｢終戦から80年目｣という｢時事ネタ｣を切り口としての｢戦争の惨劇｣についての｢リード文｣からの出題。｢地理｣｢歴史｣｢公民｣｢時事｣単元のあらゆる分野からの多種多様な小問が並んでいる。解答形式が、｢不適切｣⇔｢組み合わせ｣⇔｢複数完全解答｣と目まぐるしく転換するので混乱しないようにしたい。多くは基本的事項が問われているので、落ち着いて得点を重ねていきたいが、｢資料読み取り問題｣などの中には厄介なものもある。それらを含めて、以下、いくつかを｢設問｣を確認してみよう。

[問５]  ｢下線部についての資料読み取り不適切選択肢設問｣(４択)。｢その他｣。｢リード文｣中の下線部⑤｢第二次世界大戦｣について示されている｢図３｣(1889年～2023年までの横浜市の人口と人口密度の推移を表している)の説明で｢適切でないもの｣を答える。ポイントは示されている｢資料｣をとにかく正確に読み取り、各選択肢説明の｢キーワード｣｢要点｣で正誤判別していくということだ。確認すると、(エ)の｢横浜市の面積は拡大していない｣⇒｢人口｣に比べ｢人口密度｣の伸び率が｢ゆるやか｣になっている⇒｢面積は拡大したから｣｣に決まっている＝不適切。よって、(エ)が｢答え｣になる。尚、こうした｢資料読み取り｣ではいかに正確に｢資料｣を読み取るかが肝要だと心得よ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分強＞

[問７]  ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢リード文｣中の下線部⑦｢武力｣について、日本において武力の担い手となった｢武士や武家政権｣の｢説明｣を答える。各選択肢内容を正誤判別していく。(ア)｢10世紀、瀬戸内海の海賊を率いた平将門による反乱｣⇒｢瀬戸内海の海賊を率いた反乱｣は｢藤原純友の乱｣(934年)だ＝不適切⇒｢平将門の乱｣(935年)は｢常陸(ひたち)･下野(しもつけ)･上野(こうずけ)を攻せめおとし，自ら｢新皇(しんのう)と称した。(イ)｢11世紀、東北地方の豪族の内紛を源義家が平定｣⇒｢前九年の役｣(1051～1062年)と｢後三年の役｣(1083～1087年)だということは知らなくてはならない＝適切。(ウ)｢鎌倉時代、承久の乱の後｣｢鎌倉に六波羅探題｣⇒そもそも｢六波羅探題｣は｢京都｣に設置された＝不適切。(エ)｢鎌倉幕府の滅亡後｣｢足利尊氏が建武の新政｣｢室町幕府を開く｣⇒｢建武の新政｣(1334～36年)は無論、｢後醍醐天皇｣＝不適切。したがって、｢答え｣は(イ)だ。尚、｢正誤判別｣の設問では細部にこだわり、慎重に判別する必要がある。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[問９]  ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢リード文｣中の下線部⑨｢植民地｣について、日本はかつて｢朝鮮半島などを植民地として支配していた｣が、｢朝鮮半島の歴史｣の｢説明｣を答える。各選択肢内容を正誤判別していく。(ア)｢７世紀、白村江の戦い｣｢日本は唐･新羅連合軍に敗北｣⇒｢663年に朝鮮の白村江で発生した、日本･百済同盟と新羅･唐同盟との戦役｣で｢唐･新羅連合軍の大勝｣だということは周知のはず＝適切。(イ)｢13世紀、元軍は高句麗軍も従え｣｢九州上陸｣⇒｢元寇｣(蒙古襲来)｣(1274年の｢文永の役｣と1281年の｢弘安の役｣)のことだとすぐに分かる⇒元軍が率いていたのは｢高句麗軍｣ではなく｢高麗軍｣だと知っているに違いない＝不適切。(ウ)｢16世紀｣｢文永の役と慶長の役｣⇒｢文永の役｣は前問のとおり｢元寇｣(蒙古襲来)＝不適切⇒で｢慶長の役｣(1597年)は｢豊臣秀吉｣による｢朝鮮出兵｣の２回目⇒１回目は｢文禄の役｣(1592年)。(エ)｢甲午農民戦争を経て日朝修好条規｣⇒｢甲午農民戦争(東学党の乱)｣(1894年)がきっかけで｢日清戦争｣(1894～95年)につながった＝不適切⇒｢日朝修好条規｣⇒｢江華島事件｣(1875年の)をきっかけに、日本が軍事力を用いて朝鮮を開国させ、一方的に結ばせた｢不平等条約｣だ。よって、｢答え｣は(ア)になる。やはり、本問も正確な｢照合･判別｣が求められていた。
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[問10]  ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部⑩｢戦争を回避してきた歴史｣について、｢戦争を回避する動き｣は国家どうしばかりではなく、国際機関や民間団体などを中心にこれまでも行われてきたが、長期にわたっての｢核兵器廃絶｣を訴える活動が評価され、2024年、｢ノーベル平和賞｣を受賞した機関(団体)を答える。典型的な｢時事ネタ｣だ。即座に｢答え｣は(ア)の｢日本原水爆被害者団体協議会(被団協)｣だと答えられなくてはいけない。尚、｢時事ネタ｣については｢受験前年｣だけではなく、｢数年前｣のものからチェックしておくことが肝要。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分＞

