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暁星中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「暁星中学校の理科」
攻略のための学習方法

本年度は基礎的な問題が多かったが、原理が分かっていなければ答えるのが難しい形式で出題されていた。このような問題構成で受験者の平均点が大幅に上昇したということは、暁星を受験するレベルの小学生であれば、原理的な部分まで押さえられていて当然という要求を示唆している。まずは問題集の基礎〜標準レベルを完璧にこなせるようにすることが最初期の達成目標となるが、たとえば「満月は0時頃南の空に見える」という知識の丸暗記程度では厳しい。「なぜ0時頃南の空に見えるのか」が自分の言葉で説明できるぐらいまで理解を徹底しておくこと。

概して細かい知識が訊かれることは少ないので、標準レベルまでの知識を一旦定着させた後は、更に細々とした事項の暗記に時間を割くよりも実践的な問題演習の積み重ねを通じて応用力や思考力を鍛えていった方がよい。ただ、化学については試験問題で扱われる事象について関連知識がなければ答えにくい問題が出題される可能性がある。参考書のコラムや実験装置に関する説明にまでしっかりと目を通しておくほか、ニュースなどのテレビ番組や新聞で紹介される身近な科学知識についても日頃から注意して仕入れておくと役に立つはずである。化学ほどではないにせよ、他の分野でも実験や考察の問題は出題されるので、事あるごとに「この現象はどうして起こるのだろう?」、「実験の設定をこう変えたら結果はどうなるだろう?」などと考える癖をつけておくとよい。それを自分で調べられると更によい。

また、過去問演習の際には時間配分を意識した準備をしておきたい。本年度の解答箇所数は昨年度のおよそ1.5倍と大幅に増えている。勿論、本年度は機械的に即時処理できる問題が多かったのに対し、昨年度はじっくりと考える必要がある問題が多かったという差異が存在するのだが、重要なのは設問のタイプに応じて手早く処理するべき問題なのか、ある程度立ち止まって考えるべきかを判断できるかどうかという点である。原則は「解ける問題は可能な限り速やかに答えを出す」ことに尽きるのだが、過去問演習の結果を振り返る際には正誤だけでなく、時間のかけ方が適切であったかどうかも検証するとよい。

上記のような要件に鑑みれば、問題集に掲載されているような標準レベルの問題を速やかに処理する力、科学的な知識を動員して現象を考察する力の両方が高いレベルで要求されていると言える。前者に関しては定番の問題の反復演習、後者に関しては初見の応用〜発展問題演習の蓄積によって鍛えられるが、適した演習の形式が異なるため、志望校対策には時間がかかると考えておくべきである。ゆえに、6年生の夏休みが終わるまでには標準レベルまでの問題が「正解できる」程度の学力を身につけておきたい。9月以降、そこを土台に処理能力と思考力を鍛える練習が並行して進められると余裕を持って対策できる。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

【生物分野】

あまり難しい知識や考察は要求されない傾向にあるが、本年度の出題に見られるように、肝臓・腎臓の機能や心房・心室の接続関係など、生命の諸現象や諸形態に紐付けられる説明はきちんと頭に入れておく必要がある。また、知識で落とし穴になりがちなのが数字や種の分類である。参考書に掲載されている文章中、表中の数値や分類表はきちんと覚えておこう。後は問題集や過去問で実験・観察に関する応用問題に数多く触れておけばよい。

【地学分野】

天体が連年の出題となった。本年度のように地軸を変えるような設定、つまり「実際には起こり得ない事象の仮定」に基づく問題では知識の丸暗記が役に立たない。天体の見え方や動きに関する現象は図形的に説明できるものがほとんどなので、自ら図を描いて説明する練習をしておこう。身近なものを用いた実験やモデルが扱われる分野としては地層を中心とした地形形成の問題にも注意が必要である。地学の応用的な問題は一見分かりにくいが、出題のパターンや必要な知識はその実限られている。問題演習を積んで慣れておくことが大事である。

【物理分野】

基本原理に基づく計算の組み合わせで考えられる問題がほとんどであるが、計算の仕方で迷っているようだと時間を浪費するうえ、失点の可能性も高くなる。原則として全問正解するぐらいの意識で臨むべき分野であると認識したうえで、苦手な問題を残さないようにしよう。特に電熱線と浮力の問題は解答までの手数が多く、習熟していないと混乱しがちである。解法の基本路線をきちんと言語化し、「何となく計算で答えが出る」状況で立ち止まらないよう注意したい。

【化学分野】

実験の手段や結果を考えさせる問題が頻繁に出題されるのが特徴だが、設問自体の定義不足ゆえ、答えを出そうと思うと受験者側で何らかの設定を仮定する必要が生じる場合が少なくない。正解できるに越したことはないが、答えられないことに対して過度に問題視し過ぎないこと。それよりもきちんと解答できる問題で失点しないことが大事である。まず、知識面では物質の性質をきちんと頭に入れておく必要がある。計算はあまり出題が見られないが、問題集に載っているレベルまでは滞りなく処理できるようにしておいた方がよい。その上で余裕があれば、色々な実験や身の回りにおける化学的性質の利用について、定期的に学んだり調べたりする機会を持つようにしておくのが望ましい。

