お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2021年度「お茶の水女子大附属高等学校の英語」
攻略のための学習方法
しっかりとした読解能力を高めて欲しい。沢山の英語長文を読んでほしいがジャンル的には、小説ではなく論説文や評論文である。単語数としては８００字前後。全国上位校の英語の入試問題中、長文総合問題を必ず一日１題は演習して欲しい。論理的で少し抽象的な話の展開の方が入学試験問題の英文を読みこなすには最適である。
本番入試では、かなりの英文を読まされる。時間も５０分と決して十分とは言えない。したがって、受験生に求められる能力は、読了のスピードである。早ければ良いという訳ではないが、じっくり考えながら読む（精読）とは趣が異なる。
では、受験生も一番知りたいことは、「どうすれば、英文を少しでも早く読めるようになるのか」ということであろう。
英文を早く読めるようになるためのポイントを一緒に考えてみよう。
第１に、単語・イディオム力を高めよう、ということである。英単語が分からなければ英文を読めないことは明白である。それでは、いかにしたら英単語力はつくのであろうか。一つの具体的方法を提案しよう。手元に市販されている英単語集がると思う。掲載単語数は２，５００単語位だろうか。まず始めて欲しいのがその単語集にある英単語を「完璧に理解している単語」と「完璧に理解していない単語」に仕分けること。そして、後者の単語数を日割り計算（３０日で攻略しようと思ったら３０で割る）して、一日に覚える単語数を算出し覚えるのである。１週間に１日（日曜日が望ましい）、それまで６日間で覚えた英単語の定着度を確認する。その中で、忘れてしまった英単語数を６で割って翌週の日々の覚えなければならない単語に上乗せして覚えていくのである。その作業を繰り返してゆく中で、単語は確実に定着してゆく。イディオムの学習方法も全く同じである。知識が曖昧なイディオムを抽出し、それを徹底的に覚えるのである。
第２に、文法事項である。文法は読み手が誰であっても同じように書いてある内容を理解するための「約束事＝ルール」である。したがって、これを知らなければ筆者が何を読み手に伝えようとしているのかが理解できなくなってくる。これは上述した「速読」に対する「精読」・「熟読」といえよう。具体的には、文型、不定詞、関係代名詞、比較、現在完了形、過去完了形、受動態。時制はしっかり押さえておきたい。
第３に、少しでも早く英文を読むことである。ではどうしたら早く英文を読むことができるのであろうか。結論から言えば『返り読み』はしない、ということである。関係代名詞を考えて欲しい。関係代名詞の前には先行詞がある。関係代名詞の支配範囲をカッコでくくりそれを後ろから先行詞へ修飾させる。これを後ろから前（先行詞）へ返ってくるので『返り読み』と称する。皆さんも分かるように、このような読み方を行うと時間が掛かることは理解できるだろう。限られた試験時間の中で、１分１秒でも惜しい状況を考えると『返り読み』を行うのは得策でないことは明確である。
では、どうすれば良いのか。次の英文を参考に考えてみる。I should do the work which makes the best use of my abilities.「私は、私の能力を最大限に利用してくれる仕事をするべきである」と訳すのは『返り読み』である。これを「私は仕事をするべきであり、その仕事とは私の能力を最大限に利用するのである」と読む。関係代名詞の前でいったん区切り、「そして～」と訳していけば本文読了時間は大幅に軽減されるはずである。
最後に、英作文についてもしっかりとした練習が必要である。自由作文を徹底的に練習して欲しい。実際の作文においては、難しい英単語・構文を使わなくともよい。試験は減点主義なので、単純なスペルミスがあればどんどん減点されていく。平易な英単語構わない。読み手にしっかり内容が伝わるような作文を心掛けよう。
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2021年度「お茶の水女子大附属高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１・２はリスニング。
大問３は説明文の長文要約文問題である。＜時間配分目安：12分＞
大問４は物語の英語総合問題である。合格答案作成のためには、文脈を正確に把握しながら人物の心情理解を深めることが重要である。＜時間配分目安：7分＞
大問５は、説明文の適文選択長文読解問題である。＜時間配分目安：6分＞
大問６は物語文の長文読解問題（条件作文）である。基本的なイディオム・文法に知識が必要である。＜時間配分目安：10分＞
大問７はテーマ英作文。「スマートフォン」とはどのようなもので、使用上の注意点について40語程度の英語で述べる問題である。＜時間配分目安：５分＞
【大問３】説明文の長文総合読解問題
- 時間配分：12分
人間や動物が生きてゆくために必要な大気は、現在、深刻な大気汚染に見舞われている。そしてこの大気汚染は、人間が引き起こした汚染なのである。さらに、社会の工業化が進むにつれ、より多くの車が運転される(CO2排出量増加)ようになって汚染は悪化する。大気汚染は、農作物や建物に甚大な損害をもたらすだけでなく、人間の健康にも影響を与えるのである。また、大気汚染が原因で酸性雨も発生し、湖や川、建物などに損害を与えたりするのである。
（１）われわれは身の回りのガス(気体)を見ることはできないのである。
