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浅野中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「浅野中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「知識」を確実に定着させておく必要がある。「基礎的事項」は当然だが、相当細かな「知識」や「深い理解」も求められるので注意したい。テキストの「注」や「囲み説明」等もチェックしておくこと。

ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。浅野では「地理」単元に含まれる全ての分野から多数出題されるのだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での進度とずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用して、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独に(単なる「一問一答方式」)定着させておいてもあまり意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。このようにして改めて定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる。また、浅野特有の「考えさせる問題」でも「知識」をつなぎ合わせることができるようになる。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、浅野に限らず入試問題ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

必ず出題される「資料読み取り問題」や「設問文の内容を組み合わせて考える問題」。これらを考えるに当たって最も重要なことは、「資料」や「内容」をいかに正確に読み取るかということだ。資料や設問文に示されていることだけに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問等を用いて、資料の細かな「数字」や「項目」と「設問文の内容」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、「解説」等に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に資料や設問文に示された「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

 意識継続式学習

 常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても意味がない。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。本番では40分という制限時間の中で、重要な「設問条件」をクリアして答えなくてはいけないのだ。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

さらに、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2019年度「浅野中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」(「その他」1問あり)。「日本の伝統、特にウナギの食文化にまつわる、さまざまな歴史的事項についてのリード文」からの出題。
小問は全9問(解答数9)。「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)。

大問は「地理」。 「『産業分類』を切り口にした産業の地域性や現在性についてのリード文」からの出題。
小問は全11問(解答数13)。「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」、「地形図」あり)、「事項記述」(3問。「漢字指定」あり)。

大問は「公民」(一部「時事的要素」あり)。「私たちの生活と政治や憲法との関わりについてのリード文」からの出題。
小問は全9問(解答数11)。「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(2問。「空所補充」、「漢字指定」)。

大問は「総合」。「自然災害」に関する説明と、「地形図」および「統計資料」を読み解いた上で考察し論じる「長文説明論述」1問(「90字以内」指定)。

時間配分としては、「長文説明記述」が5~6分ほど、他は1問で1分程度のペースとなる。

【大問1】「歴史」(「その他」1問あり。「選択肢設問」のみ)

  • 難度:
  • 時間配分:9分

「日本の伝統文化である『盆踊り』と『土用の丑(うし)の日のウナギ』に関連した、縄文・弥生時代から現在までのさまざまな歴史的事項についてのリード文」からの出題。

「選択肢設問」(「不適切」が多い)のみの大問で、「歴史」の基本的事項が問われている(1問のみ「その他」あり)。手際よく解き進めていきたい。以下、いくつかを確認してみよう。

[問1] 「空所補充の選択肢設問」(4択)。「その他」。
「リード文」中の空所   あ   には「なぜ盆踊りが行われるようになったのか、その理由」が入るが、「あてはまるもの」を答える。

「知識」として定着していて、即座に答えられる諸君はあまりいないのではないか。知らなくても当然のことだ。では、どうする? 「知らなくても解ける」ということになるはず。空所前後の「文脈」に「手がかり」を求めたい。
直後に「そもそも盆とは、死者を供養する仏教の慣わしと、祖先の霊を祭る在来の信仰が結びついた日本独自のもの」と説明されているではないか。
選択肢でそうした内容に触れているのは、(ウ)の「死後の世界から戻ってきた先祖や死者を慰め、送り出すため」だけだ。したがって、「答え」は(ウ)となる。

「社会」の「リード文」は「国語」でいえば「本文」に相当するものなので、その「文脈」を読み取ることが必要となる場合がある。

<時間配分目安:1分>

[問3] 「下線部についての選択肢設問」(4択/複数完全解答)。
下線部①「縄文・弥生時代の遺跡」について、示されている[表1]は「縄文時代と弥生時代の違いについてまとめたもの」だが、後に示されている[文1]は「どの違いを根拠としているか」を「すべて」答える。

[表1]の選択肢は、(ア)「土器」・(イ)「墓の構造」・(ウ)「副葬品」・(エ)「道具」についての「違いの説明」になっている。
そして、[文1]は「縄文時代は身分の差がない社会であったと言われているが、弥生時代には身分の差が生じたと言われている」というものだ。「設問」自体がややこしいので、注意して適切に読み解くことが先決だ。
要は、「身分の差が生じたこと」が何の「違い」から分かるかということだ。