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2018年度「暁星中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

40分の試験時間に対して解答箇所が60近くあり、前年から大幅に増加した。

全体としての設問レベルはかなり易化しているものの、迅速に処理していかなければ時間が足りなくなるのは必定である。特に発想力を問われる問題にはある程度時間がかかるはずなので、まずはそれ以外の標準的な設問で点数と時間の余裕を確保しておきたい。

【大問1】地学分野:月と太陽

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

うさぎの絵が酷すぎて問題の設定の把握に戸惑うかと思われるが、月と太陽に関する基礎的理解を広汎に問うものに過ぎない。但し、単純に現象を暗記しているだけでは厳しい。設問数が多いので、テキパキと進めること。

(1) 単に月・太陽・地球の位置関係図のみで月の見え方を覚えていると設問の意図が把握できないのだが、太陽光を反射して月が輝いている領域と地球から見える領域との重ね合わせによって月の形が決まることを理解していれば、「僕」の背後に太陽を置き、(あ)下弦の月、(う)満月、(お)上弦の月として考えることができるはずである。

(2)③ 知識だけでも答えられるが、月がある角度公転した際に同じ角度だけ自転すると、地球からは常に同じ面が見えることが、図を描いて確認できるようにしておくこと。

(4) 日食は太陽が月の影に入って見えなくなる現象であるので、南の空に見えている太陽を西から東、すなわち右手から左手方向に公転する月が覆っていくように蝕が開始される。この場合、問題となるのは地球の自転による天体の見かけの運動ではなく、天体の公転そのものである。したがって、西から東への動きを考える必要がある点に注意。また、地球からの距離の比が両天体の直径の比とほぼ等しいため、地球からは同じ位の大きさに見える点も判断材料になる。説明では影の大きさと欠ける方向の2点ともに触れるべき。一方、月食は月が地球の影に入ることで太陽光が当たらなくなる現象であるので、月の公転の進行方向、つまり南の空では東側に相当する左手から欠けていくことになる。また、地球の影は月よりも大きい。

(5) 「夜」とはある地点が地球の自転によって太陽光の当たらない領域に入る現象であること、「夏」とはある地点の属する半球が太陽の方向に傾いている状態であることを理解していれば考えるのは難しくない。

(ア)どの位置においても地軸が太陽の方向へと傾いていないので、年中春や秋と同じ状態、つまり昼夜の長さが等しい状態になる。

(イ)北極が太陽と反対の方向にある間は北半球のどの地点も自転によって太陽光の当たる領域に入ることがない。一方、北極が太陽と同じ方向にある間はその逆が生じる。すなわち、夜ばかりの時期と昼ばかりの時期が公転に伴い交互に訪れることになる。

(ウ)北極が常に太陽と同じ方向にあるので、北半球は年中昼である。

(エ)北半球が常に太陽の方向に傾いているので、年中夏である。つまり、昼が夜よりも長い状態が一年中続くことになる。

【大問2】物理分野:電流と発熱

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分

問題Cを除けば標準的な問題だが、電熱線の問題は解き方に習熟していないと失点に繋がり得る。ここも小問数が多いので処理を手早く。

問題A
(7) 豆電球が並列、乾電池が直列に繋がれているものを探してしまいがちだが、電流が短時間で大量に流れて乾電池が使い果たされてしまうショート回路の存在を見落とさないように。ここで誤ると(8)も間違えてしまう。

問題B
電熱線の抵抗が同じなら、同時間における発熱量は「電流の大きさ×電流の大きさ」に比例する。この関係は実験結果を提示して示唆されることが多いが、本問では何の手掛かりも無いので、覚えていなければ解けない。複数の電熱線が同じ容器に入っている場合、水温上昇に寄与する熱量は各電熱線における発熱量の総和になる点にも注意。

※ 発熱の問題を理解するうえで、「オームの法則」と「ジュールの法則」を知っておくと役に立つ。

オームの法則:(電圧)=(電流)×(抵抗)
ジュールの法則:(発熱量)=(電流)×(電圧)×(時間)

ここで、ジュールの法則の(電圧)を「(電流)×(抵抗)」で置き換えると、「(発熱量)=(電流)×(電流)×(抵抗)×(時間)」となり、抵抗と時間が同じであれば、発熱量が「(電流)×(電流)」によって決まることが分かる。これを知っていれば、抵抗の大きさが異なる電熱線についても処理できる。

問題C
モーターの端子のどちらが+極に繋がっているかによって回転方向が異なることを考えると、スイッチのAとBとで異なる側のモーター端子に繋がるような配線が考えられればよい。

【大問3】化学分野:ろうそくの燃焼

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

解答に必要とされる知識は少なく、全般に思考問題であるが、記述問題は設問の設計が正確性を欠いている。特に(6)(7)は「図のような装置」という表現が「どこまで装置に手を加えてよいのか」を全く定義していないので、答えられなくても仕方ないと割り切ってもよい。