（２）It is … for people, … without them. は、形式主語(仮主語)構文である。them＝gasesであるので、「気体がないと生きることができない」＝「生きることが不可能である」とする。
（３）空欄の直前は、call them the air, とありこの「,」は「すなわち」という意味を持つ。つまり「大気」のことである。
（４）enough impurities が私たち(生物)の( )と安全に影響を与えているのである。つまり「健康」である。thatは関係代名詞となっている。
（５）本文に、the impurities, or pollutants とある。「,」は「すなわち」という意味である。
（６）byは「手段・方法」を表わす前置詞であるので、by ～は「～することによって」としたい。
（７）dust, pollen, fog, and so on.によって引き起こされるのは「大気汚染＝空気汚染」である。
（８）本文には、this pollution は「人によって引き起こされたものである」とある。
（９）「大気汚染」を引き起こす原因はburning coal and oil to produce ～ である。要約文で述べられていない「～」のうち、produceの目的語として適切なのはelectric power であり、これを1語で表現する。
（10）文法的には過去分詞の形容詞的用法後置修飾という非常に重要な文法事項である。文法書で分詞(現在分詞・過去分詞)の形容詞的用法、特に「後置修飾」については確実にマスターしよう。
（11）from cars とあるので車から排出されるのは、exhaust ＝排気ガスである。
（12）地表からreduceするのは、「熱」である。
（13）which is caused by this pollutionであるので「酸性雨」となる。
【大問４】物語の長文読解問題
- 時間配分：7分
本文中の会話文や人物描写などを参考に、本文で表現されていない部分について読み取ることが重要である。
（１）語句解釈問題＜2分＞。エミリーが母にThat’s terribleと抗議している内容を考える。祖母を老人ホームに入れるということである。
（２）文脈把握問題＜3分＞。祖母が徐々にエミリーのことさえも認識できなくなっていく状況の中で、祖母はエミリーのことをどのように認識していたかを考える。
（３）文脈把握問題＜2分＞。本文にI’ll bring her ice cream … even if she doesn’t remember meとある。この文をまとめる。
【大問５】物語の長文読解問題であり、適文選択問題
- 時間配分：6分
（１）直前は「アメリカで今日最も人気のある男子の名前」についての記述があるので、本問箇所は「女子の名前」となる。
（２）直前に「祖父母の名前はすたれたように思えるが、曾祖父母の名前は現在ではかっこよく思えるのである」とある。
（３）本問箇所は「名前の中には今でも同じような人気があるものもある」となっているので、具体例を続けたい。
（４）本問箇所の直後には、ベッカムやアントニオ・サバド・ジュニアなどの例が出てくるので、「有名人の中には～」という選択肢を選ぶ。
（５）直前にa son with a very long nameとあり、その名前の由来を示している選択肢を選ぶ。
【大問６】条件作文問題
- 時間配分：10分
必要な単語を最低限加えて考えなければならないが、何語必要かは自分で考えなければならない。
（１）「学校に在学中、どの教科も得意ではなかった」という英文にしたい。「在学中」はbe in(at) schoolである。「得意ではなかった」はbe not good atであり、「どの教科」はany subjectsである。
（２）「ダニエルには、窓のひとつのそばに机があり」としたい。「～のそば」はbyを使い、「窓のひとつ」はone of windowsとなる。
（３）「椅子に座ってそれらを見るのが好きだった」としたい。「椅子に座る」はsit on his chairであり、「それらを見る」はlook at themとする。
（４）「彼はダニエルと同じ会社で働いていたが、ダニエルとはかなり違っていた」としたい。「同じ会社で働く」はworked in the same officeとし、「かなり違っていた」はwas very different fromとなる。
（５）「30分の仕事もしていない」としたい。「仕事もしていない」はhas not done any workとなる。「30分」を「30分の間」と考えてfor half an hourとするので、全体的には現在完了(継続)を用いる。
【大問７】テーマ自由英作問題
- 時間配分：5分
「スマートフォン」に関し、それがどのようなもので、かつそれを使用する上での注意点について、40語程度の英語で述べる問題である。「注意点」には、「歩きながら・運転しながら」の使用禁止や公共の場での使用禁止を述べればよいであろう。
攻略のポイント
合格のためには、短い試験時間の中での的確な読解力と速読力が求められる。１分間で英語１００～１１０単語の読むスピード感が必要である。リスニングも「耳を慣らす」ことが大事である。市販のリスニング教材を購入し、毎日１５分程度を利用して「耳」を訓練して欲しい。また、読解力向上のためには「沢山の英文を徹底的に読む」ことである。しかも、上記時間で英文を読む訓練を怠らずに行うことである。語学の上達に欠かせない要素は「１分１秒でも多く英語に触れる（目に触れる）」ということであり、入試本番まで、どれだけ多くの長文に取り組めたかが合否の分かれ目であろう。