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暁星中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「暁星中学校の理科」
攻略のための学習方法

本年度は生物、地学分野が易問中心の構成であったのに対し、化学、物理分野は考えさせる問題が多く、分野ごとの難易度に大きな差異が見られた。

本校の入試結果の推移を見ると、理科の合格者平均点は75点満点中50点弱に達している年度が多く、得点率は決して低くない
このような傾向を考えると、基礎的な問題での失点を限りなくゼロに近づけること、そのうえで中〜高難度の問題からできるだけ得点を拾うこと、という2点が合格の要件であると言える。

 

 

「基礎的な問題」とは言っても、本校のレベルにもなるとそれは「問題集に載っているような問題」と考えて良い。つまり、必ずしも「問題集の中の基本問題」を意味するとは限らない

たとえば光―光合成曲線は必ず参考書や問題集に掲載されているが、本年度のような問題であれば、難度の位置づけとしては標準レベルである。このことは、問題集を用いた演習において、標準問題までは完璧に仕上げておくことが必須であることを意味する。

基本問題の完成を目標とするなら反復による単純暗記で事足りるが、標準以上のレベルの問題を物にしようと思えば、自身の弱点や解法の要点を意識した学習が必要になる。

普段の学習から、間違えた問題には印をつけるとともに、正解するために押さえておくべきであったポイントをノートなどに書き出しておくと良い。特に苦手な問題の解き直しについては、スラスラ解けるようになるまでは短い間隔で何回も、以後は定着を強化するために数週間〜1か月の間隔で行なうなど、色々と工夫してみよう。

 

 

中〜高難度の問題では、多くの場合、初見の実験や状況設定に基づく類推や考察が求められる。つまり、過去に解いたことがある問題の記憶に直接頼ることはできない。

そこで、演習の際には知識を獲得すること以上に、解答を考えるまでの過程の組み立て方を学ぶことが重要になる。
それはたとえば「まず図にしてみる」というような初歩的なものから、「状況から考えられる可能性をすべて挙げてみて、他の状況との整合性を考える」といった高度なものまで多岐に渡るが、これらは問題集の解説を読むだけでは身につかない力である。身近な指導者の力を借りるのが良いだろう。

上述した点に気をつけつつ、6年生の9月〜10月を目処に問題集を仕上げ、以後入試本番までを過去問などの実戦演習に充てていけば、合格点を取るために必要な知識や解法は十分身につけられるはずである。

ただ、余裕があるならば、参考書で問題演習の対象とならないような科学コラムにしっかりと目を通しておくと良い。難関校の理科では身の回りの(かつ、小学理科の知識では理解が難しい)科学的現象がよく題材となる。本年度の界面張力に関する問題のような出題に遭遇した際、少しでも予備知識があると役に立つはずである。

 

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

 

【生物分野】

図表の読み取り、実験考察、計算を要求される分野としては、本年度出題された光合成のほか、蒸散、日長と花芽形成、光発芽種子、消化酵素、酸素―二酸化炭素のガス交換などが定番である。

ただし、生物分野の思考問題はあまり難しくないものが多いため、問題集の演習で対策は事足りる。むしろ、暗記すべき知識に漏れを生じないような学習の徹底が重要になる。用語は言うに及ばず、日数や温度などの数字、形態や生活環から見た種の分類に関する知識は落とし穴になりやすい。

特に重要な値についてはフラッシュカードやノートにまとめておき、折りに触れ復習するようにしておこう。

 

【地学分野】

天体については今回基礎知識を問う問題ばかりだったが、本来は観測データに基づく計算問題や、観測点・地軸の傾きを変えた際の観測結果を推定させる応用問題が出題されやすい分野である。

そういった問題に対応するためにも、天体の見え方を暗記するだけでなく、図上でその原理を押さえておくことが望ましい。同様に計算や考察を要求されやすい分野としては地震や地層が挙げられる。初期微動と主要動の発生時差から震源地までの距離を求める問題、地層の形成順序を判断する問題などはしっかりと練習しておくこと。

一方、失点が許されない知識問題での出題に気をつけるべきなのが岩石の分類や雲の名前である。地学の暗記は盲点になりやすいので、問題集での復習を欠かさないように。

 

【物理分野】

本年度の電磁石に関する問題はあまり難しくなかったが、電流と回路、電流と発熱といった分野は多くの受験生が苦手とするところ。少なくとも手持ちの問題集に載っている問題はひと通り解けるようにするつもりで取り組もう。

力学についても同様だが、こちらは押さえるべきポイントが少ないので、逆に色々な問題をどう基本原理へ収束させていくかという視点を身につけることが重要である。

また、難関校の入試では身の回りの道具や製品の仕組みに関連した問題がよく出題される。様々な学校の過去問や参考書のコラムに目を通して知識を貯えておくと役に立つことがあるかもしれない。

 

【化学分野】

本年度は化学というよりも物理的な視点を要求する問題が出題されたが、本来は物質のとけ方や化学反応に関する計算がテーマとなることが多い。化学で扱われる現象のほとんどは比例関係で説明されるので、溶解度の問題にせよ中和の問題にせよ、「比例式を作る練習」という課題設定を念頭に置いて演習を反復するのが望ましい。

