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浅野中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「浅野中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておく必要がある。「基礎的事項」は当然だが、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので注意したい。テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしておくこと。

ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。浅野では「地理」単元に含まれる全ての分野から多数出題されるのだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での進度とずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用して、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独に(単なる「一問一答方式」)定着させておいてもあまり意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。このようにして改めて定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。また、浅野特有の「考えさせる問題」でも「知識」をつなぎ合わせることができるようになる。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、浅野に限らず入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

必ず出題される「資料読み取り問題」や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「資料」や「内容」をいかに正確に読み取るかということだ。資料や設問文に示されていることだけに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問等を用いて、資料の細かな「数字」や「項目」と「設問文の内容」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、「解説」等に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に資料や設問文に示された「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

 意識継続式学習

 常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても意味がない。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。本番では40分という制限時間の中で、重要な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

さらに、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「浅野中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」。「7点の『絵画』『絵図』『工芸品』にまつわる、さまざまな歴史的事項についてのリード文」からの出題。
小問は全8問(解答数10)。「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(3問。全て「漢字指定」)、「抜き出し」(1問。「カタカナ指定」)。

大問は「地理」。 「『蕎麦(そば)』と『うどん』を切り口にした日本全国の地理的事項についてのリード文」からの出題。
小問は全8問(解答数10)。「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」あり)、「事項記述」(3問。「漢字指定」あり)。

大問 は「公民」(「時事」「その他」各1問あり)。「駅という身近な場所を起点とした現代社会の課題などについてのリード文」からの出題。
小問は全8問(解答数8)。
「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(2問。「空所補充」「漢字指定」あり)、「抜き出し」(1問。「漢字指定」)。

大問 は「歴史」。「戦国大名の『上杉謙信』が特定の時期に出兵した理由」を、「統計資料」と「絵図」を読み解いた上で「考察」し論じる「長文説明論述」1問(「90字以内」指定)。時間配分としては、「長文説明記述」が5~6分ほど、他は1問で1分強のペースとなる。

【大問1】「歴史」(「事項記述」「複数完全解答」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

「歴史」単元。「ゴッホ」が描いた「絵画」2点、「遣唐使」や「戦乱」のようすが描かれた「絵図」3点、「伊万里焼の皿」と「蒔絵を用いた漆器」という「工芸品」2点にまつわる、さまざまな歴史的背景についての「リード文」からの出題。

全体として、さほど難易度は高くないのだが、多様な設問形態が並んでいるので、混乱しないように心がけたい。以下、いくつかを確認してみよう。

[問2] 「下線部についての抜き出し設問」(「カタカナ」指定)。
下線部①「フィンセント・ファン・ゴッホ」の「祖国」を「カタカナ」で抜き出して答える。もちろん、「ゴッホ」が「オランダ出身」だということを「知識」として押さえていれば何ら問題はない。が、知らなくてもすぐに諦めてはいけない。

「手がかり」を「リード文」に求める。傍線部直後に「ゴッホは祖国にとどまらず、隣国ベルギーで学び、フランスで活動した」とある。つまり、「祖国」は「ベルギーの隣国」になる。で、「抜き出し」なので、「リード文」に登場するそれら以外の「国名」を確認すると、「アメリカ」「オランダ」「インド」「オーストリア」だ。

これらの中であれば、さすがに特定できるはず。「答え」は「オランダ」だ。ヨーロッパ北西部の国で、北海に面し、南でベルギー、東でドイツと接している。誰でも「知識」には限りがある。

「知らないこと」でもとにかく「手がかり」を探そうとすることが肝要だ。尚、「リード文」は直接的に設問で問われている箇所以外に「ヒント」が隠されていることが多い。必ずしっかりと読み込むこと。

〈時間配分目安:1分半〉。

[問3] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択/複数完全解答)。
下線部②の「聖徳太子」についての説明で、「適切でないもの」を「すべて」答える。各選択肢を確認し、正誤判別していく。