[表1]で「身分の差が生じたこと」が読み取れるのは、「縄文」=「共同墓地」で「弥生」=「大型の墓が出現」となっている「墓の構造」と、「縄文」=「特徴的な違いはあまりない」で「弥生」=「多量の青銅器や鉄器が一部で出現」となっている「副葬品」だ。
よって、「答え」は(イ)(ウ)ということになる。

当然ながら、「複数完全解答」では細部にまでこだわり、見落としがないようにすることが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

[問5] 「下線部についての模式図の選択肢設問」(4択)。
下線部③「室町幕府」について、示されている[文2]は「室町幕府を説明したもの」だが、これを「図」にしたものを答える。

[文2]には「室町幕府の地方機関には鎌倉府があり、幕府とほぼ同じ組織で、権限も大きかった」などと記されている。
先ずは「図」を確認する。一見どれも似通っているが、選択肢(ア)(エ)は「将軍」直属の機関として「管領」、(イ)(ウ)では「老中」が位置している。
「老中」は「江戸時代」なので、すぐに「消去」だと判断できる。
残りは(ア)(エ)だが、[文2]に「鎌倉府」は「幕府とほぼ同じ組織」とあるので、「鎌倉府」直属で「関東管領」があり、さらにその下に「侍所」「政所」「問注所」が並立している(エ)が「答え」だと判別できなくてはいけない。

本問は体裁としては非常に細部にわたる「深知り知識」が求められているようだが、実は問題文を適切に読み取ることで判別が可能になるというものだ。
本校では、こうした「目くらまし」があるので注意すること。

<時間配分目安:1分以内>

[問9] 「リード文についての不適切選択肢設問」(4択)。
「日本におけるウナギ食文化に関する説明」として「適切でないもの」を、「本文を参考にして」答える。

「リード文」全体を読み解き、判別する「不適切設問」だ。この段階で、なかなか厄介な雰囲気が漂う。各選択肢に目を移す。予感が的中した。それぞれの説明が、「古代」「中世」「近世」「現在」と始まっている。
一方、「リード文」は全て「○○時代」と「時代名」で説明されている。「現在」はともかく、他はどのように結びつけて判別すればいいのか。中学入試用のテキストでは通常「時代名」で区分されているので、「古代」や「中世」などといわれてもピンとこないに違いない。
この機会にこうした「歴史区分」を確認しておきたい。

「原始」=「旧石器時代・縄文時代・弥生時代」、
「古代」=「古墳時代・飛鳥時代・奈良時代・平安時代」、
「中世」=「鎌倉時代・室町時代」、
「近世」=「安土桃山時代・江戸時代(幕末以前)」、
「近代」=「江戸時代(幕末以降)・明治時代・大正時代-昭和時代(戦前)」、
「現代」=「昭和時代(戦後)・平成時代・令和時代」だ。

この区分にあてはめて各選択肢を読み解くと、(イ)に「中世において、……都市ではウナギ信仰の広まりから食用とならなかった」とあるが、「リード文」では「室町時代にウナギは鮨(すし)として食され、幕府の役人や公家たちが参加する宴会などでも振る舞われていた」となっている。
つまり、「室町時代」=「中世」には「都市」でも食されていたことになるので不適切、よって、(イ)が「答え」だ。

流石(さすが)本校だ。決して一筋縄ではいかない。

<時間配分目安:2分>

【大問2】「地理」(「事項記述」「組み合わせ選択肢」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:14分
  • ★必答問題

「職業選択を導入として、『第一次産業』『第二次産業』『第三次産業』という『産業分類』の説明と、それぞれの現状や問題点に関するリード文」からの出題。

一見、さまざまな「統計資料」と「地形図」からの典型的な「地理」単元の問題が並んでいるようだが、その実なかなかの曲者ぞろいだ。
[問1]の「空所補充事項記述」が平易なので(「答え」は「加工[貿易]」「石油危機」「[産業の]空洞化」)、そのままの調子で甘く考えていると[問2]以降、後悔することは必至だ。
厄介な「選択肢設問」が襲ってくる。以下、特に注意したい小問をチェックしていく。