(2) 大問冒頭の文をよく読んでいるかどうか。「【実験1】と【実験2】で用いるろうそくはすべて同じ材料でできている」ということなので、単純に長さが違うろうそくを比べているのではなく、図の装置に見られるろうそくが比較されている。ここから、「長くて細いろうそく」と「短くて太い」ろうそくに用いられているろうの質量が同じなのだろうと推測できればよい。

(3) 本来はガラス管内の「酸素が無くなったから」と答えるべきところだが、解答欄には「〜が増えたため」と書かれているので、「二酸化炭素」を入れるしかない。実際には二酸化炭素の量にかかわらず酸素が存在していれば燃焼は続くので、説明として不適切ではないかと思われるのだが…

(4) 二酸化炭素は空気、あるいは酸素よりも重い気体なのでガラス管の下方から蓄積されていく。よって、短いろうそくから先に消えるということだが、ここでも本来は酸素を含んだ空気が上方に追いやられるからだと説明すべきである。

※ なお、同様の設定で実際に実験を行うと、長いろうそくの方が先に消えるようである(YouTubeなどで見ることができる)。これは発生した直後の二酸化炭素が多量の熱を帯びて膨張しているため、体積あたりの重量が酸素よりも軽くなることが理由であるとされる。本問は気体の性質の知識を問う定番の問題であるので答え方を知っておくのが望ましいが、その逆のケースについても出題される可能性はあるので、頭に入れておくとよいだろう。

(6) 「ガラス管には何もしない」という条件しか与えられていないことから、「粘土には何かしてもいいんだ」と発想することが求められている問題…なのだろうか?粘土板に穴を開ければ、二酸化炭素をガラス管外に出して新鮮な空気と入れ替えることができる。

(7) 「図のような装置で」という条件からすれば、ガラス管を外すことなく火を消す方法を考えるのが本筋である。が、実は問題文に「吹き消す以外に」と書かれており、吹き消すためにはガラス管を外さなければならない。つまり、ガラス管とは無関係にただろうそくの火を消す方法を答える問題と考えて差し支えない!ひねくれて考えるなら「扇いで消す」という答えも可能だろうが、ろうの気体を吹き飛ばして瞬間的に可燃物をなくすという方法論は同じなので、当然避けるべきである。ここでは発火点以下に温度を下げる方法を答えることが求められていると想定されるので、水をかけたり、ピンセットや指で芯をつまむ方法を答えるのがよいだろう。

※ あくまでもガラス管の装置を解体しないという線にこだわるのであれば、装置を横倒しあるいは逆さに倒すという方法は考えられる。液体となったろうが芯にかかれば、炎の熱が液体のろうに奪われて、ろうの気体が燃えるのに十分な温度を保てなくなり、火は消えてしまう。ただ、ガラス管の容積が図示されている程度なら、酸素を使い果たして消えるまでの時間は5秒にも満たないと思われるので、ガラス管を抱える手間を考えると、大人しく待っておくのが吉であろう。

【大問4】生物分野:血液の循環

  • 難度:
  • 時間配分:8分

心臓や血管に関する基礎知識を問うものがほとんど。計算問題も含まれるが、難しくない。つまり、落としてもよい問題は存在しない。

(1) 心臓から出ていく血液が流れる血管が「動脈」、心臓へ入ってくる血液が流れる血管が「静脈」である。

(2) 動脈へ血液を送り出すのが「心室」、静脈から血液を受け取るのが「心房」である。左心室が大動脈に繋がっていることを覚えておけば、残りの心房・心室の役割は見当づけられる。

(4) 二心房二心室を備えた動物は哺乳類と鳥類のみ。

(5) Xは肝臓で、ここでの「調節」はグリコーゲンの貯蔵・分解による血糖調節などについて述べていると考えられる。調節とはやや異なるが、血中アルコールを分解したり、有毒なアンモニアを無毒な尿素に作り変えるなど、有害物質の解毒にも関わっている。更に、小腸と門脈で繋がっている点もヒントになる。Yは腎臓で、不要な物質を血中から漉し取り、尿として排出する役割を持つ。この両器官が機能不全に陥ると、体内に有毒な物質がどんどん蓄積されてしまうので、まさに「肝腎要(かんじんかなめ)」の臓器である。

(7) 肺における肺胞、小腸における柔毛(柔突起)、植物の根における根毛はいずれも器官の表面積を増やし、ガス交換や養分吸収の効率を高める構造の例として頻出である。

攻略のポイント

本年度はやや捻られてはいるものの基礎知識を問う問題が多く、平均点も前年度から大幅に上昇した。

地学の(4)(5)、物理の問題BCが合否を分けるポイントになると考えられる。化学は思考力を問う野心的な問題が出題される傾向にあるが、前提となる条件がはっきりと定義されていない設問が散見され、毎度厄介である。本年度は馴染み深い知識および科学的現象が扱われていたので、深く考えなければ正解できるのかもしれないが、いずれにせよ効率的な対策が難しい出題形式であり、ここでの失点はある程度織り込んでおいた方がよい。慌てず、他の問題で確実に得点することを心がけよう。

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