(ア)「蘇我氏の血を引いていた」⇒えっ、そんなの知らない。確かにそうかも。だが、「聖徳太子」が「蘇我馬子」と協力して政治改革を行ったことは知っているはず。そこから判別したい=適切(「馬子」の姉妹の孫が「太子」。ちなみに「太子」の后は「馬子」の娘でもある)、

(イ)「持統天皇の摂政」⇒誰でも知っているはずで、「推古天皇」の「摂政」だ=不適切、

(ウ)「遣隋使として阿倍仲麻呂を派遣」⇒「遣隋使」に即反応してOKとしないこと。「太子」が派遣したのは無論「小野妹子」で、「阿倍仲麻呂」は奈良時代の「遣唐使」=不適切、

(エ)「冠位十二階や十七条の憲法を定めた」⇒これは問題なく即OK=適切。

したがって、「答え」は(イ)(ウ)となる。「複数完全解答」では絶対に早とちりをしないこと。全てが無駄になってしまう。

〈時間配分目安:1分半〉

[問5] 「下線部についての選択肢設問」(4択/複数完全解答)。
下線部④「平治物語絵巻」(=[図4])について、[図4]の「絵巻物」と「平治の乱」の説明で、「適切なもの」を「すべて」答える。今度は「適切選択肢」、「不適切」と混同しないこと。各選択肢の正誤判別をする。

(ア)「絵巻物には武士に襲われる貴族が描かれている」⇒分かるはずないじゃん、ではいけない。「絵図」を子細に観察せよ。「左下」に「倒れ込む男性貴族」が描かれている=適切、

(イ)「絵巻物には貴族に仕えた女性は描かれていない」⇒上記と同じ「左下」に、「男性貴族」とともに倒れる「女性」が見て取れる=不適切、

(ウ)「平治の乱の後、保元の乱が起きた」⇒無論、「保元の乱」は「平治の乱」の前だ=不適切、

(エ)「平治の乱の後、源頼朝が伊豆に流された」⇒敗れた源氏の大将「源義朝」の子で幼かった「頼朝」は、伊豆の蛭ヶ小島(ひるがこじま)に流された=適切。

よって、「答え」は(ア)(エ)。本校では、「資史料」は細部まで正確に読み取ることが求められると心得よ。

〈時間配分目安:1分半〉。

[問8] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。

下線部⑦の「大隈重信」が「立憲改進党」を結成したのは、示されている「表1」の中の(ア)~(オ)の「どこの入る出来事か」を答える。「表1」には、「出来事」が「起こった順」に並べられている。「時期特定」で「年代整序」の一種だ。

「年代整序」では、覚えているであろう「年代」で無理やり「整序」しようとすると、「数字」を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず「背景」や「流れ」で整理しつないでいくこと。

「表1」では、(ア)→「西南戦争が起こる」→(イ)→「伊藤博文が初代内閣総理大臣」→(ウ)→「大日本帝国憲法発布」→(エ)→「衆議院議員の最初の選挙」→(オ)となっている。「流れ」を確認したい。「西南戦争」→「自由民権運動」活発化→「国会開設の勅諭」→直後に「板垣退助」と「大隈重信」が「政党結成」→「内閣制度」創設→「大日本帝国憲法発布」→「第1回衆議院議員選挙」という「流れ」だ。

したがって、「答え」は(イ)となる。「歴史的出来事」は、その背景を踏まえて「流れ」で理解し、定着させておくことがポイントだ。

<時間配分目安:1分弱>

【大問2】「地理」(「事項記述」「組み合わせ選択肢」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

「地理」単元。「『蕎麦』と『うどん』の好みの地域性を説明しながら、日本各地の気候や地形、産業などの地理的事項に触れているリード文」からの出題。

「統計資料」「地図」「地形図」「写真」などについて、多彩な分野の「地理的知識」が問われている。「基礎的事項」が多いのだが、中には難問が紛れ込んでいるので、心してかかること。

特に[問2]は超難問。「戸隠蕎麦」「おんこ蕎麦」「出雲蕎麦」で有名な「都道府県のシンボル(県の花、県の鳥、県の木)」の「写真」についての「組み合わせ選択肢設問」だ。