[問2] 「下線部に関連しての統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(6択)。
下線部①「すべての産業を大きく三つに分ける」に関連して示されている[図2]は、「産業別人口構成について、日本と(A)~(C)の国(アメリカ・中国・マレーシアのいずれか)を比べたもの」だが、(A)~(C)の「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

日本との比較ができるので考えやすいはずだ。日本よりも「第三次産業」の人口割合が大きい(A)=「アメリカ」だとすぐに分かる。
この段階で残りの選択肢は(ア)(イ)の2択。
(B)の「第一次産業」は(C)と比べ、3倍近い。人口が世界一の中国では、多くの人々が内陸の農村部に暮らしていることは知っているはず、それに対してマレーシアは近年工業化を中心に経済発展が進んでいる。
したがって、「答え」は、(B)=「中国」・(C)=「マレーシア」となっている(ア)だと判別できる。
ちなみに、産業の比重が経済発展にともない、「第一次産業」から「第二次産業」、さらには「第三次産業」へと移行していくこと=「産業構造の高度化」は覚えておきたい。
尚、「組み合わせ選択肢」では、分かりやすい事項で先ずは一気に「選択肢」を「消去」してしまうことがポイントだ。

<時間配分目安:1分弱>

[問5] 「下線部に関連しての統計資料読み取りの組み合わせ選択肢設問」(6択)。
下線部④「貿易の自由化」に関連して示されている[図3]は、「2013年の食料自給率(%)について、日本と(A)~(C)の国(アメリカ・スイス・スペインのいずれか)を比べたもの」だが、(A)~(C)の「組み合わせ」として「もっとも適切なもの」を答える。

(A)(C)の「図」をざっと見て、すぐに気づくのは(B)の国で「穀類」「肉類」の「自給率」が100%を超えていることだ。つまり、それらを「輸出」しているわけだ。であれば、「アメリカ」だと判断可能なはず。
ここで残りの選択肢は(ウ)(エ)になる。
(A)(C)との違いで特徴的なのは、(C)の「魚介類」がほぼ0%ということだ。ということは「内陸国」=「スイス」と判別できる。
よって、その「組み合わせ」となっている(エ)が「答え」になる。

ちなみに、(A)=「スペイン」の「野菜」は200%近い「自給率」だ。トマトなどの輸出が盛んな農業国だということを知っておきたい。

尚、「自給率」に関しては、「日本」の「カロリーベースの食料自給率」は「37%」で、「アメリカ」=「130%」・「フランス」=「127%」・「ドイツ」=「95%」・「イギリス」=「63%」と、先進国の中では最低水準だということは必ず押さえておくこと。

<時間配分目安:1分>

[問7] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。
下線部⑥「エネルギー資源の中心となっているのは石油」について、「石油の安定供給のために日本が実施してきた政策についての説明」として「適切でないもの」を答える。

「不適切」だと意識して、各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。
(ア)「石油への依存度はエネルギー総供給量の5割以下」⇒石油への依存度が減ってきていることは知っていても、5割以下かどうかは……=保留、
(イ)「(石油の輸入先で)政情不安定な中東地域への依存度は5割以下」⇒「石油輸入の中東への依存度は約8割」、これは知っていなくてはいけない定着必須事項だ=不適切、
(ウ)「海外での自主開発油田の獲得に力を入れた」⇒聞いたことのあるような気がするが……=たぶん、適切? 
(エ)「石油需給量の変化に備えて民間と国家の両方式で備蓄」⇒「石油備蓄基地」のことは知っていて当然=適切。
よって、「答え」は(イ)だ。

覚えるべきことを確実に覚える。その至極当然のことさえしていれば何の問題もない。だが、それを怠った場合どうなるかがよく分かる小問だ。
万一、定着していなかった諸君がいたのなら、猛反省を促したい。

<時間配分目安:1分>

※本大問の[問9]は「統計資料読み取り選択肢設問」で、「小売業販売額」と「卸売業販売額」について「大坂市」「札幌市」「名古屋市」「横浜市」の判別が求められている。
無論、誰も「知識」としては定着していないはずのもので、考えるにしても相当に難易度が高く時間も要するので、即座に「捨て問」の判断をして他の小問で得点していくべきだ(「捨て問」は重要な戦術だ)。
また、[問11]は「地形図」(25000分の1)の「読み取り設問(地図記号の特定)」になっている。
「地形図読み取り」は本校に限らず、どこでも頻出だ。
「地図記号」や「等高線」などの正確な「読み取り」(そのための「知識定着」は必須)、「縮尺計算」等、十分に練習しておくことが必須だ。