知識としては様々な物質の色や形状、水への解けやすさの違いや水溶液の性質などを徹底的に押さえておくこと。また、身の回りの現象について化学的視点から考察させる問題がよく出題されるのは物理分野と同様である。

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2017年度「暁星中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

41個の解答箇所に対して時間は40分

地学、生物では知識やグラフの読み取りから即答できる問題がほとんどである一方、化学や物理では思考力を問われる問題が多く、記述解答を求められる出題も多い。

時間配分に注意しなければ、考察や計算に十分な時間を充てられなかったり、逆に簡単な問題で取りこぼしたりする可能性がある。

【大問1】界面活性剤と水の界面張力

  • 難度:
  • 時間配分:13分

分野:化学(物理?)
単元:界面活性剤と水の界面張力

原理まで理解して答えようとすると、界面張力や界面活性剤の原理にまで踏み込む必要があり、小学生にはかなりの難問である。「油の輪が外側へ縮む」、「水滴がうすく広がる」という現象から類推し、「可能性が高そうな」答えを考えていくのが現実的な対応であろう。

 

(1) 水面のもり上がり部分を[実験1]の水滴と同じようにみなせば、うすく広がった部分がコップの縁からこぼれ出ることは推測できる。

(2) 水が水滴を形作っているとき、界面張力と重力との間には力のつり合いが存在している。       

[実験1]では洗剤のはたらきにより界面張力が弱まった水が重力を支え切れなくなることで水滴がつぶれているのだが、水滴が下向きに付着している(2)では水滴が重力に引っ張られて落下するという現象が起こる。

(3) リード文で示された油の動きを割りばしに置き換えて考えると良い。

(4) (3) と同様、油は洗剤の滴下点から遠ざけられていくことをリード文中の実験結果から推測する。

(5) 水滴は水を弾きやすい物質、すなわち水を引き付ける力が弱い物質の表面上で形成される。       洗剤やシャンプーなどは水とそれ以外の物質とを結びつきやすくするはたらきを持つため、シャンプーを塗布された鏡は水をよく引き付け、水滴の形成自体を起こりにくくする。

(6) 洗剤液を霧吹きする対象が既にたまっている水滴なのか、水滴がたまる前の床なのかが問題文からは判然としないが、いずれにしても[実験1]か(5)かのどちらかと同じ作用が生じることで、固着している水滴が壊され、水が排水口に向けて自由に流れるようになる。

 

水は分子と呼ばれる小さな粒が集まってできており、水の分子は周囲の分子と互いに引き付けあっている。  

ところが、内部の水分子は全方向から引き付けられて安定しているのに対し、空気や鏡といった他の物質と接している水分子を引き付ける力は内向きにしか存在せず、境界上の水分子は安定しない。
そうした水分子をできるだけ少なくするために、水は表面積を最小にしようとして球の形に近づこうとする。

これが界面張力(特に、液体と期待との境界ではたらく力を表面張力と呼ぶ)の正体である。

洗剤やシャンプーのように「油汚れを落とす」物質はこの界面張力を低下させるはたらきを持つ。
リード文の実験や(3)、(4)の問題では、洗剤が滴下された部分の界面張力が低下した分、そこから遠ざかる方向へと周囲の分子が引っ張られていくという現象が起こっている。

また、[実験1]や(1)、(2)の問題では、水滴全体の表面張力が低下することで水滴を球形に維持しようとする力が弱められている。上向きに生じている水滴は押しつぶそうとする重力に逆らって形を保っているので、界面張力が弱まれば押しつぶされてしまう。

一方、下向きに生じている水滴は下向きに引っ張ろうとする重力に逆らって形を保っているので、界面張力が弱まれば下向きに引っ張られ、落下してしまう。

また、洗剤やシャンプーを鏡などに塗布すると、固体の表面が水を引き付ける力が強くなるため、固体との境界上では水分子を内向きに引っ張ろうとする力が弱まり、球ができにくくなる。(5)の問題ではこの原理が応用されている。

このように、ひとくちに界面張力の問題と言っても、現象に関係する仕組みが設問によって違っているので答えの推測が難しい。
特に(2)や(5)は直感や日常の経験から正解できるかもしれないが、与えられた実験結果との関連を見出しにくいという点で難問と言えるだろう。

【大問2】太陽、月、星座の見え方

  • 難度:
  • 時間配分:7分

分野:地学
単元:太陽、月、星座の見え方

初歩的な問題ばかりで構成されており、合格のためには1問も落としたくない。

 

(2) 時差の問題は「1. 何分違うか」、「2. 早いか遅いか」の2点を押さえるように意識すると解きやすい。

経度が1度異なると4分の時差が生じることから、明石市における南中時刻に対して①東京では4×(140−135)=20[分]、②長崎では4×(135−130)=20[分]の差が存在している。
また、地球は西から東に自転しているので、東の方が早く太陽の南中を迎えることになる。