そもそも「蕎麦の名前」さえよく分からなくて当然で、まして、「県の花」などといったらお手上げのはず。したがって、戦術的にこれは「捨て問」で構わない。以下、それ以外のいくつかを検証する。

[問1-あ] 「空所補充の事項記述設問」。

「リード文」中の空所      あ    に「あてはまる適切な語句」を答える。空所部は「熊本県南部には    あ   台地が広がり」となっている。はっ? 熊本の「台地」? 直後に「火山性の痩(や)せた土がある」とあるが、それでも、熊本の「火山」⇒阿蘇山⇒カルデラ、ということしか結びつかないようでは困る。

九州南部で「火山性の痩(や)せた土」の「台地」⇒「答え」=「シラス台地」と判断できなくてはいけない。「シラス台地」=「鹿児島県」と単純に覚えていてはダメだということだ。「シラス台地」は、「熊本県」と「宮崎県」の南部から「鹿児島県」にかけて広がっている。さまざまな「地形」は「都道府県」で区切られるものではないのは当然のことなので、しっかりと地図上で確認しておくこと。

〈時間配分目安:30秒〉

[問3] 「下線部に関連する統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(6択)。

下線部②「北日本」に関連して、[図10]中の「3つの気象観測施設の場所」と、示されている(A)~(C)の「雨温図」の「組み合わせ」として「適切なもの」を答える。

[図10]に記されているのは「東北地方」の「気象観測施設の場所」で、「日本海側」の「大潟」、「中央内陸部」の「八幡平」、「太平洋側」の「宮古」だ。それぞれの具体的な「地名」の「雨温図」などは誰も知らない。「雨温図」の特徴に着目して、ざっくりとした「気候区分」で判別していきたい。

「気温が一番低い」(C)は「中央内陸部」、「夏に降水量が多い」(B)は「太平洋側」、「冬に降水量が多い」(A)が「日本海側」になる。したがって、(A)=「大潟」、(B)=「宮古」、(C)=「八幡平」という「組み合わせ」になっている選択肢(ア)が「答え」だ。

「雨温図」は本校に限らず、「地理」での定番。少なくとも、6つの「気候区分」におけるそれぞれの「特徴」は必ず理解しておく必要がある。

〈時間配分目安:1分〉

[問7] 「下線部についての統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(4択)。

下線部⑥の「森林」について示されている、[図13](土地利用の内訳)と[図14](土地利用の増減推移)の中の項目である(A)~(D)の「組み合わせ」として「適切なもの」を答える。[図13]の「土地利用」で、(A)は「ほぼ2/3」を占めているので当然、「森林」だ。この段階で選択肢は(ア)(イ)の2択。

2つの選択肢は、[図13]での2番目に大きい割合の(B)がともに「農地」で判別不能だ。次に、[図14]の「土地利用の増減推移」で、(C)はほとんど変化がないが、(D)は40年間でほぼ20%も減少している。ということは、(D)=「農地」となっている(ア)が「答え」だと判別できるはずだ。

〈時間配分目安:1分半〉。

※本大問の[問5]は「群馬県渋川市周辺」の「地形図」(25000分の1)の「読み取り」の「不適切設問」になっている。「地形図読み取り」は本校に限らず、どこでも頻出だ。「地図記号」や「等高線」などの正確な「読み取り」(そのための「知識定着」は必須)、「縮尺計算」等、十分に練習しておくこと。

【大問3】「公民」(「時事」「その他」各1問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

「通学に使う駅という身近な場所を観察することで浮かび上がる今の社会の様子や、その課題などについてのリード文」からの出題。「公民」と「時事」のベーシックな問題が基本なのだが、「問い方」にひねりが加わっており、一筋縄ではいかないものがある。なかなか厄介な大問だ。以下、いくつかの「設問」を検討する。

[問2] 「下線部に関しての統計資料読み取り選択肢設問」(4択)。

下線部②「お母さんはパートで働いている」に関して、示されている[図15](「年齢毎の働く女性の割合」を「1970年」と「2016年」とで比較したグラフ)から「読み取れるもの」ものとして「適切なもの」を答える。

