から(イ)=「宮崎県」、「東側南部に霞ヶ浦」が見て取れる(ウ)=「茨城県」、そして、ともに「内陸県」で、「西南部に小さな『口』のようなくぼみ」がある(エ)=「奈良県」、「東側南部に細く突き出た突端」がある(オ)=「群馬県」だと判別したい。

したがって、「答え」は(イ)だ。

尚、「都道府県の形状」は本校に限らず「中学入試」の定番なので、しっかりと判別できるようにしておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問8(3)] 「下線部についての地形図読み取り選択肢設問」(4択)。

 「縮尺計算問題」だ。「リード文」中の下線部(く)の「北海道」の「農家は平均で約25haの耕地を経営している」が、示されている「横浜雙葉中学校周辺の1万分の1の縮尺の地形図」の中の(ア)~(エ)の「正方形の範囲」のうち、「北海道の平均耕地面積に最も近いもの」を答える。

 「縮尺」が「1万分の1」なので、地形図上での「1㎝」は実際の「10000㎝」=「100m」になる。そして、「25ha」=「250000㎡」、したがって、一辺が「5㎝」(=500m)になっている(イ)が「答え」だ。

「縮尺計算」では特に「面積」には注意すること。また、「地形図読み取り」は頻出なので、「地図記号」「等高線の読み方」などを正確に理解して定着させよ。

<時間配分目安:1分>

【大問3】「公民」(「時事」、「考察論述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:14

「2017年9月28日、衆議院解散」という少し前の「時事ネタ」を切り口とし、「朝日新聞」と「読売新聞」の「2つの新聞記事」(ともに同日付けの夕刊)からの出題。

「公民」の主に「政治分野」からの小問が並ぶ(一部「時事」単元あり)。基礎的な問題が多いが、中には判別のやや難しいものもある。以下、いくつか考えてみたい。

[問1] 「下線部についての写真判別選択肢設問」(3択)。 

「朝日新聞の記事」中の下線部(あ)「衆院」について、示されている(ア)~(ウ)の「写真」のうち、「衆議院の本会議場」を答える。

 (ア)(イ)はともに中央に「議長席」、その下に「演壇」があり、それらを要として扇状に「議員席」が配置されている。どちらかが「衆議院」で、もう一方が「参議院」なのは間違いないが、とても似通っていて判別が難しい。 ただ、よく目を凝らしてみると、(イ)の「議長席」のすぐ後ろ、1段ほど高い位置に立派なイスが置かれていることに気づく。これが「手がかり」だ。誰が座るのか? 類推したい。そう、「天皇」だ。「国会の開会」を宣言するために設けられている。                                        では、衆参どちらなのか? かつては「貴族院」があったことから、「参議院」だと判別したい。        よって、「答え」は(ア)になる。                                    ちなみに、(ウ)は「国際連合の総会議場」、見覚えがあるはず。

尚、「知らないこと」が出題されることは当然ある。                           その場合、何らかの「手がかり・ヒント」を見つけ、「自らの知識」と結びつけて類推することも必要になると心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

 [問3] 「下線部についての正誤判別選択肢設問」(4択)。

 「時事」単元。「朝日新聞の記事」中の下線部(う)「選挙」について、「国会議員の選挙に関する説明」で「正しいもの」を答える。

 各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。                           (ア)「インターネットを利用した選挙運動は一切禁止」⇒一部の制限事項はあるが、2013年以降認められている=不適切。                                            (イ)「参議院の議員定数を6議席減らす法律が2018年に成立」⇒同年の「公職選挙法改正」により、242名から248名に増加した=不適切。                                    (ウ)「2019年夏に参議院議員通常選挙が予定されている」⇒「参議院議員通常選挙」は3年ごとに実施されており、2019年夏はそれに該当する=適切⇒実際、2019年7月21日に「第25回参議院議員通常選挙」が行われたことは知っているはず。                                        (エ)「選挙で投票できる年齢が2001年に18歳に引き下げられた」⇒「選挙権が20歳以上から18歳以上になった」=「正しい」と即断してはいけない⇒それは2016年の「公職選挙法改正」によってだ=不適切。        したがって、「答え」は(ウ)になる。

「細部への目配せ」を忘れてはいけない。                               尚、「時事問題」に関しては、受験の前年だけではなく過去数年分を押さえておくこと。特に、「議員定数の変更」には敏感であれ。

<時間配分目安:30秒>

[問6] 「下線部についての事項記述設問」(全2問)。

 「朝日新聞の記事」中の下線部(か)「内閣」について、示されている(A)と(B)の「省庁の説明」、それぞれの「省庁の名前」を答える。

 「答え」を確認する。                                        (A)「資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁などがおかれている」=「経済産業省」。経済・産業の発展および鉱物資源、エネルギー資源に関する行政を担当。                            (B)「東日本大震災をきっかけとして、期間限定で設置」=「復興庁」。東日本大震災の復興に関する国の施策の企画、調整、実施などを担当⇒2012年2月10日に発足し、震災から10年となる2021年3月31日までに廃止されることになっていたが、10年延長し2031年までとする「復興の基本方針」が2019年12月20日に閣議決定された。

尚、現在の「日本の行政機関」は「1府11省2庁」=内閣府復興庁総務省法務省外務省財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省環境省防衛省国家公安委員会(警察庁)。仕事内容も含めて覚えておきたい。

<時間配分目安:1分>

 [問10(2)] 「下線部についての正誤判別選択肢設問」(6択/複数完全解答)。

 「読売新聞の記事」中の下線部(こ)の「日本国憲法第7条」に定められている「天皇の国事行為」として、「正しいもの」を「すべて」答える。

 各選択肢の事項を正誤判別する。                                  (ア)「条約の公布」⇒「法律」も含めて「公布」は「国事行為」=適切。                    (イ)「国会の召集」⇒これは基礎的事項=適切。                             (ウ)「内閣総理大臣の指名」⇒「指名」は「国会」、「任命」が「国事行為」=不適切。              (エ)「国務大臣の任命」⇒無論、「内閣総理大臣」が行う=不適切。                     (オ)「栄典の授与」⇒これも聞いたことがあるはず=適切⇒ちなみに、「栄典」とは「国家・社会に功労のあった人を表彰して与えるもの」のこと。                                   (カ)「最高裁判所長官の指名」⇒「指名」は「内閣」、「任命」が「国事行為」=不適切。              よって、「答え」は(ア)(イ)(オ)だ。

「天皇の国事行為」は本校に限らず定番中の定番、上記以外事項も含めて適切に理解し定着させておく必要がある。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

●一度影を潜めた「深知り問題」が、4年連続で本年度も出題された。どう攻略するか? 
全ての「事項」の「完全定着」は無理なので、「攻略ポイント」となるのが「細部へのこだわり」と「知らない事項への対応策」。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということ。必ずどこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていると心得ておきたい。「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。

「合格ライン」は7割程度(「合格者平均得点率」の7年間平均は72.3%、本年度は75.5%)。「深知り知識問題」への対応ミスによる「失点」は絶対に避けたい。

●昨年度に引き続き本年度も「考察論述問題」が出題された。来年度以降もレギュラー化が予想されるので、十分に備えておくことが求められる。

●「40分という制限時間」と「解答数」を考え合わせると、的確な「戦術」が求められる。
そこで最も重要なのは「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。

●「地理」では「地図」(「世界地理」も含めて)「地形図」「統計資料」「模式図」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」などがよく出題されるので、確実に覚え、常にチェックしておくこと。もちろん、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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