[問19(２)]  ｢下線部についての事項記述設問｣(全２問)。｢地理｣単元。｢リード文｣中の下線部⑲｢地球環境｣について、現在の｢日本最高気温記録は41.1度｣だが、このような｢高温をもたらした理由｣は、｢北西からの(A)風が山を越えて吹き降ろして熱風になったことに加え、近隣地域の(B)都市の気温が周囲よりも高くなり……｣。波線部(A)･(B)の｢自然現象の名称｣をそれぞれ答える。当然ながら、｢答え｣は(A)＝｢フェーン(現象)｣、(B)＝｢ヒートアイランド(現象)｣だ。こうした｢基礎的知識｣を問う設問では｢誤答は許されない｣と心得よ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分強＞

※尚、[問18]は｢北陸新幹線｣の｢路線図｣および｢地形断面図｣からの出題。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

｢考察問題｣。｢資料読み取り理由説明記述｣と｢長文説明論述｣各１問という大問だ。｢少子高齢化と保育所｣に関する３つの｢資料｣からの出題になっている([資料１]｢Ａ君の保育体験と自由研究｣、[資料２]｢国の保育士配置基準の変化｣、[資料３]｢保育士と全職種平均の有効求人倍率の推移｣)。考えてみよう。

[問１]  ｢史料に関連しての理由説明記述設問｣(｢20字以内｣指定)。｢少子化の進行にもかかわらず、保育所が増えている理由｣を説明する。｢各家族の増加｣や｢女性の社会進出｣⇒｢両親が共働き｣｢祖父母に育児を任せられない｣……、等々が思いつくはずだ。簡潔にまとめたい。たとえば、｢働く女性や共働き世帯が増えているから｡｣(19字)といった｢答え｣になる。
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[問２]  ｢資料読み取りの内容説明記述設問｣(｢75字以内｣指定)。｢2024年に保育士の配置基準が変更された｣が、｢その意義と課題｣について説明する。[資料２]を見ると｢保育士１人が受け持つことのできる子どもの人数の基準が、３～５歳については５人ずつ減らされている｣が、これは[資料１]で｢園児から目が離せない｣保育士の負担を軽減させる｢意義｣がある一方、[資料１]に｢Ａ君は年齢が低い園児ほど手間がかかるため、保育士が多く配置されていると感じた｣としているが、｢最も手間のかかる０～２歳｣の配置基準に変更はない。また、[資料３]の｢全職種平均｣を見ると、｢保育士の有効求人倍率は高く、その数値も増えて｣おり、｢人手不足が深刻な問題になっている｣ことが分かる。こうした｢意義｣や｢課題｣について、的確にまとめていきたい。たとえば、｢配置基準の変更は保育士の一部負担軽減につながる｢意義｣があるが、根本的な解決にはならず、保育士不足は深刻であり、負担軽減と待遇改善が急務だという課題｡｣(75字)といった｢答え｣だ。尚、｢資料読み取りの内容説明記述｣では、指定されている全ての｢資料｣を読み取り、それぞれの｢資料内容｣を必ず｢説明｣に反映させなくてはならない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：13分ほど＞