誰もが知っているお馴染みの「M字カーブ」だが、単にその意味するところを問われているのではないので、冷静に「グラフ」を読み取らなくてはいけない。
「グラフ」を読み取り、各選択肢の正誤判別をする。

(ア)「M字カーブの底が浅くなっている背景には、……仕事をやめる場合が増えていることがある」⇒「グラフ」の縦軸は「働く女性の割合」であって、「底が浅い」のは「割合が高い」ということになる=不適切、

(イ)「M字カーブの底が右に移ってきている背景には、……結婚年齢が遅くなってきていることがある」⇒「グラフ」の横軸は「年齢層」であって、「底が右に移ってきている」ということは「結婚を機に仕事をやめる年齢」が「高くなっている」ということ=適切、

(ウ)「『15~19歳』で労働力率が低くなっている背景には、……進学率が低下してきていることがある」⇒「労働力が低い」ということは「働かずに進学している」⇒「進学率」は上昇している=不適切、

(エ)「『45~49歳』で労働力が再び上がっている背景には、男性の育児休暇取得がある」⇒この「グラフ」は「女性」についてであり、「男性」のことは何も読み取れない=不適切。

したがって、「答え」は(イ)「統計資料の読み取り」では、明記されていない事柄を勝手に類推することは御法度だ。たとえその「類推」が「事実」として正しくとも、当該資料自体から読み取れなければ「不適切」となる場合があるので、要注意。

〈時間配分目安:1分半〉。

[問3] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。

下線部③の「法律」の上位にくるものとして「憲法」があるが、「その異なる点や同じ点」についての説明で、「適切でないもの」を答える。各選択肢を正誤判別する。

(ア)「憲法は法律とちがい、改正には国民投票が必要」⇒あまりに当然=適切、

(イ)「憲法は法律とちがい、国家権力に制約を課すことが主たる目的」⇒いわゆる「立憲主義」だ=適切、

(ウ)「憲法は法律と同様に、制定者は国民」⇒「国民主権」だから適切? とはいかない。「日本国憲法第41条」に「国会は唯一の立法機関」とあるのは知ってのとおり。つまり、「法律」の「制定者」は「国会」となる=不適切、

(エ)「憲法は法律と同様に、改正の交付は天皇の国事行為」⇒「日本国憲法第96条」(「改正」についての規定)に「(憲法改正について国民投票で承認を経たとき)天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」と記されている=適切。

よって、「答え」は(ウ)だ。「日本国憲法」の重要条文は、必ず覚えておかなくてはいけない。

〈時間配分目安:1分〉

[問4] 「下線部についての統計資料読み取り選択肢設問」(5択)。「時事」単元。

下線部④「広告」について、示されている[図16]と[図17]は「テレビ・インターネット・新聞・雑誌・ラジオ」(「図」の中では(ア)~(オ)のいずれか)の「広告費」について示したもので、前者は「2016年のそれぞれの比率」、後者は「2015年と2016年の前年に対する伸び率」だが、「テレビ」を示すものを答える。

この「統計資料」は誰にとっても初見に違いない。ただ、「広告」といいう馴染みのあるものなので、諸君の「常識」で判断できるはずだ。[図16]で「広告費」の半分近くを占めている(エ)が、「テレビ」だと判別したい。

よって、「答え」は(エ)だ。ちなみに、「テレビ」に次いで比率が高く、しかも、[図17]で「伸び率」が最も大きくなっている(オ)は「インターネット」、[図16]の3番目の(ア)は「新聞」、残りでは、「伸び率」が大きくマイナスになっている(イ)が「雑誌」で、あまり変化のない(ウ)は「ラジオ」となる。「時事問題」ではテキストに載っていない出題もあるので、常にさまざまな最新情報にアンテナを張り、それに基づいて判断することも求められる。

〈時間配分目安:1分弱〉。

【大問4】「歴史」(長文論述)