【大問3】「公民」(「時事的要素」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分

「私たちの生活のあり方を決める法律や政治、一人ひとりの意思を反映させるためにはどうすべきなのかという民主主義の根本に関するリード文」からの出題。

「公民」(一部「時事的要素」あり)についての基礎的な理解度が問われているのだが、細部への目配りが必要となる小問が多く、一筋縄ではいかないいかにも本校らしい大問となっている。以下、いくつかの「設問」を検討する。

[問1] 「空所補充の事項記述設問」(全2問/ともに「漢字2字」指定)。
「リード文」中にある空所  あ   い  にあてはまる「もっとも適切な語句」を「漢字2字」で答える。

それぞれの空所部は「   が閣議決定する国の政治方針」、「政権や行政機関は    権の決定に従って職務を行う」となっている。
前者は、「閣議決定」とあるので    =「内閣」が「答え」だと即決できる。
後者はどうか? やや悩むかも知れない。そこは落ち着いて考えていきたい。
「政権や行政機関」は何に従って「職務を行う」のか?=無論、「法律」だと判断したい⇒では、「法律」はどこが「決定」するのか?=「国会」に決まっている⇒「国会」は「○○権」なのか?=「立法権」だと結びつけていけるはずだ。
したがって、    の「答え」=「立法」となる。

暗記しているだろう「○○は何か?」といった問われ方でなければ答えられないのでは本校合格はままならない。
内容を的確に理解し、どのような問われ方でも臨機応変に対応できるようにしておくことが肝要だ。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問4] 「下線部に関連しての引用文についての不適切選択肢設問」(4択)。
下線部③「議会政治が主流となった19世紀以降、どのような方法がもっとも民主主義的なのかが模索されてきました」に関連して、「公平な選挙」について引用されている、イギリスの法律家・ベンサムの著作「道徳及び立法の諸原理序説」の考え方に従って述べているとは「言えないもの」を答える。

「引用文の考え方に従って述べているか」が問われているので、一切の先入観を排して「引用文」を正確に読み取り、判別しなくてはいけない。「引用文」の要点を捉えながら各選択肢の説明と照合していく。

『社会とは、いわば個々の人々から形成される』(「引用文」については『』で示す。以下同じ)⇒選択肢(ア)の「1人1票の原則」に合致、『社会の利益とは……、個々の人々の利益の総計』⇒(エ)の「多数決を生かす形で決定」に合致、『個人の利益とは何かということを理解することなしに、社会の利益を語ることは無益』=「社会の利益」は重要⇒(ウ)の「社会全体の利益に配慮して決められるべき」に合致している。

「引用文」からはこれ以上を読み取ることはできない。よって、「1票の格差に配慮して決定」という(イ)には論及していないので「答え」になる。

これまでにはなかった出題形式だ。そうした場合でも、本校志望者は冷静に対処することが求められる。

<時間配分目安:2分>

[問7] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。
下線部⑥の「地方自治」について述べたものとして、「もっとも適切なもの」を答える。

各選択肢の「要点」で正誤判別していきたい。
(ア)「市町村長は、有権者の過半数の署名で解職される」⇒誰もが定着しているはずの「地方自治における直接請求権」のひとつ⇒「解職請求(リコール)」は「有権者の3分の1以上の署名で請求」→「住民投票で過半数の賛成で成立」という流れ=不適切、
(イ)「首長は議会の決定を拒否し差し戻す権限を持っている」⇒いわゆる「拒否権」だ=適切⇒ただし、議会が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決した場合、首長はこれを拒否できない、
(ウ)「地方行政が民主主義的に行われているかどうかを確かめるため、オンブズマン制度を導入している」⇒「オンブズマン制度」は確かに導入されているが、それは「住民の苦情処理」や「不正の監視、告発」を行う「行政監視官」のことであり、「民主主義的に行われているかどうかを確かめる」のは「監査委員」の役割=不適切⇒「オンブズマン」にだけ反応して「適切」だと判断しないこと、
(エ)「本来国の仕事である選挙事務や……、水道の整備などは地方公共団体が行っている」⇒「水道事業」はそもそも「地方自治体」の仕事だと知っているはず=不適切。