したがって、①東京では正午より20分早い11時40分、②長崎では正午より20分遅い12時20分に太陽が南中する。

 

時差計算において、「経度が15度違えば1時間の時差」、「経度が1度違えば4分の時差」というのは当然覚えておくべき値だが、そうなるべき理屈も押さえておくこと。
地球は24時間かけて360度自転するため、360÷24=15[度/時]より、15度回転するのに1時間かかることが分かる。さらに1時間が60分であることから、60÷15=4[分/度]より1度あたりの時差が求められる。

 

(4) オリオン座には一等星が2つ(リゲルとベテルギウス)存在する。それぞれの位置、およびどちらが冬の大三角形に含まれるかがよく問われるので注意。

【大問3】光合成・呼吸と栄養分の収支

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

分野:生物
単元:光合成・呼吸と栄養分の収支

光―光合成曲線のグラフはほとんどの問題集に掲載されており、理解するのも難しくない。ここも全問正解が必須!

 

(2) 本問で重要なのは、「生きられる/られない」と「成長できる/できない」という日本語をきちんと区別することである。光合成によって生産される栄養分の量とaとの関係は以下の通り。

aより少ない(光の強さ①)→生きられない

aと等しい(光の強さ②)→生きられるが成長できない

aより多い(光の強さ③)→成長できる

 

(3) 大まかに言えば光合成とは、二酸化炭素からデンプンを合成する機械を光エネルギーで動かすような仕組みである。

したがって光が強くなればなるほど作れる栄養分の量は多くなるが、④のように供給される光エネルギーが一定量を超えると、エネルギーはあっても原料が足りなかったり合成の処理が追いつかなくなったりするという事態が生じて、栄養分の生産量が頭打ちになってしまう。

結果として、成長に使える栄養分の量も増えなくなるので、④より明るい光を与えても成長量は変わらない。

【大問4】電磁石/音

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

分野:物理
単元:電磁石/音

電磁石を扱った問題Aは少し考えれば難しくはないが、選択肢の選び忘れに注意。音の速さに関する問題Bは本質的に旅人算である。しっかり図を描いて考えよう。

 

(1) エナメル線の巻き数100回分だけ電流が流れるようにしたい。つまり、エナメル線F-GとH-Iのどちらか一方にのみ電流を流す配線を考えれば良い。

(2) エナメル線の巻き数200回分だけ電流が流れるようにするには、エナメル線F-Gが作るコイルとH-Iが作るコイルの両方に「同方向の」電流が流れなければならない。

よって、F→G→H→Iの方向に電流を流せるような配線を考える。すなわち、ポイントはGとHを結ぶことにある。

(3) 磁力が発生しない条件は「1. どのエナメル線にも電流が流れない」、「2. それぞれのエナメル線が作るコイルに逆方向の電流が流れることで、磁力が互いに打ち消される」のいずれかである。

条件1を満たすのはエナメル線の両端が電池につながっていないイとエ、条件2を満たすのはF→G→I→Hの方向に電流が流れるカである。特に、条件2を忘れないように!

(5) 3回行われた実験のうち、どの情報を使う必要があるかの見極めが重要であり、きちんと図を描きながら考えること。1つ目の実験では「4回聞こえた」という以上の情報が得られず、答えの手がかりにはならない。

2つ目の実験で分かることは、「1回目の音が聞こえた時点における2回目の打音と太郎君との距離=太郎君と校舎の壁との距離=音の速さ×0.4秒」になるということである。

ただ、太郎君と次郎君との距離が分からないため、これだけだと追加情報を得られない。3つ目の実験で分かることは、「1回目の音が聞こえた時点における2回めの打音と太郎君との距離=太郎君と校舎の壁との距離×2=音の速さ×0.4秒」になるということである。

この実験では太郎君と校舎の壁との距離が70mであると分かっていることから、70×2÷0.4=350[m/秒]の計算により、音の速さを求めることができる。

(6) 上述の通り、2つ目の実験では「太郎君と校舎の壁との距離=音の速さ×0.4秒」になっているため、(5)の結果より太郎君と校舎の壁との距離は350×0.4=140[m]と計算できる。

よって、太鼓(次郎君)と太郎君との距離は160−140=20[m]である。

攻略のポイント

地学、生物分野では難しい設問が見られず、あまり差がつかなかったのではないか。
こうした問題では用語選択の際の読み間違いや図表の見間違いなど、初歩的なミスが致命的になる。

本年度の化学分野の問題は原理を理解して解こうとしても小学生には難しい。仕組みではなく現象に注目し、状況の類似性から結果を推測するという割り切りが必要である。

物理分野では音の問題が若干難しかったが、文章の通りに図を描いていくと状況は容易に掴むことができるため、描図力が鍵になったと言える。

ただし、化学分野の大問1で悩み過ぎたことで、最後に据えられた音の問題を落ち着いて処理する時間が無かったという受験生がいたかもしれない。時間配分の巧拙でも得点に差がついた可能性がある。

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