  • 難度:
  • 時間配分:6分

「歴史単元」。「歴史学」とは単に過去に起きた出来事を暗記するだけではなく、「史料」に基づき、出来事の「背景・理由・過程・結果・影響」などを考えていく学問だと指摘した上で、「戦国時代の合戦」を、その様子を描いた「絵図」と「背景」のひとつである「統計資料」を読み解き、考察して「論述」するという設問。

明らかに、新たな大学入試制度で最重視される「思考力・判断力・表現力」を意識し、その能力を問うものとなっている。

[設問] 「史料読み取りの条件付き論述設問」(「90字以内」指定)。

越後国の戦国大名「上杉謙信」は、支配地域拡大のために小田原の「北条氏」と戦うべく、特定の時期に関東への出兵を繰り返したが、示されている[図18]と[図19]に基づいて考察すると、出兵した別の理由が浮かび上がる。その「別の理由」を「90字以内」で論述する。

「条件」は「戦国時代の死亡率が現代と比べてある時期に高くなる要因を指摘した上で、説明する」こと。[図18]は季節ごとの「稲作作業」と「死亡率の変化」、そして、「上杉謙信」の「出兵した季節」を示しており、[図19]は「戦場で食料などを脅し取る武士の様子を描いた絵図」だ。

さて、どこから「考察」するか? 「条件」を突破口にしたい(「条件」は最大の「手がかり」だ)。

[図18]から、「死亡率」は「稲作作業」が「収穫・脱穀」となる「秋」に減少し、その後「冬」にかけて上昇、「夏前」にピークに達していることが分かる(「現代」は「秋」から「冬」に上昇している)。なぜなのか? 「戦国時代」は「現代」とは異なり、「米」を備蓄する余裕がなく、食料の増減がそのまま「死亡率」に直結したと考えられるはずだ。そして、「出兵した季節」は「冬の後半から春まで」だ。

なぜ? 当時の兵士のほとんどが「農民」だったことは知っているはず。その時期、「稲作作業」がほとんどなく「出兵」できたということだ。が、一方でその時期は「食料」が減少していく時期でもある。しかも、越後から小田原までの出兵、当然、「食料」が底をつくことが考えられる。

なので、[図19]のように「戦いの現場」で「食料などを脅し取る」必要があると「考察」していきたい。こうした「要素」を要領よくまとめていきたい。

たとえば、「当時は米を備蓄できず、収穫直後を過ぎた冬以降は食糧不足で死亡率が上昇するが、武士は農民だったので、稲作作業のない冬から春に、戦地で食料を奪い取ってまでも出兵せざるを得なかったから。」といった「答え」になる。

2020年度から実施される新たな大学入試制度、来年度以降も「思考力・判断力・表現力」が問われる「長文論述」は必出のはずだ。十分に準備しなくてはいけない。

攻略のポイント

最近は出題傾向が一貫している。「地理」「歴史」「公民」全ての単元の全分野、そして、「時事問題」も確実に習得しておく必要がある。「漢字」でしっかりと覚えること。「設問内容」は多彩なので、過去問に限らず様々な問題を解いておくことが重要。さらに、「時事問題」では「背景理解」も含めて確実にチェックしておくことが不可欠だ。

●近年のお約束となっている「長文説明記述(論述)」だが、本年度は新機軸となっていたので、要注意だ。形式こそ昨年までと同様だが、前述のように明らかに2020年度からの新大学入試制度を見据えた「設問内容」になっていた。「説明記述」というよりは一種の「小論文」、「論述」といっていいものだ。したがって、来年度以降に向けての対策としては、これまでの「資料読み取り訓練」と「記述練習」に加え、「思考力」「判断力」「表現力」を磨く練習が不可欠となる。

●配点は「長文説明記述(論述)」以外は各2~3点と推測される。40分という制限時間があるので、先ずは解きやすい設問から攻め、「考える必要のある設問」と「長文説明記述(論述)」に時間を傾斜配分するといった「戦術」が求められる。また、分かりづらい「設問内容」のものもあるので、的確に理解することを心がけなくてはいけない。

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