よって、「答え」は(イ)

時間に追われているのは当然だが、焦り過ぎるのは禁物。細部にまで配慮すること。

<時間配分目安:1分>

【大問4】「総合」(長文論述)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

「長文論述問題」1題の「総合問題」。

「古来より日本列島ではさまざまな自然災害が発生し大きな被害を受けてきたが、私たちはどのようまちづくりを行うのがよいか」を、「資料」をもとに考えるという前提で、
[図5]「過去に何度も津波被害を受けた宮城県における1884~2045年の人口推移」(2020年以降は推計値)、
[図6]「宮城県石巻市周辺における1910年代の五万分の1の地形図」、
[図7]「同地域の2000年代の地図」(着色された部分は2011年の東日本大震災で津波被害を受けた地域を示している)が示されている。

[設問] 「資料・地形図・地図読み取りの論述設問」(「90字以内」指定)。
「時代が進むにつれて建築技術が発達したにもかかわらず、明治三陸津波(1896年)や昭和三陸津波(1933年)より東日本大震災の津波による死者の方が多くなっている」が、これは「地震や津波の規模の違いという要因以外」にも理由が存在する。[図5]~[図7]を読み取り、「なぜ東日本大震災の被害が過去に比べ拡大したのかを答えたうえで、今後はどのようなまちづくりを行うのがよいと考えられるか」を「90字以内」で論述する。

先ずは、「被害が過去に比べ拡大した理由」と「今後のまちづくりのあり方」という2点について述べるということをしっかり押さえておきたい。
その上で、それぞれの「図」を読み解いていきたい。
[図5]からは「平成時代に入ってからの人口は、明治時代初期に比べ約3倍に増えていること」が分かる。
そして、[図6][図7]からは「かつて田や桑畑が広がっていた沿岸部や河口付近に、その後多くの建物が建てられ、この地域の津波被害が大きかったこと」が読み取れる。
こうしたことから、「被害が過去に比べ拡大した理由」は「人口が津波被害を受けやすい沿岸部の平地に集中していったから」だと判断できる。
ということは、「今後のまちづくり」は「海岸から離れた地域や高台に住居や公共施設を移し、さらに、住民が速やかに避難できる津波タワーなどの場所を設けていくのがよい」といったことが考えられるはずだ。

よって、たとえば、「人口が沿岸部の平地に集中したことが津波被害拡大の理由なので、今後は海岸から離れた地域や高台に住居などを移すとともに、住民が速やかに避難できる津波タワーなどを設けていくのがよい。」(89字)といった「答え」になる。

2020年度から実施される新たな大学入試制度を意識した設問、来年度以降も「思考力・判断力・表現力」が問われる「長文論述」は必出のはず。十分に準備する必要がある。

<時間配分目安:6分>

攻略のポイント

●最近は出題傾向が一貫している。「地理」「歴史」「公民」全ての単元の全分野、そして、「時事問題」も確実に習得しておく必要がある。「漢字」でしっかりと覚えること。
「設問内容」は多彩なので、過去問に限らず様々な問題を解いておくことが重要。
さらに、「時事問題」では「背景理解」も含めて確実にチェックしておくことが不可欠だ。

●近年のお約束となっている「長文説明記述(論述)」だが、昨年度から新機軸となっている。
前述のように、明らかに2020年度からの新大学入試制度を見据えた「設問内容」になり、「説明記述」というよりは一種の「小論文」、「論述」といっていいものだ。したがって、来年度以降に向けての対策としては、これまでの「資料読み取り訓練」と「記述練習」に加え、「思考力」「判断力」「表現力」を磨く練習が不可欠となる。

●配点は「長文説明記述(論述)」以外は各2~3点と推測される。40分という制限時間があるので、先ずは解きやすい設問から攻め、「考える必要のある設問」と「長文説明記述(論述)」に時間を傾斜配分するといった「戦術」が求められる(当然、「捨て問」があってもいい)。
また、分かりづらい「設問内容」のものもあるので、的確に理解することを心がけなくてはいけない。

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